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アクセプト、新旧人気曲を好バランスで見せた8年ぶりの日本公演! 2025.5.13@LINE CUBE SHIBUYA

YOUNG

アクセプト東京公演 2025.5.13

トリプル・ギターの妙技、ウルフ・ホフマン熱演

ジャーマン・メタル・シーンきっての重鎮中の重鎮──昨年(2024年)、デビュー45周年を迎えたアクセプトが、その節目にリリースした第18作『HUMANOID』に伴い来日中! 前回来日は2017年で、コロナ禍以降しばらく日本を訪れる機会がなく、2019〜20年にトリプル・ギター編成となってから、これが初のジャパン・ツアーとなる。現バンド・ラインナップは、首魁ウルフ・ホフマン(g)以下、マーク・トーニロ(vo)、ウヴェ・ルイス(g)、フィリップ・ショウズ(g)、マルティン・モイック(b)、クリストファー・ウィリアムズ(dr)で、’17年からはベースが交代しており、3人目のギタリスト:フィリップにも、言わずもがな注目が集まるに違いない。今回のツアーでは東京、大阪、川崎を廻るが、そのツアー初日となった5月13日:LINE CUBE SHIBUYA公演の速報レポートをここにお届けしよう!

開演予定時刻の19時ピッタリに、ショウはまず『HUMANOID』からの2連打で幕開けた。ただ、その「The Reckoning」と「Humanoid」の反応はまずまず。腕を高く振り上げ、のっけからヘドバンに興ずる観客も少なくなかったものの、クリストファーのパワフルなビートに軽く体を揺らす程度で、序盤はちょっと様子見…といったスロー・スタート派(?)もちらほら見られる。場内の一体感が一気に高まったのは、3曲目に1982年作『RESTLESS AND WILD』タイトル・チューンのイントロが炸裂した時だった。やはり、定番・人気の初期レパートリーは強い! バンドが求めずとも自然と手拍子が起こり、弦楽隊4人が並んで動きを合わせるフォーメーション・プレイに、歓声がさらに大きくなる。

ギタリスト3名は、いずれもフレイマスのVシェイプ“WH-1”を使用。ウルフは軍用機の機体っぽいメタリックなフィニッシュの“Flying Fortress”、ウヴェはボディとネックに混沌の紋章をあしらった“Chaos Artwork”、フィリップはシンプルな白の“Solid Cream White”…と3者3様ながら、このウルフのシグネチュア・モデルのシリーズはアクセプトのオフィシャル・ギターになったのだな…と思ったら、4曲目の「London Leatherboys」(1983年『BALLS TO THE WALL』収録)でウルフとフィリップがギターを持ち替え、前者が2014年作『BLIND RAGE』のアートワークをモチーフとした赤い“WH-1”、その名も“Blind Rage”を手にしたのに対し、後者はギブソンのフライングVを抱えているではないか。まぁ、かつてはウルフも愛用していた“本家V”ということで、これまたアクセプトのトレードマークには違いないのだが。

以降、2人は3〜5曲毎にその2本を交互に持ち替え、ウヴェだけは“Chaos Artwork”1本で通していた。フィリップのギブソンは“Blind Rage”に対応させているのかと思いきや、ウルフが“Flying Fortress”、フィリップがギブソンという組み合わせの曲もあり、特に決まりがあったワケではないようだ。ウヴェに関しては、“Chaos Artwork”が大のお気に入りで、よっぽど相性が良いということか。

そんなギタリスト3人の関係性で気になった点がある。それは、言わば新入りのフィリップが、多くの場面で古株のウヴェよりも優遇されていたこと。いや…優遇という言い方が正しいかどうか分からないが、ウルフ、マーク、フィリップの3人だけでフォーメーションを組む場面が多く、あまりウヴェが参加させてもらっていなかったのは、かつてのハーマン・フランクを思い出して、ちょっと切なくなってしまった。実際、ウヴェは下手側の“持ち場”から動くことがほとんどなく、何故だかコーラス・マイクも、彼にだけ用意されていなかったし…。

ただし、ウヴェが全く前へ出てくることなく、全然活躍させてもらえなかった…ということでもない。これまで通り、「Restless And Wild」ではメイン・ソロを任されていたし、本編ラストの「Pandemic」(2010年『BLOOD OF THE NATIONS』収録)やアンコール最後の『I’M A REBEL』(1980年)表題曲では、上手側まで大きく移動してきてソロを熱奏。また「Pandemic」のエンディングには、トリプル・ギターによる掛け合いソロがあり、和気あいあいとしたムードでウルフ達とアイ・コンタクトを交わしてもいたし。ちなみに、フィリップはいきなり1曲目の「The Reckoning」から短いながらもソロを執り、同じ『HUMANOID』からの「Straight Up Jack」ではかなり長めにソロを弾きまくり、「Shadow Soldiers」(2012年『STALINGRAD』収録)でもウルフとツイン・リードを奏で…と、新米なのに(?)なかなかの寵愛されっぷりではあった。

ほとんどの楽曲でソロを執るウルフは、これまでと同じく“顔で弾く”熱のこもったプレイが最高で、「The Best Is Yet To Come」(2021年『TOO MEAN TO DIE』収録)のブルージーなオブリからの泣きソロ、「Dying Breed」(2014年『BLIND RAGE』収録)のマイケル・シェンカーばりのエモいフレーズ連発、そして、文字通りギターを歌わせまくっていた「Pandemic」のセカンド・ソロが、この日のベスト3だったと言いたい。

クラシック・ヒッツに留まらない選曲の広さ

セットリストで注目は、「Riff Orgy」(“リフの乱痴気騒ぎ”?)とタイトルされたメドレーだ。ショウ中盤に飛び出し、『RESTLESS AND WILD』から「Demon’s Night」〜『BREAKER』(1981年)から「Starlight」〜『BALLS TO THE WALL』から「Losers And Winners」〜『RESTLESS AND WILD』から「Flash Rockin’ Man」と、決してレア曲ではないが、定番でもない隠れた(?)人気曲が次々繰り出され、新旧オーディエンスを大いに沸かせていた。個人的に残念だったのは、1986年作『RUSSIAN ROULETTE』と1993年作『OBJECTION OVERRULED』からの選曲が全くなかったこと。前者なんてかなりの人気作だと思うのだが…。

他に1曲もプレイされなかったアルバムとしては、『EAT THE HEAT』(1989年)、『DEATH ROW』(1994年)、『PREDATOR』(1996年)に加えて、デビュー作『ACCEPT』(1979年)があり、意外や『THE RISE OF CHAOS』(2017年)からもセレクトされず。また新旧楽曲のバランスを見ると、『RUSSIAN ROULETTE』以前と『BLOOD OF THE NATIONS』以降の選曲数がそれぞれ同じぐらいだったり。メドレー構成曲を1曲とカウントすると初期曲が多めになるが、それでも近作からの楽曲が少な過ぎる…とはならない点は特筆しておきたい。ベテラン・バンドの多くが、キャリア初期に人気を確立した旧曲をどうしても多めに演奏しがちなところ、アクセプトはそれに頼ってしまうことなく──いや…それどころか、『BLOOD OF THE NATIONS』と『TOO MEAN TO DIE』の楽曲でショウ本編の最後のセクションを締め括ったのだから天晴れだ。

そこにウルフの意地を見て取ることが出来る。「俺達はクラシック・ヒッツだけでしか盛り上がれないロートル・バンドなんかじゃない…!」と、彼は毅然と胸を張っているのだ。さらに、もう15年以上の付き合いとなるマークに対する信頼の厚さ、彼へのリスペクトも強く感じさせた。現在ウルフは65歳で、マークは何と70歳! しかし、あと1ヵ月とちょっとで71歳になるなんて、とても信じられないぐらいに、マークの声は未だもってパワフルこの上ない。そんな彼の“持ち曲”は、最新作収録曲こそ「まだこれから」といった反応ではあったが、『BLOOD OF THE NATIONS』の「Pandemic」と「TeuTonic Terror」は、もはやクラシックになりつつある…と言っても過言ではないのでは?

無論、いつだって大合唱が起こり、ヘドバンの嵐が吹き荒れる「Metal Heart」(1985年『METAL HEART』収録)や「Fast As A Shark」(『RESTLESS AND WILD』収録)や「Balls To The Wall」(『BALLS TO THE WALL』収録)に匹敵するまでになったか…というと、実際そこまでではないものの、マーク期を代表する曲として今や新旧ファンの間ですっかり定着しているのは疑うべくもない。このあとの大阪公演と川崎公演でもきっとプレイされるだろうし、大いに盛り上がること請け合いだ。

そして、その2公演で演目に追加や変更があるのか──そこにも注目したい。海外では、『HUMANOID』から「Frankenstein」がプレイされたことがあるし、定番クラシックスとしては、「Up To The Limit」や「Living For Tonite」(いずれも『METAL HEART』収録)辺りに期待する人も多いハズなので。もし迷っているのなら、観に行かなきゃあとで後悔する…かも? まだまだ現役バリバリで気を吐く大ベテランの現在進行形を観逃すことなかれ…!!

アクセプト HUMANOID JAPAN TOUR 2025 東京公演@LINE CUBE SHIBUYA 2025.5.13 セットリスト

1. SE〜The Reckoning
2. Humanoid
3. Restless And Wild
4. London Leatherboys
5. Midnight Mover
6. Straight Up Jack
7. The Abyss
8. Dying Breed
9. Riff Orgy:Demon’s Night〜Starlight〜Losers And Winners〜Flash Rockin’ Man
10. Breaker
11. The Best Is Yet To Come
12. Shadow Soldiers
13. Princess Of The Dawn
14. Metal Heart
15. Teutonic Terror
16. Zombie Apocalypse
17. Pandemic
[Encore]
18. SE〜Fast As A Shark
19. Balls To The Wall
20. I’m A Rebel
21. Outro:Bound To Fail(SE)
 

HUMANOID JAPAN TOUR 2025 概要

出演:
マーク・トーニロ(vo)
ウルフ・ホフマン(g)
ウヴェ・ルイス(g)
フィリップ・ショウズ(g)
マルティン・モイック(b)
クリストファー・ウイリアムズ(dr)

東京公演(終了)
日程:2025年5月13日(火) 
会場:LINE CUBE SHIBUYA
開場 18:00 / 開演 19:00
チケット料金(全席指定、税込):
前売 13,000円
詳細・お問い合わせ:チッタワークス
044-276-8841(平日12:00~13:00/15:00~18:00)

大阪公演
日程:2025年5月15日(木) 
会場:なんばHatch
開場 18:00 / 開演 19:00
チケット料金(全席指定、税込、ドリンク代別途):
前売 13,000円
詳細・お問い合わせ:キョードーインフォメーション
0570-200-888 (11:00~18:00 ※日曜・祝日休業)

神奈川公演
日程:2025年5月16日(金)
会場:クラブチッタ
開場 18:00 / 開演 19:00
チケット料金(スタンディング、税込、ドリンク代別途):
前売 9,800円
詳細・お問い合わせ:チッタワークス
044-276-8841(平日12:00~13:00/15:00~18:00)

公式インフォメーション
ACCEPT CITTA ‘WORKS

(レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura pics●Yuki Kuroyanagi)

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