Uniposと九大、2000人の調査で企業文化を類型化 業績に影響するのはどんなカルチャー?
Unipos(所在:東京都港区)は11月22日、「企業カルチャー白書2024」を公表。企業カルチャーの要素の組み合わせで組織は3類型に分かれ、企業カルチャーが業績にも影響をおよぼしていることがわかったと発表した。
調査は九州大学の池田浩研究室と共同で実施し、企業カルチャーに関する先行研究と10歳代から60歳代の正社員の男女2000人へのアンケート調査を基に白書を作成した。
人間関係か、業績か「重視する要素」で分かれる企業カルチャー6次元モデル
同社によると、これまで「企業カルチャー」は中身の要素まで体系立てて研究されておらず、白書では「企業カルチャーとはどんなものの集合体なのか」を明らかにするために要素を分析した。この結果、「人と関係志向」「ステークホルダー志向」など6つの次元があることが明らかになった。
同社では6次元を「企業カルチャー6次元モデル(2024)」と名付けた。さらに6つの要素の組み合わせで、組織は「業績至上主義組織」「人と顧客志向カルチャー組織」「カルチャー希薄組織」の3タイプに分類できることを突き止め、3分類を「企業カルチャーに基づく組織3類型(2024)」と命名した。
因子志向説明第1因子人と関係志向職場の人間関係や自立・利他的な行動を重視するカルチャー第2因子ステークホルダー志向お客さまや関係者の満足度や社会的責任を大切に考えるカルチャー第3因子業績と競争志向成果目標の達成や周囲との競争、 新しい挑戦を重視するカルチャー第4因子支配と抑圧志向失敗を避けたり慣習や指示に従ったりすることを重視するカルチャー第5因子心理的不安全志向自由な意見や改善議論がしづらいカルチャー第6因子モラルハザード志向モラルや道徳を多少無視しても成果を出すことが優先されるカルチャー
「業績至上主義組織」は、「モラルハザード志向」が最も高く、「支配と抑圧志向」、「業績と競争志向」が高い特徴があり、「人と顧客志向カルチャー組織」は、「ステークホルダー志向」と「人と関係志向」が高く「モラルハザード志向」や「心理的『不』安全志向」が低い傾向となった。
「カルチャー希薄組織」は「心理的『不』安全志向」は高い傾向にあるものの、そのほかのカルチャー次元は「企業内で共通の価値観として浸透していない」といった特徴があった。
「人と顧客志向カルチャー組織」が好業績に
企業カルチャーは業績にも影響を与えており、中でも「人と顧客志向カルチャー組織」が良い業績を上げている傾向がうかがえた。
一方で、「心理的『不』安全性志向」は高いものの、ほかのカルチャーは会社全体の価値観といえるまでには浸透していない「カルチャー希薄組織」は会社全体の業績を高めることができていないことが浮き彫りになった。
「業績至上主義組織」は、カルチャー希薄組織よりも業績が良い傾向にあるものの、「人と顧客志向カルチャー組織」の業績を上回ることができておらず、カルチャーの浸透度合いが業績に影響をもたらす傾向が強いことが調査結果からは明らかになった。
「現在の企業カルチャーは変革すべき」は半数以上に
「現在の自社の企業カルチャーについて」は、半数以上が「企業カルチャーを変革すべきだ」と考えており、「現在のカルチャーを維持すべき」と考えているのは26.1%、現在のカルチャーをさらに社内で浸透するように強化すべき」は19.2%という結果になった。
共同で調査を行った九州大学大学院人間環境学研究院の池田浩准教授は「今回の知見を拠り所に、多くの組織が自らのカルチャーの実態を認識するだけでなく、より良いカルチャー作りに取り組むことを期待している」とコメントしている。
同社では白書の概要を池田浩准教授が直接解説するイベント「第一回カルチャー変革推進委員会分科会『安全文化分科会』」を12月9日に大阪市内で開催する予定だ。
発表の詳細は同社の公式ホームページで確認でき、「企業カルチャー白書2024」の全文をダウンロードすることも可能だ。