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高尾産バッグが米国で賞  市内高校卒の篠原ともえさん監修

タウンニュース

受賞したバッグを持つ同財団のスタッフ

高尾の間伐材でつくられたバッグが世界的な広告賞「第103回ニューヨークADC賞」で佳作に相当すると言われる「メリット」を受賞した。都立八王子工業高等学校(千人町/2010年に閉校)応用デザイン科を卒業した篠原ともえさんが監修したもの。

篠原さんがバッグ製作に至ったきっかけは、市と(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団の共催で昨年から始まった「八王子芸術祭」。市内の5エリアを舞台に、地域の特色を生かした展覧会やワークショップなどを2年ごとに巡回開催していく大型イベントだ。ラストイヤーは31年を予定している。

初めての実施年となった昨年の舞台は、高尾・恩方地域。9月中旬から10月末までの期間中、高尾599ミュージアム(高尾町)でのドームシアターや、夕やけ小やけふれあいの里(上恩方町)でのコンサートなど「芸術」に関するさまざまなイベントが行われた。そのなかで、主催者である同財団が「八王子にゆかりのある人にも参加してもらいたい」と、市内高校出身の篠原さんにオファー。篠原さんが快諾し、高尾地区とアートを掛け合わせるプロジェクトが始まった。

間伐材から紙生成

市内でも自然が多く残る高尾地区。緑を保つために間伐は必須だが、篠原さんのデザイン会社によると、処理に手間がかかるなどの理由から、間伐された木材が森にそのまま放置されることも少なくないという。

篠原さんはこれに着目し、地域の林業者に協力を仰いで、高尾の間伐材を入手。手すき和紙の製法で紙を生成し、耐久性を高めるため紙の裏面に不織布を張り付け、縫製。オリジナルバッグ「CLEANHIKES,GREENPEAKSMT.TAKAO」を完成させた。

昨年の9月末には、期間限定で同バッグを高尾山頂上にある高尾ビジターセンターで登山者に無料配布。高尾山を汚さないよう、ゴミの持ち帰りを呼びかけた。

1万点の中から

そんな「持ち運べるアート作品」が評価の対象になったのは、1921年にニューヨークで広告美術団体が始めた「ニューヨークADC賞」だ。今年で103回目を迎え、「世界で最も古い広告デザイン賞」ともいわれている。今年は62カ国、1万1309点の応募があり、5月に結果が発表された。「ゴールド」は92作品、「シルバー」は130作品、「ブロンズ」は183作品、そして佳作相当の「メリット」363作品の中に、このバッグが選出されたのだ。

同財団は「バッグの発想は篠原さんならではの自由で愉しい、優しいお人柄そのもの。沢山の人が共感を寄せ、(バッグを受け取りに)高尾山に登ってくれたのも嬉しい反響だった」と謝意を表明。篠原さんの会社は「SDGsが謳われる昨今、知られざる林業の課題を独自の技工で解決へと導く新たな挑戦が、世界的な広告賞で評価された形になった」とコメントを寄せている。

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