「逃げる」選択できる社会へ 学生団体がワークショップ
子どもの自殺リスクが高まるといわれる夏休み明け。「学校に行くのが辛いときや、心が壊れてしまうほど追い込まれそうになったら、逃げてもいい」。子どもや若者たちに「#逃げ活」を啓発する学生団体MOPの理事・李紀慧さんはこう話す。2回目のワークショップを9月に控える今「逃げることは悪いことではない」と訴える。
「#逃げ活」は厚生労働大臣指定法人の一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」(東京都)が企画した啓発活動。賛同者を中心に全国で展開されている。
同団体もその一つ。自分の場所「MyOwnPlace」という名前を付けて活動している。
先月27日には初めて「#逃げ活」のワークショップを開催。小学生から大学生、保護者の計14人の参加者に「逃げる」ことの大切さを訴えた。
参加者は逃げたいことや、その気持ち、回避法などを付箋に記して台紙に貼りつけた。逃げたいものとしては「SNSの返信」「学校」などが挙がり、回避法では「その場から家に帰る」「推しを愛でる」といった具体的な行動が出た。また、逃げてよかった体験談として「色々な人に出会えた」「気持ちに余裕が生まれて優しくなれた」といった前向きな内容が示され、「逃げる」ことが悪いことではないとの認識が広がったという。
李さんは「他の人の考えを知ることで逃げてもいいんだという後押しになれば」と話す。
同団体は、毎月第2・4土曜に東勝寺(高倉258)で「湘南台MOPHOME〜寺子屋〜」と題した子ども食堂を定期的に開いている。食事の提供に加え、学習支援や遊びを通して交流している。その中で「#逃げ活」を9月14日(土)に開く。対象は18歳以下とその保護者。午後1時30分から7時まで。高校生以下の食事は無料。
市は啓発事業実施
9月10日(火)から16日(月)までの「自殺予防週間」に合わせ、藤沢市は女性のメンタルヘルスに関する講演会を実施する。女性を取り巻く社会の構造や問題を踏まえ、北星学園大学社会福祉学部の高橋あすみ専任講師が「自分を責めないために」と題して語る。9月2日(月)から30日(月)まで申し込みを受け付け、オンライン動画を配信。また、市役所分庁舎1階ロビーでパネル展示が行われるほか、江の島シーキャンドルが自殺対策のシンボルカラーの緑色でライトアップされる。