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立川『居酒屋 あお星 Tachikawa』。ぷりぷり食感の蒸し牡蠣やハツ焼き、白湯おでんをおしゃれな空間で

さんたつ

あお星

老舗の居酒屋は常連ばかりでちょっぴり入りづらい、流行りの店だと少し物足りない……そんな気持ちにちょうどよく寄り添ってくれる店が、立川にある『居酒屋 あお星 Tachikawa』だ。産地直送の旬の牡蠣や滋味あふれるもつ焼き、牛骨ベースのだしが染み込んだ白湯おでんを、カフェのようにおしゃれな空間で味わえる。

居酒屋 あお星 Tachikawa

創業20年のオイスターバーが地域密着の居酒屋にリニューアル

隠れ家感のある外観。日本酒の形をした提灯に書かれた「生牡蠣」「蒸し牡蠣」の文字だけで食欲をそそられてしまう。

いろいろなお酒が飲める店で、おしゃれさもほしい。そんなときにぴったりの店が、立川駅の南口から歩いて5分ほどにある『居酒屋 あお星 Tachikawa』だ。

この地で20年営業していた「INopen(インオープン)」という名のオイスターバーがガラリとリニューアルし、2024年4月から居酒屋として再出発した。

コの字型のオープンキッチンを囲うように座席が配されている。椅子がバラバラなのも味があっていい。

白に木目調がアクセントになった空間は、まるでおしゃれなカフェのよう。取材は昼間に伺ったため明るいが、通常の営業時間帯(17時~)は外が暗くなり、店内も落ち着いた雰囲気に一変する。

スピーカーからは心地よくBGMが流れ、肩の力がふっと抜けていく。お客さんがリラックスして過ごせるよう、座席同士の間隔はあえてゆったりと設けているそう。

座席はテーブル席のほか、一人客にうれしいカウンター席もある。目の前で繰り広げられる調理風景を眺めてくつろいだり、ときには隣のお客さんと話してみたりと気ままに過ごせる。

メニューは手元のメニュー表で確認できるほか、その日のおすすめや季節限定メニューがキッチンの上部にあるパネルに表示されている。画像付きで親切だ。

「時代に左右されず、地元で長く続けていける店をつくりたい」と話すのは、店主の角田純史(つのだじゅんじ)さん。20年続けていた店を、店名も新たにリニューアルしたきっかけはコロナ禍だった。

「前の店ではデートのご利用が多く、地元の方よりも他の街から遊びに来た方々に利用していただくことがほとんどでした。それがコロナ禍になり、ご近所の方や地元の方にすごく支えられたことを実感したんです。そこから、より地域に根付いたお店をつくりたいと思うようになりました」

新たなチャレンジとして、料理の価格帯を以前よりリーズナブルに設定し、メニュー内容を一新。店内も改装しカジュアルな雰囲気にしたことで、より幅広い人に来てもらえる店づくりを目指した。その成果もあって、リニューアル後は女性の一人客や年配の方、ファミリーなど客層が広がり、新たなにぎわいを見せている。

居酒屋の定番メニューをおしゃれにアレンジ

芸術的に盛り付けられたハツ焼き540円。

オイスターバーから続けている牡蠣に並ぶ新名物として、リニューアル後から始めたのが “もつ焼き”。串ではなくお皿で提供するスタイルのため、シェアしやすいのが魅力だ。

「カジュアルに食べていただける居酒屋メニューといえば焼き物かなと思い、新たに挑戦してみました。牡蠣がお好きな方は、ハツやレバーなどの内臓系もお好きな方が多いんですよ」と角田さん。

なかでも人気なのがハツ焼き。朝締めの新鮮な鶏のハツを丁寧に下処理し、少しお酒に漬けることで臭みを抜き、仕上げは特製の醤油だれで焼き上げる。ぷりぷり食感のハツはクセがなく、特製だれの香ばしさも相まってなんとも滋味深い。普段は食べないという人にもぜひ試してみてほしい一皿だ。

鮮やかなブルーが美しい、あお★レモンサワー640円。

お酒は居酒屋定番のビールやサワー系をはじめ、ホッピーや日本酒、ワイン、モエ・エ・シャンドンなどの高級シャンパンまで実に豊富なラインアップ。これだけ充実していれば、たとえ一緒に飲む人たちのお酒の好みがバラバラでも安心感がある。

数あるお酒の中で店を象徴する一杯が、店名を冠したあお★レモンサワーだ。レモンサワーなのにブルーという意外性がユニークなのに加え、甘さ控えめのさっぱりとした飲み口がどんな料理にも合わせやすい。同じグラスにおかわりで100円引きというサービスも良心的だ。

マストで食べたい!蒸し牡蠣と白湯おでん

そして「INopen」時代から現在まで、変わらず名物メニューとなっているのが牡蠣。『居酒屋 あお星 Tachikawa』に訪れたら必ず食べておきたい自慢の一品だ。

「前の店で牡蠣を始めたきっかけは、東日本大震災の復興支援でした。現地の生産者さんから三陸の牡蠣を広めてほしいという動きがあり、僕自身も牡蠣が好きだったので、三陸の牡蠣のおいしさをアピールしながら始めたんです」

いつしか牡蠣は店の顔となり、現在では全国各地の旬の牡蠣を取り扱うまでになった。

生牡蠣に並ぶ人気の蒸し牡蠣。

この店では生牡蠣と同じくらい蒸し牡蠣が人気。一度食べてから気に入って、来店時には必ず注文するという人も少なくない。今回はそんな魅惑の蒸し牡蠣を注文してみることに。

ふっくらとした見た目の牡蠣は、口に入れた瞬間から弾けるようなぷりぷり食感! オリーブオイルと一緒に食べることで旨味が増し、苦味や生臭さは一切感じない。レモンを絞れば、さらにさっぱりと食べられる。これはリピーターが多いのもうなずける味わいだ。

角田さんいわく、蒸すことで余分な海水の味が抜け、牡蠣本来の旨味がギュッと凝縮されるのだとか。「生牡蠣はあまり得意じゃないという方でも、蒸し牡蠣はおいしく食べられるという場合も多いですよ」とのこと。

蒸し牡蠣、生牡蠣のどちらも単品やセットで注文できる。単品の牡蠣はその日の仕入れ状況によって値段が変動するため、店員さんに尋ねてみよう。おすすめは、お酒と牡蠣のペアリングを楽しめる生牡蠣セット(蒸し牡蠣に変更可)。牡蠣1ピースと生ビールまたはスパークリングのセットで1180円(牡蠣2ピースは1760円)というお得感のあるセットだ。「まずはコレ!」というときにも頼みやすい。

数量限定の白湯おでん600円。倍盛りは1000円。

数量限定の提供だが、もう一つのいちおしメニューが、白いスープが印象的な白湯おでん。韓国の牛骨スープ「ソルロンタン」風に、牛骨ベースという一風変わったおでんだ。

とろとろになるまで煮込まれた牛すじがゴロゴロと入っていて、見ているだけで気分が上がる。

卵は半熟がこだわり。スープとは別で作るという、一手間かかった具材。

牛すじと牛骨でだしをとるというアイデアは、角田さんのオリジナル。白いスープには牛の旨味がしっかりと溶け込んでいるが、おでんらしいやさしさも感じられた。絶妙にまろやかでやさしい白湯スープは、おなかの中から体を温めてくれる。

「関西風の牛筋が入ったおでんを作りたくて、試しに牛骨ベースでだしをとってみたらすごくおいしかったんです。関東風や関西風とも違う、鶏白湯でもない珍しい白湯おでんができました」

ありそうでなかったおでんは、ほかでは食べられないためファンが多い。『居酒屋 あお星 Tachikawa』に来たら、名物メニューを制覇してみよう。

居酒屋 あお星 Tachikawa
住所:東京都立川市錦町1-5-35 1F/営業時間:17:00~22:00LO(日は~21:00LO)/定休日:不定/アクセス:JR立川駅から徒歩5分

取材・文・撮影=稲垣恵美

稲垣恵美
ライター
北海道出身のお散歩・お出かけ好きライター。晴れた日はどこかに出かけたくてソワソワしだす。フリーペーパーの出版社勤務後、現在はフリーランスで活動中。

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