<高校サッカー>集大成の時を迎えた東海大翔洋の太田恒治監督と長男・走の“父子鷹”「一緒に全国に行きたいっすね」
全国高校サッカー選手権静岡県大会が9月28日に開幕する。1次トーナメントから登場する実力校の中でも注目は県Aリーグで首位に立つ東海大翔洋だ。
太田恒治監督と、監督の長男で主将を務める走(かける)の“父子鷹”も3年目。集大成の時が近づいている。(シズサカ編集部)
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1987年度以来遠ざかる全国選手権
東海大翔洋は県Aリーグで10勝3分け1敗の首位につけ、14試合42得点と圧倒的な攻撃力を誇る。
太田監督が「チームが生まれ変わるターニングポイントになった」と振り返るのは、5月の県高校総体3回戦、1−5で敗れた磐田東戦だ。
球際の強さや、体を投げ出すシュートブロック、好機を逃さない決定力…。「磐田東は自分たちが持っていなかったものをたくさん持っていた」と太田監督は振り返る。惨敗を喫して以降、選手のたちの練習に取り組む姿勢が変わった。
互いのプレーに質を求めるようになった。クリアははっきり、大きく。競り合いのヘディングは相手のボランチの頭を越えること。「今更ということばかりだけど、もう一度細かなプレーを見つめ直すきっかけになった」
練習メニューにも変化があった。体力面だけでなくメンタル面の強化も狙い、それまで組み込まれていなかった持久走が加わった。ダッシュをこなしてからボールを使った練習を始める日も。迎えた6月21日、県ユースAリーグの磐田東戦。2−1でリベンジに成功した。
タイガー軍団の全国高校選手権出場は、東海大一時代に沢登正朗さん(現清水ユース監督)らを擁して準優勝した1987年度以来、遠ざかっている。県内強豪校の位置付けは変わっていないとはいえ、プリンスリーグ東海には一度も参戦したことがない。
OBの太田監督自身も、1989年度の選手権予選で1年生ながら得点王に輝いたものの、決勝で涙を飲んでいる。「今年は力がある。選手権出場もプリンスリーグ昇格も。このまま一気に突っ走りたい」。名門が静かに牙を研いでいる。
MF太田走(東海大翔洋中出身)
背番号10を背負い、キャプテンマークを巻く司令塔は太田監督の長男走(かける)。アンカーの位置に入って長短のパスで攻撃のテンポをつくっていくレフティーだ。「守備はあまり得意ではない」というが、攻守でさまざまなタスクをこなす。
9月中旬に左足第二中足骨の故障で戦列を離れたが、選手権予選の決勝トーナメントには間に合いそう。太田は「県総体では全然結果を見せることができなかった。いろいろな人の期待に応えるためにも必ず全国に行きたい」と力を込める。
太田がサッカーを本格的に始めたのは小学2年時に地元のクラブに入ってから。5年生の時にTOKAIスポーツアカデミーに移籍し、東海大翔洋中へ。幼い頃から黄色と黒の縦縞のユニホームに袖を通し、常に父親(太田監督)が同じグラウンドにいる環境で育った。
「家では昔から(父親に)サッカーのことはあんまり言われたことはないですね。でも、小学生の頃から一緒に選手権の試合を見に行っていた。(父と)一緒に全国に行きたいっす」。照れくさそうに笑った。