深海のダンゴムシこと【オオグソクムシでお雑煮を作ってみた】 柔らかな出汁で美味!
知名度がじわじわ上昇中のキモカワ生物オオグソクムシ。見た目の割に良い出汁が取れるので「あの食べ物」を作ってみました。
キモ可愛さで人気の深海生物オオグソクムシ
グッズが数多く作られたり、深海魚専門の水族館ができるなど、近年注目度上昇中の「深海生物」。地上生物たちとは全く異なる珍妙な見た目が人気の理由と言えるでしょう。
そんな深海生物たちの中でも、高い知名度を誇るもののひとつがオオグソクムシ。ダンゴムシやフナムシと同じ等脚類に属する甲殻類の一種です。
見た目はまさにダンゴムシやフナムシを巨大にしたようで、たくさんの足がワシャワシャと動く様子は見るに耐えないという人も多いと思われます。その一方で意外と鈍重で噛んだりすることもなく、スポーツサングラスをかけたような独特の顔つきには可愛らしさもあり、そのギャップが人気の秘密となっているのかもしれません。
実は食材でもある!?
そんなキモカワなオオグソクムシですが、実は食材としての活用も行われています。
オオグソクムシはもともと、深海の筒漁やかご漁などにおいて混獲される”漁の邪魔者”でした。そのため獲れても廃棄されることが多かったのですが、最近では未利用資源の活用の一環でせんべいなどの加工品が作られるようになっています。
そのお味はというと、エビともカニともちょっと異なる甲殻類の香りと、濃厚な風味が感じられ、一般的にも美味の部類であると言えます。シャコの味わいと共通するところもありました。
オオグソクムシ雑煮を作ってみた
筆者は昨年末、縁あって生きているオオグソクムシを大量にゲットすることができました。そこでそれを利用して「お雑煮」を作ってみることにしました。
オオグソクムシはお腹を切り開いて胃の内容物を洗い流し、グリルでしっかりと焼き、そのまま乾燥させます。ダシを取るにあたって、一度乾燥させたほうが良いと思ったため「焼干し」としたのです。
オオグソクムシ焼干しを干し椎茸や昆布とともに水に浸して戻し、そのまま煮立たせてダシをとり、薄口醤油とみりんで淡めに味をつけます。あとは鶏肉や人参、大根などの具材を入れて、柔らかくしたお餅を入れたら完成。
完成品の見た目はなかなかに強烈になりましたが、そのダシは柔らかく、後味にわずかに広がる甲殻類の味噌の香りがワイルドで、とても個性的な美味しさの一品となりました。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>