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【尾道市】島ライダー 〜 しまなみ海道をレンタルバイクで楽に!自由に!爽快に!

備後とことこ

島ライダー 〜 しまなみ海道をレンタルバイクで楽に!自由に!爽快に!

広島県尾道市から愛媛県今治市まで、全長約60kmを風光明媚な瀬戸内海の島々を7つの橋で結ぶ道、しまなみ海道(正式名称:瀬戸内しまなみ海道)。

穏やかな海、自然豊かな島、美しい橋の風景、おいしいグルメ、史跡など見どころがたっぷりあります。

「サイクリストの聖地」としても有名です。

ただ、「絶景サイクリング」に憧れて訪れた初心者サイクリストの大半は、しまなみ海道の島をひとつ渡って、折り返して帰ってしまうのだとか。

想像以上に坂道が多く、自転車で進むには体力が必要なので、残念ながら「行きたかったスポットにたどり着けなかった」、「汗だくできつかった思い出しかない」という人も多いそうです。

しまなみ海道を、もっと爽快に、自由に楽しんでほしい!

そのような思いでスタートしたのが、原付バイク(原動機付自転車)をレンタルできる「島ライダー」です。

原付バイクなら、アクセルを回すだけで坂道も軽々。各島に寄り道しやすく、しまなみ海道の旅を思い切り堪能できます。

ふだんバイクに乗らない初心者1名+ベテランライダー2名で、実際に原付バイクをレンタルしてしまなみ海道の旅を楽しんできたのでレポートします。

そして、レンタルバイク「島ライダー」や併設する宿「尾道stay 源 -MINAMOTO-」を運営する若松さん夫婦に、始めた経緯や思い、これからのことを聞いてみました。

しまなみ海道をレンタルバイクで楽しめる「島ライダー」

「島ライダー」は、しまなみ海道付近に5拠点を置くレンタルバイク施設です。

アクセス抜群の立地

・新尾道駅
・JR尾道駅から渡船で5分の向島(むかいしま)
・因島(いんのしま)
・生口島(いくちじま)
・しまなみ海道の四国側 今治

2023年4月に生口島の瀬戸田からスタートして以降、拠点が増えてきました。

公共交通機関を使っても利用しやすい、アクセス抜群の立地であるのが特徴です。

レンタルできるバイク

50ccの原付バイクであれば、普通自動車免許を持っている人は運転可能です。

こちらは島ライダーでレンタルできる50ccの原付バイク、YAMAHAのVino(ビーノ)

丸みのあるシルエットと、明るい赤・黄色の車体がかわいらしく、旅気分を盛り上げてくれます。

運転中の道路上でほかの運転者から目につきやすく、安全面にも考慮してのカラーなのだそう。

スクーターなので足元の操作はなく、ハンドル右手でアクセルを回すと進みます。

ブレーキは、自転車のようにブレーキレバーを握ればOK。操作も簡単です。

レンタルできるバイクは、50ccの原付バイクのほか、110cc・125ccの原付二種があります。

Super Cub(110cc)

スマホホルダー、USB充電ソケットがついており、ハンドル近くで地図アプリを表示しながら運転することが可能。

料金内で保険に入れるほか、運転に必要なヘルメットやグローブを借りることもできます。

Super Cub(スーパーカブ)以外のスクータータイプのバイクは、シート下がメットイン(ヘルメットなどが入れられる収納スペース)になっており、荷物を入れられます。

Super Cubはメットインがありませんが、リアボックスがついているのでこちらも積載可能です。

自由に旅ができるこだわりサービス

「島ライダー」はスマホで予約から決済までを事前に完了できます。

無人貸し出し・返却にも対応。バイクの運転操作に自信がない人は、島ライダー向島では貸し出し時にていねいにレクチャーしてもらえるので、安心してください。

レンタカーやレンタルバイクといえば、ガソリンを満タンにして返却する必要がある場合がほとんどですが、島ライダーはガソリンを満タンにして返却する必要はありません

また、別途料金で、島ライダー5拠点のどこでも乗り捨て(借りた場所と別の場所へのバイク返却)ができます。

そのほかのオプションで、「朝早くから走りたい​」、「夜景を見に行きたい」、そのような旅人に優しい早朝プランや深夜プラン、手ぶらでキャンプツーリングが楽しめる「キャンプセット」プランもあります。

自由度高くしまなみ海道を楽しめる仕組みになっているのです。

向島営業所併設の宿泊施設「尾道stay 源 -MINAMOTO-」

島ライダーのメインの拠点、向島営業所には、宿泊施設「尾道stay 源 -MINAMOTO-」が併設されています。

島ライダー 向島営業所

元割烹(かっぽう)料亭だった建物をリノベーションし、2024年5月から本格始動。

JR尾道駅から渡船5分と徒歩1分という立地なので、尾道観光にもしまなみ海道観光にも便利です。

前泊することで、翌日朝から丸一日レンタルバイクでの旅を楽しめます。

バイクはお酒を飲んだら乗れません。旅を楽しんだ日の夜に宿でお酒を飲みながらわいわい過ごして一泊するというのもいいでしょう。

2階建ての建物で、1階は共有エリア。大きなキッチンとカウンター・テーブルがあります。

2階には和室や洋室、タイプの違う合計4つの寝室がありました。

共有シャワールーム3つ(うち1つが女性専用パウダールームにあり)、共有トイレ1階2つ(うち1つが女性専用)、2階1つ、共有洗面台3つ(うち1つが女性専用)を備えています。

私たちは旅の前日に宿泊して、鍋パーティー。

一棟貸し限定プランでは調理道具をお借りできて、キッチンも広くて使いやすく、快適に楽しめました。

お鍋やカラトリー、カセットコンロ、調理器具の貸し出し、ガスコンロは、一棟貸しでの予約時の特別プランとなります。それ以外のプランの宿泊者でも、テイクアウトしたものなどの持ち込み、電子レンジ、ケトル、コップ類の利用はOKとのことです。

いざ、しまなみ海道をバイクで!

今回、しまなみ海道のバイク旅を楽しんだのは以下の3人です。

【初心者たかたん】
ふだん、車の運転はするけれど、原付バイクは教習所以来。
ちゃんと運転できるかドキドキ。
この日は広島県東広島市から電車と渡船で向島営業所に集合。

初心者たかたん

【ベテランwa-ko】
ふだんからSuper Cubなどのバイクを乗りこなすベテランライダー。
大阪府東大阪市から夫のなっちゃんとともに、車でしまなみ海道入り。前泊で参加。

ベテランwa-koと島ライダーのSuper Cub

【ベテランこばん(私)】
ふだんからSuper Cubに乗っているベテランライダー。
岡山県浅口市から愛車のSuper Cubでしまなみ海道入り。前泊で参加。

ベテランこばん(私)と愛車のSuper Cub

初心者たかたんさんは、かなり緊張していましたが、「島ライダーのWEBサイトで原付バイクの運転方法を予習できたのでちょっとは心づもりができました!」とのことでした。

wa-koさんの夫のなっちゃんもライダーですが、腰痛のため、レンタルバイクはせずに歩いて尾道観光で別行動。こういった楽しみ方もできます。

初心者でも安心のレクチャー

「原付バイクに乗るのは教習所以来」というたかたんさんは、しっかりと20分ほどかけてレクチャーしてもらえました。

バイクの操作や、ヘルメットのかぶり方など、細やかに説明してくれます。

そして、安全面を考慮しながら車道で運転の練習もできました。

安全な車道で練習中のたかたんさん

初心者たかたんさん、実際に走ってみると「おー!楽しい!」とのこと。

たかたんさんと私は50ccのVinoをレンタルしてみました。

ふだんからSuper Cubに乗り慣れているwa-koさんは、Super Cub(110cc)をレンタル。

ほどなくして、3人一緒に出発です!

原付道の走り方

島ライダーの向島営業所から南に走り、片道約80km、6つの橋を渡って四国を目指す旅のスタートです。

向島、因島、生口島、大三島、伯方(はかた)島、大島、四国。果たしてたどり着くでしょうか。

向島では、初心者たかたんさんの調子を見るべく2回休憩しました。

そういった休憩スポットも、若松さんたちに教えていただけたので良かったです。

いよいよ、最初の橋、因島に渡る橋「因島大橋」が見えてきました。

車や中型バイクは、しまなみ海道の橋を渡るには高速道路を走りますが、歩行者、自転車、125cc以下の原付バイクは、橋の手前から現れる専用道(橋の部分のみ原付道及び自転車歩行者道が併設)を走ります。

歩行者、自転車と原付バイクが同じ道を走ることもあれば、原付バイクだけが走る道もあり、入口の標識を見て道を選ぶ仕組みです。

因島大橋までの道は、原付バイクと自転車が一緒に走るタイプでした。

急こう配の坂道でも、アクセスひとひねりで、休憩中のサイクリストたちをスーッと追い越して前に進みます。

因島大橋だけ高速道路の橋の下を走るようになっており、そのほかの橋は高速道路の外側に原付道があるので、瀬戸内海のすばらしい風景が眺望できます。

来島海峡大橋の原付道

各橋のどこかに料金投入箱が設置されています。

各橋は、原付バイクは50円・100円・200円で渡れます(料金は橋によって異なります)。小銭を用意しておきましょう。

立ち寄りスポットも「島ライダー」にお任せ

高速道路を走らないから、各島に寄り道しやすいのも、原付バイクでの旅のメリット。

しまなみ海道の立ち寄りスポットを紹介している「島ライダー」のInstagramを参考に、私たちもあちこち行ってみました。

因島大橋を渡ってすぐの場所にある、フルーツ大福で有名なはっさく屋。

「自転車神社」と呼ばれる因島の大山神社は、バイクもOKとのことでした。交通安全祈願にぜひ!

お昼は海辺にあるテイクアウトバーガーショップ、バーガー.ゴロッケンで、肉汁たっぷりハンバーガーを味わいました。

イチオシスポット レモン谷

しまなみ海道を愛し、年に3回は走っている私、こばんのおすすめスポットを紹介します。

国産レモン発祥の地といわれる生口島瀬戸田と、愛媛県の入口・大三島を結ぶ多々羅大橋。

生口島側の原付道は、あたり一面にレモンの木が植えられた「レモン谷」となっています。

11月下旬、ちょうどレモンがあちこちに実っていました。春はレモンの花がいい香りを放っていますよ。

カプセルトイもあるので、楽しんでみてはいかがでしょう。

原付バイクでエレベーターに乗る「馬島」

あちこち楽しみすぎて時間がないというのに、どうしても初心者たかたんさんを連れて行きたかった、もうひとつのしまなみ海道おすすめスポット。

それが「馬島(うましま)」です。

馬島は、しまなみ海道の一番南、つまり四国側にある来島海峡大橋の途中にある島。

なんと、原付バイクと一緒にエレベーターで上陸できるのです。

来島海峡大橋の料金所近くに、エレベーターがあるので探してみてくださいね。

四国に到着!

午前10時頃に向島営業所を出発し、あちこち寄り道を楽しみ、午後3時頃に大島から来島海峡(くるしまかいきょう)大橋を渡り切って四国に到達しました。

橋のふもとに「SHIMANAMI」と書かれたモニュメントがあり、記念撮影にぴったりです。

本当は今治名物の焼豚玉子飯や鉄板焼鳥を楽しみたいところですが、午後6時には向島に戻りたいので、またすぐに橋を渡ります。

来島海峡大橋は、しまなみ海道の橋のなかで一番大きな橋です。風の強い日は用心して走りましょう。

来島海峡大橋の原付道

無事に返却

美しい夕日を見ながら、寄り道は特にせずに走り、午後6時頃、向島営業所に帰ってきました。

──帰路はかなり運転にも慣れていたようすの、初心者たかたんさん。感想は?

ふだんは車だから高速道路で素通りすることが多かったしまなみ海道。今日はあちこち立ち寄れて楽しかったです。風を感じながら走って、風景もきれいで、橋を渡るときはドキドキでしたが(笑)それも含めて楽しかったです!」

およそ150kmの原付バイク旅、お疲れさまでした!

見た目がかわいいバイクなので、あちこちで「かわいいバイクね」「レンタルバイク?」と声をかけられ、会話も弾みました。

次のページで、レンタルバイク「島ライダー」と、併設する宿「尾道stay 源 -MINAMOTO-」を運営する若松さん夫婦にお話を聞きます。

「島ライダー」若松さん夫婦にインタビュー

レンタルバイク「島ライダー」と、併設する宿「尾道stay 源 -MINAMOTO-」を運営する若松悠也(わかまつ ゆうや)さん、若松真実(わかまつ まみ)さん夫婦にお話を聞きました。

地元の観光消費に貢献したい

──島ライダーを始めた理由を教えてください。

若松悠也(敬称略)──

私は因島で生まれ育ったのですが、地元の人から「サイクリストがたくさん来るけれど、なかなか消費に結びつかない」という声を聞いていました。

サイクリングを趣味とする人は、走ることが目的。観光や寄り道せずに走り切って帰ってしまうことも多いです。

一方、「観光を楽しみたい」と思って来てくれるサイクリング初心者のかたにとっては、しまなみ海道はアップダウンが想像以上に激しいという声をよく聞きます。

向島から因島、ひとつの島を渡ってしんどくて引き返してしまう観光客のかたたちを、小さいときから見てきました。

また、自転車は積載量がないので、お土産を買いにくいです。

自分自身は、ずっとバイクに乗っていたので、そのしんどさを感じず、旅先でおいしいものを食べるし、お土産を買う楽しみを知っています。

しまなみ海道はあちこちに魅力的なスポットが点在しているので、もっと先まで行って、観光を楽しんでほしい

自転車ではなくバイクのレンタルができれば、地元の観光消費がぐっと上がるだろうと考えて、「島ライダー」をスタートしました。

──原付バイクだと体力に自信がない人でも観光が楽しめますよね。真実さんも元々ライダーなのですか?

若松真実(敬称略)──

私は島ライダーを始めてから、原付バイクに乗るようになりました。

島ライダーを始めるまでは夫婦で山口県に暮らしていたので、そもそもしまなみ海道の橋を、125cc以下のバイクは専用道を走るということさえ知らなかったんです。

自分で実際に原付バイクで走ってみて、操作は簡単だし、のどかな道が多いし、しまなみ海道を楽しむなら原付バイクがぴったりだと感じました。

潮風を感じて、花の香りまで楽しめて、まさに五感で楽しめる旅

とはいえ、原付バイクに乗る前の初心者のかたの気持ちがよくわかるので、事前のメール連絡や、レクチャーするときには、不安を解消できるように心がけています。

車の免許を持っているけど原付バイクにはほとんど乗ったことがないというかたでも、楽しめることを伝えていきたいです。

──これまでどんなかたがいらっしゃいましたか。

若松悠也──

バイクに乗ったことがある男性グループが多いですが、初心者のかたが全体の3割くらいいらっしゃいます。

ご夫婦で来られて、だんなさんがライダーで、奥さんがバイクに乗ったことがないという組み合わせも多いです。

若松真実──

2023年4月にレンタルバイクをスタートして、すでに3回、熊本県から来てくださったかたもおられます。

ほかに印象深かったのは、サイクリストの息子さんについて行けるように、お母さんが原付バイクをレンタルして、ふたりで旅に来ていた親子のかた。

違う乗り物でも一緒に旅を楽しめるのも、しまなみ海道の良さかなと思います。

あとは海外からの旅行客も増えています。

若松悠也──

しまなみ海道の観光を楽しみたいという、一般の観光客のかたにこそ利用してほしいです。

遠方からであっても公共交通機関や宿と組み合わせて気軽に楽しめるのが島ライダーの良さなので、全国各地から来てほしいと思っています。

旅の終着地ではなく「出発地」でありたい

──宿泊施設「尾道stay 源 -MINAMOTO-」はどういった経緯でスタートしたのですか。

若松悠也──

観光地として有名な尾道から、しまなみ海道はアクセスがいいにもかかわらず、尾道を観光したあとに広島などほかのエリアに行ってしまう観光客が多いんです。

尾道観光だけで帰ってしまう人たちを、しまなみ海道にも来てもらえるようにするにはと考え、宿泊施設を運営することにしました。

若松真実──

なので、旅の終着地ではなく「出発地」であるような宿になりたい、という思いから、「源」という名前になったんです。

たとえば、前日に尾道観光を楽しんで、一泊して翌日は同じ場所からすぐにレンタルバイクで出発して、しまなみ海道を楽しめる。

そのような旅の提案もできます。

人と人をモビリティでつないでいく

──今後のことについて教えてください。

若松悠也──

とにかくしまなみ海道を楽しんでほしいと思っています。

「モビリティ」で観光客のかたたちと、島の事業者のかたたちをつなぐ役割になっていきたいです。

Instagramでしまなみ海道の見どころやお店を積極的に投稿しているのはそのためでもあります。

さらに新しいサービスも進んでいて、しまなみ海道唯一のバイク×キャンプセットの貸し出しを、2024年10月から開始しました。

バイクに荷積みまで済ませて貸し出しのため、お客様は事前予約の手続きのみで、手ぶらでバイクもキャンプも楽しめます。

しまなみ海道には、歩行者・自転車・125cc以下の原付バイクしか利用できない見近島キャンプ場があるほか、来年春には海の見えるキャンプ場をオープンできるよう、準備しています。

しまなみ海道の観光といえば「島ライダー」といわれるようになりたいです。

おわりに

私は全国を110ccのSuper Cub(原付二種)で走り回った経験があり、「どこが一番好きですか」とよく聞かれるのですが、聞かれたら毎回「しまなみ海道」と答えるほど、大好きな道です。

穏やかな海と橋の風景、全国的に珍しい原付バイクのための道「原付道」、グルメや人のあたたかさ。

小まわりのきく原付バイクだからこそ、楽しめる旅があると、しまなみ海道を走るたびに思います。

レンタルバイク「島ライダー」ができたことで、自由度の高い旅を、より多くの人に実感してもらえるようになりました。

これからどんどん進化しそうな「島ライダー」。五感で感じる島旅を体験してみてはいかがでしょうか。

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