【相模原市南区】境川洪水対策 3調節池の整備進む 木曽東で今秋取水開始
相模原市と町田市の境を流れる二級河川「境川」。近年の記録的な規模の台風や豪雨から洪水を防ぐ河川整備が東京都や神奈川県で進められている。増水した河川の水を一時的に貯留する調節池の整備は東京都により行われ、そのうちのひとつ、境川木曽東調節池は今秋から取水を開始。相模原市を流れるエリアではその他2施設、合計3施設が計画されている。
境川は城山湖付近を水源に神奈川県と東京都を流れ、相模湾に注ぐ。幹川流路延長は約52Kmに及ぶ。
東京都が管理する鶴瀬橋上流(大和市)から根岸橋(中央区淵野辺本町)まで約10・5Kmの区間で現在、境川金森調節池(上鶴間本町対岸)、境川木曽東調節池(古淵4丁目対岸)、境川木曽西調節池(東淵野辺)と3つの調節池の整備計画が進められている。
大雨で河川に大量の雨水が流れ込むと、氾濫などの可能性が生じる。調節池はそのような際、一時的に雨水をため込む施設となる。
今年秋から取水を開始するのは、木曽東調節池。施工規模は延長115m、幅約60m、深さ約22mで貯留量は約4・9万㎥。25mプールの164杯分に相当する。
さらに下流の金森調節池は旧西田スポーツ広場の地下に建設中で、施設規模は長さ約190m、幅約90m、深さ約20mで貯留量は約15万1000㎥。2026年度の取水開始を目指している。
中里橋と新中里橋の間に建設予定の境川木曽西調節池は25年度中に工事着手を目指し、35年度の事業完了を予定している。
約76万貯留目指す
東京都、神奈川県、横浜市は境川の流域の市街地率の高さや、近年の洪水被害から15年に「境川水系河川整備計画」を策定。これによると、概ね整備計画期間30年を目安に、時間雨量60mm規模の降雨に対応できることを目標に掲げている。
東京都管理区間では時間雨量65mmの降雨に対応することを整備目標に掲げ、都は同区間内に総貯留量約76万㎥の調節池を建設する計画だという。
「早急」対策願う
境川沿いに50年住む松本和壱さん(上鶴間本町在住)は「10年ほど前は気にしていなかったが、最近の気候変動でかなりの恐怖感に変わった」と危機感を募らせる。自宅すぐ裏に、境川本流とつながる旧河川が流れる。「ごごごごと音が鳴っているときはまだ大丈夫。音が止まると本流から水が逆流して危険」と、豪雨時の心構えを話す。
松本さんによると、これまでに床上・床下浸水の経験はないが、年1、2回は豪雨や台風の際に避難所へ避難するという。「雨は今後も間違いなく降る。早急な対策をお願いしたい」と切実に訴えた。