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VOW WOW復活第2弾ライヴ:40年以上を経て進化を遂げた唯一無二の音楽! 2025.1.8 @TOKYO DOME CITY HALL

YOUNG

VOW WOW

昨年(2024年)6月29日&30日に、14年ぶりとなる再結成ライヴを神奈川県川崎市のクラブチッタで行なったVOW WOW。この公演は2023年に逝去した新美俊宏(dr)の一周忌の追悼と、1stアルバム『BEAT OF METAL MOTION』(1984年)のリリース40周年を記念したもので、チケットはわずか数分で完売となり、VOW WOWが「今も待ち望まれている存在」であることを実感させることとなった。実際、同公演で彼らは衰えを感じさせないどころか、より一層パワー・アップした姿を2日間にわたって披露。このバンドの音楽が今なお強い輝きを放っていることを示し、大成功のうちに幕を降ろしている。

この2デイズ・ライヴを観たいと思いながらも叶わなかったファンが多かったことから、VOW WOWは追加公演を行なうことを決意。新しい年が明けた1月8日&9日、<SUPER LIVE 2025 VOW WOW 『THE RETURN OF THE KING』>と銘打った公演が、今度はTOKYO DOME CITY HALLで開催された。会場のキャパシティを大幅に引き上げ、さらに平日の開催だったにもかかわらず、今回もチケットは瞬く間にソールドアウト。両日ともに立ち見が出るほどの盛況ぶりとなった。今回はそんな同公演の、初日の模様をお届けしよう。

上質な轟音で場内のヴォルテージを一気に高める

暗転した場内にオープニングSEとして「In The Beginning」が流れ、ステージ前面に降ろされた幕が開いて、バックライトに照らされたメンバーたちのシルエットが浮かび上がる。客席から湧き起こる大歓声と熱い拍手を切り裂くようにソリッドなギター・リフが鳴り響き、ライヴはアップテンポの「Go Insane」から始まった。オープニングからステージの左右を行き来しつつ、パワフルかつブルージーな歌声を聴かせる人見元基(vo)。向かって右側のアンプ前に陣取り、軽やかなステージングと群を抜いて精緻なギター・ワークで魅了する山本恭司(g)。向かって左側に要塞を構え、ドレッシーな服装に身を包んで重厚なオルガンの音色で楽曲を彩る厚見。個性の異なる三者の音が1つになることで生まれるケミストリーは、本当に魅力的だ。そしてサポートの永井敏己(b)と岡本郭男(dr)による、勢いと安定感を兼ね備えたグルーヴも心地よさにあふれている。VOW WOWならではの上質な轟音にオーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内のヴォルテージは一気に高まる。

「久しぶりだぜ! 今日は初めてVOW WOWのライヴに来てくれた人も多いと思います。楽しんでいってくれよ!」という人見のMCも挟みつつ、続いて力強く駆ける「Siren Song」、アッパーな「You’re The One For Me」、どっしりとしたサウンドと粘りに満ちた歌声が素晴らしい「Love Walks」をプレイ。ハードネスとキャッチーさのバランスが絶妙な楽曲と、メンバーが繰り広げるハイ・レベルな演奏の応酬には、耳を奪われずにいられない。人見のヴォーカルは豊かな声量や超絶なハイ・トーン、そして胸にズンッと響くエモさがどの曲でも本当に素晴らしいし、山本のギターは発音の良さ、スピード感、歌心などのバランス感が圧倒的。そして厚見のテクニカルかつスリリングなシンセサイザー・ソロは、多彩な音色で楽曲のテイストを深化させ続ける。何と貴重な場だろうか。

翳りを帯びたバラード「I’ve Thrown It All Away」や、ダークなオリエンタル・テイストの「Mountain Top」でオーディエンスをさらに惹き込んだ後は、山本恭司のギター・ソロ・セクションが始まった。宇宙を思わせる深淵な音世界で幕を開け、E-BOWを使った尺八風奏法(これが非常にリアルで驚かされた)、バックトラックに絶妙に合わせたハーモニー、ヴァイオリンの弓を使った神秘的なボウイングなどを経て、生リズム隊との超高速ユニゾンで締める…。まさに百花繚乱という言葉が似つかわしく、最高峰のギター・スキルを発揮しながらも、決してテクニックで圧倒するわけではない。ギターを弾かないリスナーも魅了する構成で楽しませてくれたのは、さすがの一言に尽きる。

前半戦の最後はスケールの大きなシャッフル・チューン「Nightless City」。高揚感あるサウンドを笑顔を浮かべながらプレイするメンバーの姿に、オーディエンスは最高のリアクションを見せ、大合唱があちこちで起こる。そんな華やかな盛り上がりで締め括った後、場内は一旦の幕間となった。

早過ぎたバンド」が生んだ驚異的な独創性

20分ほどのインターヴァルを経て、後半戦は人見がアカペラで歌う「Superstar」(レオン・ラッセル)で幕を開けた。抑揚を効かせた情熱的な歌は本当に圧倒的で、上手いとか凄いといった平べったい言葉では表現できない「惹き込む力」にあふれている。歌い終わると同時に、客席からは感嘆の声と熱い拍手が湧き起こった。

再びメンバー全員がそろい、パワフルなミディアム・チューン「Don’t Tell Me Lies」で会場を再び熱くさせる。さらに「久しぶりにこの曲をやるぜ!」との人見の言葉とともに始まったのは、ヘヴィな「Stay Close Tonight」だ。こういった曲たちを聴いて改めて感じるのは、VOW WOWは’80年代に活躍したバンドでありながら、意外なほどに時代性が薄いということ。今聴いても古さを感じさせず、彼らが当時から流行に惑わされることない音楽作りに邁進していたことがよくわかる。ただ、もしかすると同時にそれが、VOW WOWというバンドの見えにくさにはつながっていたかもしれない。「メタルのようでもあり、プログレのようでもあり、ブルース・ロックのようでもあり…。結局どれなのかよくわからない」という。その感覚は理解できる。

しかし、様々なジャンルのクロスオーヴァーが進み、新しい音楽が数多く生まれ続けている現代の耳でVOW WOWを聴くと、その魅力は即座にわかる。そういう意味で彼らは「早過ぎたバンド」だったと言えよう。とにかく40年前にこれほどの独創性と魅力を併せ持ったロックをクリエイトしていたことに、本当に頭が下がる。

続いてMOON DANCER時代の名曲「アラベスク」の弾き語りなども交えた厚見のクラシカルなキーボード・ソロを挟み、AOR風味が香る「Signs Of The Times」、哀愁に彩られた「Pains Of Love」などでさらに幅広さを見せながら、ライヴはクライマックスへ向かう。独自の解釈を活かしてよりラウドかつ煌びやかに仕上げたザ・ビートルズの「Helter Skelter」、ビリビリした緊迫感が心を駆り立てる「Hurricane」が畳みかけるように演奏され、場内の熱気はさらに上昇。ここへ至っても全くパワー・ダウンすることなく、豊かな声量を持続させる人見は本当に驚異的だ。もちろん精力的なステージングで表現力豊かにソロを奏でる山本も、ショルダー・キーボードを携えて華やかなキーボード・ワークを展開する厚見もしかり。強い輝きを放つメンバーたちの姿とパワフルなサウンドに、オーディエンスも激しいリアクションで応える。本編ラストにファスト・チューン「Shot In The Dark」が繰り出されると、盛り上がりは最高潮に達し、再び大合唱が湧き起こる。そして晴れやかな余韻を残してVOW WOWはステージから去っていった…かと思いきや、ほとんど間を置かずにさらに2回ものアンコールもこなす精力ぶり。ベテランの驚異的なエネルギーを、最後の最後に見せつけてくれた。

冒頭にも書いたとおり、彼らが昨年行なった14年ぶりの再結成ライヴは、そのクオリティの高さが衝撃的だった。今回のライヴはさらにバンド感が増すとともに、メンバーそれぞれの見せ場もより充実するなど、一層密度が濃くなっていたことが印象的だった。緻密な構築感と、それによって生まれる洗練感をまとったハードネス、年齢を重ねても失われることのない力強さ…。これらを併せ持った現在のVOW WOWは、まさに唯一無二の存在と言える。“本物”を求める機運が高まりつつある今の時代だからこそ、今後の彼らの動きにおおいに期待したい。

VOW WOW @TOKYO DOME CITY HALL 2025.1.8 セットリスト

[第1部] (SE)In The Beginning 1. Go Insane 2. Siren Song 3. You’re The One For Me 4. Love Walks 5. I’ve Thrown It All Away 6. Mountain Top 7. 山本恭司ギター・ソロ 8. Nightless City [第2部] 9. Superstar(人見元基ヴォーカル・ソロ) 10. Don’t Tell Me Lies 11. Stay Close Tonight 12. 厚見玲衣キーボード・ソロ 13. Sign Of The Times 14. Pains Of Love 15. Helter Skelter 16. Premonition~Hurricane 17. Shot In The Dark [encore 1] 18. Don’t Leave Me Now 19. Shock Waves [encore 2] 20. Rock Me Now

(レポート●村上孝之 写真●森島興一/森島由美)

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