これが夏コミで紫外線にやられ病院行きになった取材班を救った、異種業界からの救世主 / パーフェクトな日差し対策の最後の1手
平成までの感覚であれば、とうに秋の気配が濃厚になっていてもおかしくないのだが、今日も今日とて気温は34度。日差しは今年の夏コミ取材を行った頃と全く変わらず、まだ真夏が終わらない。
そういえば先日、被服業界で四季から「五季」という認識にシフトする動きがあり、5月~9月を夏として8~9月は「猛暑」……的なニュースを日経新聞で見た。まだしばらくは厳重な日差し対策が求められそうだ。
ところで、日差し対策のエキスパートと言えば、当サイトのコミケ取材班である。そんな取材班でも長らく良いアイテムが見つけられず放置されていた “あの部位” だが、ついにパーフェクトなアイテムが発見されたのだ……!
・C100の悲劇
当サイトのコミケ取材班とは、この私、江川だ。班とは名ばかりで、取材申請書に記入する人数は常に1名。
夏コミ自体は昔からプライベートで始発組として参戦していたし、仕事で行くようになってからも慣れたものだ。今さら対策不足でやられることなど無い……そう思っていた。C100までは。
私の装備はデカい帽子にサングラス、長袖長ズボンで肌の火傷を阻止。強烈な直射日光下における肌の露出はタブーだからな。
水も毎回外から1リットル持ち込み、現場でバッグから撮影機材を取り出したら、そのスペースに3リットル詰め込んで、コスプレエリアに滞在し続ける。
え、やりすぎだって? あの現場をナメてはいけない。毎年屋上にて熱中症で倒れる者を見続けてきたが、私の体感で倒れる者に最もありがちなのは、半袖やタンクトップに半ズボン。帽子はかぶらず、ペットボトル1本で参戦してる者たちだ。
もはや、ビッグサイト屋上における熱中症予備軍の量産型ビジュアルって感じ。これがコスプレや壁サークルの待機列に並びながらジリジリと衰弱し、全身真っ赤になって倒れていく。
私の完全防備を見ろ。あの場では帽子と長袖長ズボン、そしてサングラスが推奨されるのだ……と思っていたのだが、そうでもなかった。C100で人生初の異変が起きたのだ。
帰宅してから、どうも手が痒い。なんかこれ、毎年の日焼けとちょっと違う気がする……違和感からC100終了日の2022年8月13日の夜に撮影した私の手がこちら。
・謎の湿疹
こういう時の違和感というのは当たるものだ。急に謎の湿疹が発生したのである。
痒い。汗疹か? そう思い放置。湿疹は2日後にひいたのだが、翌日に私は別件の撮影仕事で再び手を炎天下に曝した。
するとキモいくらいに手の甲に湿疹が発生! は? これ絶対に汗疹じゃないだろ……とりあえず病院に行くことに。
結果は光線過敏症というものだった。強い紫外線に肌を曝しすぎたら出ることがあるらしい。医者からは、とりあえずしばらく日光に当たらないようにねと。陽光ドクターストップが出た。
なんということだろう。手など、過去10年の夏コミでは気にしたことすらなかった。別に手を日焼けしても、どうということはないと思っていたからだ。
その考えは、過去10年の夏コミ参戦ではその通りであった。しかし11年目に急にそうではなくなったのだ。
以後、どうやら私の手の甲は日光に対し脆弱になったらしく、直射日光に曝すと湿疹が出がちな体質に変化してしまった。ままならないね……。
・C102の敗北
上で帽子に長袖長ズボンにサングラスが正解と書いたが、それは間違っていた。手の防御がゼロだったのだ。手に当たる紫外線をカットして、初めて万全と言える。
ということで、私は即座に人生初の本格的な日焼け止めを購入。評判のいい「アネッサ」と、スプレータイプの日焼け止めだ。
合わせて4000円もした。まともな日焼け止めってこんな高いのかよ……! 他人のを勝手に使うとかあり得ん重罪やんけ。
それからの私は外で手を長時間直射日光に曝す際には家でアネッサを塗りたくり、外ではスプレーを使用することに。
しかし、すぐにアネッサとスプレーの日焼け止めは、炎天下での長時間の作業では無力なことが判明した。朝から日没まで海岸で撮影するという仕事があったのだが、日焼け止めが完全敗北したのだ。
理由は汗だ。ドロドロに汗をかかない環境ならアネッサは強い。しかしドロドロに汗が出る環境では、結局すぐに流れ落ちてしまうのだ。スプレーも同じである。
これは駄目だろうと確信しつつも、他に手段が無いためC102でもアネッサとスプレーを動員。やっぱり駄目で、また湿疹が出てしまった。
・某業界からの救世主
こうなれば、もはや物理的防御しかない。つまり、手袋なり手甲だ。
これが探してみると、マジで見つからない。女性向けには二の腕まで覆うようなものがその辺で売られているが、私が欲しいのは手だけだ。
また、カメラの操作があるので指と手のひらを覆いたくない。手の内側を覆う布があるなら、滑らない素材がいい。使用は真夏の炎天下限定ゆえ、速乾性の高い素材が良い。
速乾で、指と手のひらが完全にオープンで、手のひら側の布は滑りにくく、おっさんの手にあったサイズとデザイン……そんなもの、あるのか?
諦めかけていたその時、とある業界に全てを叶える救世主がいることが判明した。釣り業界だ。
夏用のフィッシンググローブというものである。私は上州屋の売り場で、一番サイズがしっくりきたシマノのものを買った。
釣り人たちは直射日光下でも水辺から動くことなく、何時間も釣りをする。手の日焼けは深刻な問題のはずだ。
しかも水辺で魚を扱うため普通に濡れまくる。速乾性がマスト。細かい作業も多く、竿を通して魚のアタリを感じ取るためにも手のひらはなるべく覆いたくないだろう。
奇しくも真夏にカメラマンが手袋に求める要望と、釣り人の要望が完全に一致していたのだ……! 恐らく他にもこういうのが欲しい業界はある気がする。
この通り、手のひら側を覆う布は必要最低限。指の付け根周辺の布は、若干グリップが効く感じになっている。そしてすぐに乾く。パーフェクトだ。
紫外線の遮断力もガチ! C104を終えた私の手の甲はこうだ! これはもう完全勝利と言って良いだろう。
釣り業界では真夏のマストアイテムらしく、様々なものが出ている。どれも似たようなものだろう。それらは全て釣り人だけを対象にマーケティングしているため、無縁の業界からだとマジで検索に引っかからない。
最強の手の甲の日焼け対策アイテムは、釣り業界に存在していた。コミケ以外でも、この夏のあらゆる屋外での撮影仕事で、私はこのフィッシンググローブを使用している。耐久性も悪くないようだ。
トイレに行くときは指の部分だけ外して手首の方に裏返せば良いのも便利だ。こうして、ついに真夏の日差し対策が完全体となった。もう何も怖くない。
参考リンク:日経新聞、シマノ
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼これはC102の記録だが、4リットルがマジで空になる。行く前に買ってた1リットル分は、オープン前に外の待機列を取材している段階で空になって捨てている。この回は屋上周辺にゴミ箱が無くなって空のボトルを捨てられず、全部最後まで所持したままだったので撮った感じ。