『メメント』の僕は最悪だった、主演ガイ・ピアースが激しく自己批判 ─ 「ノーランとの仕事がないのは自分が原因だ」
「あの映画に出ている僕は最悪だ」──。最新作『ブルータリスト』での助演男優賞にノミネートされたガイ・ピアースが、キャリアの転換点となった、監督『メメント』(2000)における自身の演技を激しく批判した。
長年のキャリアにおいて、ひとつのピークを迎えていると言っていいピアース。しかし英のインタビューにて、「自分の存在意義を見失っています」と告白した。きっかけは、『メメント』に関する質問を受けるために同作を見返したことだという。
「今でも落ち込んでいます。あの映画に出ている僕は最悪だ。今までそんなふうに思ったことはなかったけれど、[中略]観ている途中で自分の演技が嫌になりました。それで、僕とクリスが再び仕事をしていないのはワーナーの幹部が原因だという話がすべて崩れ去ったんです。なぜクリスと仕事をしていないのか、それは『メメント』の僕がダメだったからですよ。」
“再タッグが叶わないのはワーナー・ブラザースの幹部が原因”という話題は、2024年12月にピアース自身が明らかにしたものだ。「幹部のなかに、“ガイ・ピアースはダメだ、絶対に雇わない”と公言していた人がいたんです。僕を俳優として信頼していなかったんですよ」とが、今のピアースはこの説を信じられなくなっているらしい。
『メメント』のレナード役の演技について、ピアースは「軽薄にやろうとしているけれど、まるでダメだ」と批判する。「かつて、(俳優・演出家の)ジョン・ギールグッドは、“良い映画では良い役者になれる。悪い映画でも良い役者になれる。悪い映画でダメな役者になることもある。しかし、良い映画でダメな役者には決してなれない”と言いました。しかし『メメント』を観ると、良い映画でダメな役者になっているんですよ。最低だ!」
ピアースは、『メメント』を再鑑賞した感想をノーランには伝えていないという。「ノーランも僕と同じ意見だと思いますよ。『メメント』で(アカデミー賞に)ノミネートされるべきだったと言われることもありますが、おかしな話です。ノミネートされなかった理由も今ではわかります」と徹底して批判的だ。
もっともピアースは『メメント』で複数の批評家賞にノミネートされ、サンフランシスコ映画批評家協会賞では最優秀男優賞を受賞するなど、その演技で高い評価を得ている。事実、ノーランから『バットマン ビギンズ』(2005)と『プレステージ』(2006)の出演オファーを受けていたことも以前明かしたのだ。それがこれほど辛辣な言葉で自らを語るほどになるのだから、よほど耐えられないものがあったのだろう。
「『L.A.コンフィデンシャル』(1997)には満足していますが、『メメント』を観ると、“うわっ、観てられない!”と思うんです」とピアース。映像デビュー作となったテレビドラマ「Neighbours(原題)」と比較して、「あの作品での演技を10点中2点だとしたら、『メメント』は5点」とも言っている。
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