Yahoo! JAPAN

競争がチームを強くする。ジュビロ磐田の熾烈なポジション争い

アットエス

【サッカージャーナリスト・河治良幸】
ジュビロ磐田はヤマハスタジアムでJ2首位のジェフ千葉に勝利し、勝ち点を15に伸ばした。これでホームは4連勝となり、公式戦もアウエーのFC大阪戦を含めて4連勝と波に乗っている。その原動力が、各ポジションのハイレベルな競争力だ。

(左から)三浦龍輝、阿部航斗、川島永嗣


GKはアウエーの第4節カターレ富山戦までキャプテンの川島永嗣がピッチに立っていたが、連敗という状況でジョン・ハッチンソン監督は第5節のヴァンフォーレ甲府戦で阿部航斗をスタメン抜擢。阿部はハイラインのカバーとビルドアップで大きな仕事を果たし、そこからリーグ3連勝を支えている。

一方でルヴァン杯のFC大阪戦は怪我から復帰してきた三浦龍輝を起用しており、在籍9年目の三浦はキャプテンマークを巻いてチームを鼓舞し、タフな環境での勝利に貢献した。また、このゲームはベンチに大卒ルーキーの西澤翼を置いており、クラブのレジェンドでもある川口能活コーチ率いる磐田GKグループの競争力の高さを感じさせる。

(左から)リカルド・グラッサ、上夷克典、江﨑巧朗、森岡陸


センターバックはここまで新加入の“グリ”こと江﨑巧朗がリーグ戦の7試合フル出場を果たしているが、その“相棒”はリカルド・グラッサと上夷克典が激しいポジション争いを展開している。

上夷は阿部とともに甲府戦からスタメン起用されて3連勝を支えている。ビルドアップはもちろん、守備でも奮闘が目立つ。仙台戦と千葉戦はメンバー外だったリカルド・グラッサも練習で復調をアピールしており、いつチャンスが来ても能力を発揮できそうだ。

また昨年は手術などで、J1でのシーズンの大半を離脱していた森岡陸もルヴァン杯でGK三浦とともに、公式戦で復帰。後半21分までプレーした。90分フル稼働するにはもう少しコンディションを上げていく必要はあるが、大学時代の同僚である日本代表FW上田綺世も認めた実力者が完全復活すれば、磐田のディフェンス陣はJ2屈指の競争力になるだろう。そこに大阪戦のアップ中に痛めてしまったハッサン・ヒル、彼に代わり大阪戦で奮闘した2年目の朴勢己がどう絡んでいくか。

川口尚紀(左)と植村洋斗


右サイドバックは開幕戦から新加入の川口尚紀がスタメンを担ってきたが、長崎戦で負傷交代。その試合で途中出場した植村洋斗はその長崎戦こそ、横内昭展前監督とは違う右サイドバックの役割に戸惑いも見せたが、徐々にフィットしてスタメンに定着した。

開幕前は本来のポジションであるボランチで勝負したいと語っていたが、サイドバックが組み立てで、かなりの重要性を占めるハッチンソン監督のフットボールで、改めて右サイドバックにやりがいを感じている様子だ。

仙台戦のゴールなど攻撃面に目は行きがちだが、守備でも相手のキーマンになるサイドアタッカーを止めるなど、しっかり仕事をこなしているのは印象的だ。同ポジションでは西久保俊輔も新たなサイドバックの役割を習得中だが、現時点では植村が一歩リードしている。しかしながら、川口もようやく怪我から復帰して、すでにチーム練習をフルメニューでこなしており、右サイドバックはそのままJ1のステージに出しても恥ずかしくない、磐田のホットゾーンになりそうだ。

(左から)松原后、川﨑一輝、倍井謙、為田大貴


左サイドバックは松原后が第一人者として君臨するが、為田大貴もじわじわと序列逆転への距離を縮めている。ルヴァン杯の大阪戦では厳しい環境の中で左サイドバックを担い、途中から右サイドバックにポジションを移して奮闘した。

左のサイドアタッカーが本来のポジションだが、そこは倍井謙がスターター、川﨑一輝がジョーカーとして定着してきている。「サイドバックとしては初心者ですし、見習い中なので」と語る為田だが、J1での実績も一度傍に置いて、新たな挑戦を続ける姿勢はチームの競争力を象徴するものだ。

(左から)中村駿、上原力也、レオ・ゴメス、金子大毅


ボランチは中村駿と上原力也がファーストセットになっているが、ルヴァン大阪戦のスタメンコンビである金子大毅とレオ・ゴメスもハッチンソン監督のアタッキングフットボールに順応してきており、今後のリーグ戦で新たな組み合わせが見られてもおかしくない。

鹿児島キャンプの時点ではJ2レノファ山口から新加入の相田勇樹や2年目の植村も同ポジションで競争していたが、相田は2列目でテストされるケースが増えたことに加えて、植村は改めて右サイドバックにチャレンジしている。

ボランチのスタメン争いという意味では中村、上原、金子、レオ・ゴメスの4人が争う構図だが、やはり消耗が激しいポジションでもあり、試合中に交代カードが切られるケースも多い。そういう意味でも金子やレオ・ゴメスの戦術理解が高まっていることは心強く、ここから過密日程や夏場の戦いを考えても、4人のハイレベルな競争が続いていくことはメリットしかない。もちろん今後の展開によっては相田や植村が加わってくるケースもありうる。

川合徳孟(左)とジョルディ・クルークス


右ウイングはジョルディ・クルークスがここまで1得点4アシストを記録しており、今シーズンの磐田における最大の武器になっている。ここまで開幕戦の終盤に川﨑と交代した以外、フル出場を続けている事実が、磐田の現状を物語る。

ただ、決定的な仕事だけでなく、攻守のハードワークを身上とするクルークスがこのままフルに出続ける状況は疲労や怪我のリスクにつながる部分もあり、彼に代わるオプションの発掘が急務となっている。

そこで楽しみなのはルヴァン大阪戦でプロ初得点を決めた川合徳孟だ。2列目の中央が得意で、ボランチもこなせる川合だが、ハッチンソン監督の要求に貪欲な姿勢で応えて、サイドにもトライしている。高い技術に加えてオフの動きが素晴らしく、リーグ戦でのデビューも時間の問題だろう。現在は左サイドで倍井と争う川﨑も起用可能だが、川合がさらに上げてくれば磐田の最大の武器であり、同時に不安要素にもなりうる右ウイングに1つ解決策を見出すことができる。

佐藤凌我(左)と角昂志郎


4−2−1−3の「1」にあたるトップ下は佐藤凌我と角昂志郎が甲乙つけ難いパフォーマンスを見せており、ハッチンソン監督も名指しで高評価するほど、磐田のホットゾーンになっている。現在は角がスタメン、佐藤が後半途中から投入されているが、どちらかがスタートで出れば、もう一人はサブというよりゲームチェンジャーの役割に回るという形に。佐藤は高い機動力、角は局面を打開する技術に優れており、指揮官の求める共通のタスクをこなしながらも、攻撃面での持ち味が全く違うので、対戦相手も的を絞りにくいだろう。

トップ下では川合もオプションとして起用できる上に、ボランチとのポリヴァレントである相田、J3ギラヴァンツ北九州から復帰した藤原健介も有力候補になるが、コンディションの問題もあり、競争に入りきれていない状況だ。

言い換えれば、彼らがポジション争いに加わってくれば、J2優勝&J1昇格を目指すチームの競争力を加速させることになるだけに、ここからの奮起に期待したい。また二種登録ながらルヴァン大阪戦でプロデビューした17歳の大型MF石塚蓮歩も、ここの競争に絡んできたら面白い。

マテウス・ペイショット(左)と渡邉りょう


センターフォワードは4得点のマテウス・ペイショットが新エースとして君臨している。左右からのクロスに合わせる得点力もさることながら、相手ディフェンスを背負って周りの選手につなげるポストプレーにおいても欠かせない存在だ。大一番の千葉戦ではタイミングよく中盤に引いて、相手のセンターバックを引き出すことで角の飛び出しを誘発した。そうしたペイショットを頂点とする磐田の攻撃ビジョンが組み上がってきているだけに、なかなか代役は見出しにくい。

磐田には渡邉りょうという、もう一人の主力級のポテンシャルを持つFWもいるが、ハッチンソン監督のスタイルで、どちらかといえば裏抜けを得意とする彼の特長を、うまくチーム戦術に組み込めているとは言い難い。ただし、ペイショットのターゲット力をベースにした戦い方は、ここから相手のスカウティングが進んできたり、二巡目の対戦になればより対策されてしまうだろう。

またクルークスと同じく、ペイショットも出ずっぱりでは消耗が目に見えるだけに、渡邉が守備面など共通のタスクをこなしながら、ペイショットに無いスペシャリティでスタメンを脅かす存在になっていけるか。夏の補強もありうるポジションだけに、まずはここから渡邉の奮起に期待したい。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【SAKURA セントラルマーケット】お花見を盛り上げるコンテンツが目白押し! |上越市

    日刊にいがたWEBタウン情報
  2. スポーツで“ひとつになる”空間を|本格的な料理を楽しむスポーツバーが子どもたちのスポーツ支援をする理由とは?『The Hungry Moose 名古屋・伏見』

    Sports for Social
  3. 広島交響楽団『平和の夕べ』がザ・シンフォニーホール(大阪)で8月開催 マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ) インタビュー

    SPICE
  4. ジューシーなトマトでお腹いっぱいに♪稲美町で「いなみトマト祭り」開催稲美町

    Kiss PRESS
  5. 近江トラベル、「赤電」で鉄道マニア向けのミステリーツアー 彦根車庫でのスペシャルな撮影会も

    鉄道チャンネル
  6. 【モンハンワイルズ】アルマの着せ替えのやり方・見た目一覧【モンスターハンターワイルズ】

    攻略大百科
  7. 【2025年4月】こなれ感たっぷり。大人可愛いスモーキーピンク系ネイル

    4MEEE
  8. 【モンハンワイルズ】上位ゾ・シアとの戦い方・解放方法|ゾ・シアの調査クエストの出し方【モンスターハンターワイルズ】

    攻略大百科
  9. 【お出かけ情報】復元工事が進む沖縄の象徴・首里城が光に彩られる特別な17日間(4月25日~5月11日)

    コモレバWEB
  10. ココリコ・遠藤の妻、息子達のリュックに大量に詰め込まれていたもの「スキーキャンプから帰ってきた」

    Ameba News