韓国SEXカルト教団が“放送禁止”申請した暴露ドキュメンタリー 歴史的事件の〈生存者たち〉が証言
韓国が震撼したカルト教団の性暴行事件
韓国の重大事件の“その後”と“現在”を追求するドキュメンタリー『私は生き延びた：韓国を揺るがせた悲劇の中で』（韓国MBC製作）が、Netflixで独占配信中。本作は同国のカルト宗教団体から名誉毀損や人権侵害にあたるとして“放送禁止の申請”がソウル地裁に提出されていたが、無事配信されることとなった。
同ドキュメンタリーの前作『すべては神のために：裏切られた信仰』は冒頭に性的虐待への言及について注意喚起があったが、本作でも児童虐待にかんする注意が促される。実際、生々しい映像や音声からフラッシュバック等のおそれがあるため、鑑賞には慎重な判断を推奨する。
なお、同シリーズを通して描かれるカルト宗教団体は日本でも大学内などでの勧誘に対して警告がされていて、いまだ信者を増やし続けているという。つまり隣国の騒動では片付けられない問題であり、国を問わず身の回りのカルト団体や洗脳行為への警戒を促すという側面もある。
あまりにも凶悪な事件の数々に動悸が…鑑賞要注意の衝撃ドキュメンタリー
第1～2話は＜兄弟福祉院事件＞の生存者たちが当時を苦痛の表情で述懐する。「まるで『イカゲーム』の世界」と形容されるその実態は、身寄りのない子どもたちを家畜のように扱う、まさに生き地獄。証言するかれらは生き延びてなお、その記憶に「死ぬまで苦しめ続けられる」のだと訴える。
第3～4話は『すべては神のために』で描かれた教団＜摂理＞の実態を、さらに深堀りしていく。勇気ある告発者への妨害・脅迫行為や、新たな証言者の苦悩……そして警察内部の信者への突撃取材などがから、次第に暴かれていく醜悪な教祖の素性。まさにSEXカルトど真ん中の悪行の数々は、視聴者の神経をゾワゾワと逆なでする。
護身用グッズが手放せないPD（プロデューサー）や、事件を追求したことで暴行に遭った大学教授の証言など、文字通り体を張った取材には常に緊張感が漂う。そして教祖への告発や世間からの反発に対し信者が連呼する“殉教”という言葉には、あの大事件を起こした日本のカルト教団を想起せざるをえない。
続く第5～6話は90年代に起こった、犯罪組織＜至尊派＞による連続殺人事件を追う。当時20代の若者たち7名が強姦や殺人を繰り返し、遺体の一部を焼いて食べたという凶悪事件だが、それを反省するどころか一切悪びれる様子のない首謀者の言動が恐ろしい。富裕層へ憎悪が動機とされているが、実際にはフェミサイドの側面もあったのではと思わせる。逮捕のきっかけとなった生存者／逃亡者の証言が非常に生々しい。
そして第7～8話では、1995年に起こった三豊百貨店の崩壊事件（※死者502名／行方不明者6名／負傷者937名）の生存者が当時の衝撃を振り返る。「爆弾でも落ちたのかと思った」という言葉通り、血まみれの生存者や瓦礫の山に挟まれた遺体の映像は、今まさに侵略行為を受ける中東からのライブ映像とダブって見えるほど。急速な経済発展の影で起こった、痛ましい事件の真相とは――。
ドキュメンタリー『すべては神のために：裏切られた信仰』、『私は生き延びた：韓国を揺るがせた悲劇の中で』はNetflixで独占配信中
