愛川町 神奈川トヨタと連携 半原水源地跡地活用で
愛川町と神奈川トヨタ自動車(横浜市、安藤栄一社長)は4月11日、「半原水源地跡地」の整備事業に関する基本協定を締結した。同地を「観光・産業連携拠点」として活用する町の計画に、同社から提案のあったアウトドア関連施設の整備を加える。
半原水源地は、日露戦争後の軍備拡張による水需要の拡大を受け、旧日本海軍が1921(大正10)年に敷設した軍港水道の上流施設。中津川から引水し、横須賀市の逸見浄水場まで約53Kmにわたって送水していた。軍用目的を終えてからは横須賀市の水道施設として使用され、水需要の減少や施設の老化に伴い2007年に取水を停止。15年に廃止された。
約3・5haの水源地跡地について横須賀市から利活用の打診を受けた愛川町は、18年度に約9千万円で用地を取得。基本計画の策定を進め、にぎわいの創出に向けた活用を模索してきた。21年度からは建物の解体や埋め立て工事などを進め、24年度に造成が完了した。
100社以上と対話
基本計画によると、用地にはカフェ・レストランや物産販売店、ドーム型テントによるグランピング施設、BMXコース、遊具施設などを整備する。造成を含めた事業費は約17億円を見込む。
町は利活用に向け、官民連携の可能性を探るためにサウンディング(対話)型の調査を実施してきた。しかしコロナ禍や物価高騰などの影響もあり、これまで100社を超える企業と行った協議は進展せずにいた。
そうした中で、昨年秋に小野澤豊町長が神奈川トヨタの安藤栄一社長と面会。水源地跡地について話し合う中で、同社がアウトドア関連施設の整備に前向きな意向を示したことから、パートナー企業として協定を締結することとなった。
「観光の核」目指し
自動車の販売・整備を行う同社では、30年ほど前から自転車や釣り道具、アパレルなどのアウトドア用品を販売するショップ運営も手掛けているという。年間140万人が来訪し、アウトドア愛好者からも人気が高い町の特性を踏まえ、新たな観光の核となる施設運営を目指す。
協定式で安藤社長は「パートナーにさせていただいたことは光栄。町民の皆さまが喜びや将来への安心というものを感じる拠点づくりに向け、しっかり連携していいものを作っていきたい」と述べた。
小野澤町長は「一緒にまちづくりに取り組めることを大変心強く感じている。観光拠点づくり事業は、未来につなげる本町の大きなプロジェクト。実現に向け、しっかりと手を携えながらスピード感を持って取り組んでいきたい」と期待感をにじませた。
今後は基本計画を踏まえ、施設内容や規模などの具体的な全体計画について検討を進める。