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ビットコインが金の上昇率を上回り、2025年のトップ資産として注目

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【画像出典元】「Antonio Solano/Shutterstock.com」

7月になってビットコインが金の上昇率を上回り、2025年のトップ資産として注目されています。その背景には、複数の要因が複雑に絡み合っており、投資家のビットコインに対する強気な姿勢を後押ししています。

ビットコインの価格高騰と現状

【画像出典元】「eamesBot/Shutterstock.com」

2025年7月、代表的な暗号資産であるビットコインの価格は連日のように最高値を更新しました。7月10日には一時11万2000ドル台を付けた後、11日には約11万7000ドル台、そして14日には初めて12万ドルを突破し、一時12万3000ドル台に達しました。

2025年初からの上昇幅は2割を超え、5月下旬以降の10万~11万ドル程度のレンジ相場を約1カ月半ぶりに上抜けて以降、投資家の強気姿勢がさらに顕著になっています。
情報サイトのCoinDesk(コインデスク)によると、ビットコインは2025年のパフォーマンスで金を上回るトップ資産となり、時価総額でも世界第4位の米アマゾン・ドット・コムに迫る勢いです。

ビットコイン高騰の主な理由

ビットコインが上昇している、主な理由について解説します。

米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測

リスク資産であるビットコインへの投資マネー流入の大きな要因の一つは、FRBの早期利下げ観測の高まりです。FRBのウォラー理事は7月10日、「金融を引き締めすぎており、7月に利下げを検討する可能性がある」との見解を示しました。これを受け、早期利下げに伴う一段の株高が意識され、ビットコインにも買いが集まりました。

ビットコインは足元で米国市場の株価、特にハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数との連動を強めており、ナスダックの連日の最高値更新もビットコイン価格を押し上げる要因となっています。

米国政権の仮想通貨政策への期待

トランプ米政権が掲げる「仮想通貨大国」化の具現化に向けた期待が、相場を大きく押し上げています。トランプ大統領は「米国を世界の暗号資産の首都にする」と宣言しており、政府の後押しによって市場の期待がさらに高まっています。

「クリプトウィーク(仮想通貨週間)」の実施

米連邦議会は7月14日の週を「クリプトウィーク(仮想通貨週間)」と定め、仮想通貨に関する法案を集中的に審議しています。この動きは仮想通貨業界に追い風になるとの見方が強く、市場に期待感をもたらしています。

クリプトウィーク3つの主要法案の審議     

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クリプトウィークで注目される法案は以下の3つです。これらの法案が成立すれば、仮想通貨ビジネスの展開がしやすくなると期待されています。

GENIUS(ジーニアス)法案(ステーブルコイン規制)

 仮想通貨の一種であるステーブルコインの信頼性を高めることを目的としています。規制当局から認可された事業者のみが発行でき、米ドルや同等の流動性資産を準備金として持つことなどが義務付けられます。法制化によりステーブルコインが社会に浸透すれば、仮想通貨の取引がより活性化すると期待されています。

CLARITY(クラリティー)法案(包括的な規制枠組み)

仮想通貨の大部分を証券として取り扱わないとする内容が盛り込まれており、これにより事業者の開示義務などの負担が軽くなり、ビジネスが展開しやすくなると見られています。

反CBDC(中央銀行デジタル通貨)監視国家法案

 FRBによるCBDCの発行を制限する内容です。成立すれば、米国がCBDCではなくステーブルコインを推進する方針が明確になるとの見方があります。

退職年金への暗号資産投資解禁の動き  

ドナルド・トランプ大統領は、米国の代表的な個人退職年金制度である401(k)の運用において、株式や債券などの既存資産に加え、暗号資産、金、プライベートエクイティへの投資も認める内容の大統領令に署名する計画だと報じられています。

これは、昨年大統領選で暗号資産規制の緩和を公約に掲げて勝利したトランプ政権の基本方針を反映したものであり、米国民の退職年金運用方法を根本的に変える可能性があると見られています。5月には米労働省がバイデン政権時代に暗号資産投資を制限するよう求めていたガイドラインを撤回しており、関連規制の緩和が進んでいます。

機関投資家の旺盛な需要 

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ビットコイン現物の上場投資信託(ETF)を通じた機関投資家の買いも、相場を押し上げる大きな一因です。米証券取引委員会(SEC)が2024年1月にビットコインETFを承認してからの資金流入累計額は、1年半あまりで約520億ドルを超え、米国に上場する12銘柄合計の純資産残高は7月9日時点で約1300億ドルまで膨らみました。

現物ETFは顧客資産の分別管理が徹底された証券口座で購入できるため、ビットコインに慎重だった機関投資家にも受け入れられやすくなっています。世界最大のビットコイン保有会社であるストラテジーは、7月14日までに新たに430億ドル分のビットコインを購入したと報じられています。グレースケール・インベストメンツやステーブルコイン発行大手サークル・インターネット・グループなど、関連事業の新規株式公開(IPO)も相次いでいます。

投資家心理と「デジタルゴールド」としての期待

ビットコインが12万ドルを突破してもなお、投資家の目線はさらに上を向いています。
世論調査によれば、米国では3割ほどの人が仮想通貨を保有し、そのうち67%が追加購入する予定であり、6割の人がトランプ氏の任期中に価格が上昇すると予想しています。富裕層の資産を管理するファミリーオフィスやヘッジファンドなど、保守的なファンドもビットコインを無視できなくなっていると指摘されています。ドイツ銀行のアナリストは、「ビットコインは21世紀の『デジタルゴールド』になる可能性はある」と語っています。

潜在的なリスクと注意点 

【画像出典元】「incrediblephoto/Shutterstock.com」

一方で、以下のようなリスクも存在します。

法案成立の不確実性

上記の3つの法案が順調に可決、成立するとは限りません。トランプ氏一族が仮想通貨事業で利益を得ていることから、民主党議員から「利益相反に当たる」との批判も出ており、円滑な法案成立は予断を許しません。

期待先行感と市場のボラティリティ

米連邦議会が「クリプトウィーク」と称したことは期待感を市場にもたらしましたが、審議内容は必ずしもビットコインの価格に直結する内容ではなく、期待先行感が否めません。ビットコイン市場は「山高ければ谷深し」という格言の通り、極めて高いボラティリティ(値動きの大きさ)を持つ市場であり、投資家の印象が少し変わるだけで価格に大きな影響が及ぶリスクがあります。

退職年金投資の潜在的リスク

退職年金での暗号資産投資解禁には、高額な手数料、過度なレバレッジ、低い流動性と透明性といった潜在的なリスクも指摘されています。

このように、ビットコインの価格上昇は、金融政策、米国政府の積極的な政策、機関投資家の需要増加、そして「デジタルゴールド」としての期待感という複数の要因によって推進されています。しかし、その高騰には不確実性や高いボラティリティというリスクが常に伴うことも理解しておく必要があります。

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