急増するスキマバイト!スキマバイトの受け入れで介護事業所が気をつけることとは?
介護事業所でスキマバイトを受け入れる際に、現場でできることとは?
本日のお悩み
近年、スキマ時間に1時間だけ、1日だけのように働けるスキマバイトが増えています。介護の現場でもスキマバイトの導入が始まっていると聞きました。
人の生活を支える介護業界において、人の入れ替わりが激しくなるのではと少し不安も感じています。
もし自施設でも受け入れを開始した場合に、現場でできるフォローや関わり方を教えてください。
執筆者/専門家
伊藤 浩一
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14
「施設長、こういった案内があるのですが、行ってみてもいいですか?」
デイサービスの職員から、実際に私にあった相談です。
スマートフォンの画面を見せてくれたのですが、それは介護に特化したスキマバイトのサイトでした。本人曰く、「休みの日、お昼の時間120分だけでいいみたいなので行ってみようかなと、他の事業所も見れて勉強になると思いまして…。」
世の中で副業を推進する動きが進んでいるのは知っていました。
自社で長く経験を積むことは、プラスになることもある反面、スキルの限定化につながり、自社への依存度が高くなるとともに視野も狭くなってしまう…。これを避けるためには、ルールに基づいて副業を認め、他社や他業種で社員の身につけたスキルを発揮させるとともに副業先のノウハウを得ることができれば本人にとっても会社にとってもwinwinではないか?
その通りだなと納得していましたが、まさか自分の施設でも希望者が出るとはびっくりでした。また、スキマバイトの需要は、飲食店などが主であって介護業界はまだ先のことでは…と考えていましたが、茨城でもビジネスとして動き出している、これもびっくりでしたね。
そもそもスキマバイトの仕組みとは?
それでは、介護業界でも導入が始まったスキマバイトですが、どのような仕組みなのでしょうか?
スキマバイトはまず、働き手を求める介護事業者が、スキマバイトを仲介するサイトに事業者情報、求人時間や報酬などの条件を登録します。その情報をスキマバイトに興味がある働き手が得て、お互いに条件が合えばマッチングが成立するという仕組みです。
スキマバイト成立による仲介サイトの利益は30%程度と言われてます。
たとえば、時給1500円の場合、介護事業者がスキマバイト運営会社に支払う金額は1950円ですね。(運営会社は450円の手数料を得る)正直、通常の人件費の1.3倍となる支出は、介護事業者にとって痛いです。しかし、人手不足という背景と、人が足りない時間をピンポントで雇用することによりタイムパフォーマンスの向上が図れれば、1.3倍でも高くはないという考えになります。
一方、働き手のメリットはなんでしょうか?
スキマバイトでは、履歴書や面接が不要な場合がほとんどです。みなさんも経験があると思いますが、履歴書を書いたり、面接の準備をしたりするのは結構大変ですよね。スキマバイトでは、アプリのナビゲートに沿って名前や生年月日など最低限の情報登録と本人確認(運転免許証等)を行えば基本的には登録完了です。また、アルバイトは当日募集からあり、さらには即日給与支払いを可能としている運営会社もあるようで、とにかく手軽さが人気となっています。
スキマバイトの受け入れで介護事業所が気をつけること
では早速、ご質問いただいたスキマバイトを受け入れるうえで介護事業所が気をつけたほうがよいことを解説します。
1.仕事内容を明確に(できるだけシンプル)指導できる
2.仕事の手順書(マニュアル)がある
3.その仕事は有資格者ができるのか?無資格者ができる仕事か?明確となっている
4.「このくらいはできるだろう」でなく「できないかもしれない」という姿勢で丁寧に接する
以上、4点が推奨されます。スキマバイトではアルバイトの方の評価を事業所がしますが、事業所もアルバイトをする」人から評価されます。(相互評価制度)そして、その際の評価ポイントとして見られることが多いのがこの4点だそうです。
しかしながらこの4点は、特別ではなく新人職員を受け入れる際と同様ではないでしょうか?もちろん受け入れ側として「介護の仕事は人と接する仕事、スキマバイトの方に務まるだろうか?」という不安がありますよね。でも、この相互評価制度は、さまざまなリスクの抑止力となるでしょう。
例えば、無断欠勤や態度が悪い勤務をするアルバイトの方は将来的にマッチングしてもらえる事業所はないでしょう。また、アルバイトの方に対し、ぞんざいな扱いをした事業所も選ばれることがなくなることは明白です。時代は変化しています。
今後はスキマバイトも柔軟に活用できる介護事業者が生き残れる時代(つまり救世主となりうる)になるかもしれませんね。
スキマバイトは生産性向上になる?
さて、ここまでスキマバイトについて解説してきました。
短時間で働ける、働いてもらえるという双方にメリットがある一方で、そもそもスキマバイトは、雇用側である介護事業所が、1〜3時間程度でできる仕事を切り抜かなければならないという課題があります。これは、以前「介護業界の生産性向上って?施設での取り組み方を解説!~実践編~」で解説させていただいたオペレーション分解です。
そして、分解したのちに、その仕事は誰に頼めるのか?を明確にしなければなりません。つまり、その業務は、介護職の経験者もしくは有資格者が良いのか?それとも無資格者でも良いのか?を考える必要がありますね。
例えば、デイサービスの昼食前のお茶出しや配膳の手伝い、片付けなど(2時間程度)は経験者でなくてもできそうですね。スキマバイトは継続する方もいらっしゃるそうですが基本的には初めての方が単発で仕事をします。
あまりに複雑な業務は説明する時間もかかるし、こなすのも大変そうですね。となれば、できる限りシンプルな仕事で誰でもこなせるような業務を切り抜いて求人を出すことが求められるでしょう。
実は、この切り抜いた仕事を介護ロボットに任せれば「ICTの活用」、高齢者にお願いすれば「介護助手の活用」となり、厚労省の推奨する生産性向上のメニューと合致するわけです。
最後に:やっぱり所属事業所はいいところ!と思ってもらえるよう日々努力していきましょう
ちなみにスキマバイトを職員に希望された私は、職員に「就業規則を守ればいいよ」とだけ伝えました。
「他の事業所でアルバイトをしてみたけどやはり所属事業所がよかった」と言ってもられるよう努力をし続け、良い施設が増えていけば、それもまた、スキマバイトのメリットといえるのかもしれませんね。
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