【herpianoの新作アルバム「Three」】 ギターポップの粋を集めた名曲
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は静岡市を拠点に活動する3人組ロックバンド「herpiano」の12年ぶりフルアルバム「Three」。
箱に入った歌詞カード付きのCD。この仕様だけで、彼らの音楽に対するスタンスがはっきり分かる。手触りの良さ、ぬくもりといった使い古された言葉を、どうしても使いたくなるサウンドだ。
オルガン小曲に続く2曲目「The Second Moon」がいきなり素晴らしい。これは80年代、90年代のギターポップの良いところをギュッと固めた楽曲だ。ジャリッとしたギター、ぶりぶりうねるベース。そしてスネアとシンバルを優しくひっぱたくような疾走感と歌心に満ちたドラムス。
ティーンエイジ・ファンクラブの正統後継者は彼らではないか。女声混じりのドリーミーなハーモニーがアルバム全編を貫いている。
個人的には最終11曲目のフィードバックノイズ、ウェディング・プレゼント的なギターカッティングに高揚した。彼らの「パンク」な出自が垣間見られた。(は)