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音読と多読でリーディング力アップ! 実践的な読み方も身につけよう。

NHK出版デジタルマガジン

2025年から新しい学習指導要領に対応した内容に改められた大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。

「外国語(英語)」は、どんなふうに変わるのか、気になっている中高生の皆さんも多いはず! そこで、大手進学予備校で英語を教える大岩秀樹先生に共通テストで出題される英語リーディングの特徴と、今日から取り入れたい学習法を解説してもらいます。いま求められている英語の力とは何か、どうすればその力が磨かれるのか。受験を考えている人はもちろん、英語を読む力を上げたいと思っている皆さんにも役立つノウハウをお届けします!

連載の第2回と第3回では、それぞれ語彙と文法の基礎を身につけることの大切さと、その習得法をお伝えしました。

第4回と今回の2回は、共通テストの英語リーディングの英文をより速く正確に読みこなすための学び方がテーマ。
今回は、読む力を鍛える練習法と共通テストの英語リーディングに役立つ実践的なスキルをお伝えします。

読む力を鍛えるのに最適な練習法とは

前回に続き、共通テストの英語リーディングの英文を読み解き、攻略するための読解力の磨き方について、お話しします。この連載でもお伝えしたように、共通テストの英語リーディングは語数の多さが特徴で、グラフなど図解にある英語も含めると、総語数が6300を超えた年もありました。

英語リーディングの試験時間は80分なので、解答時間を考慮すると、1分当たり160語ほどを読まなくてはなりません。普通のスピードで読んでいると、読むだけで時間がなくなってしまいます。限られた時間でこれだけの英語の量に対応するためには、語彙力と文法の知識を土台に、コツコツと読む練習をすることが欠かせません。

音読で、読解力が上がり、速読力が身につく

そこで、特に私がおすすめしたいのは、お手本となる音声を使って、音読をすることです。音声にならい、声に出して読むことで、英文を意味のかたまりで区切りながら、頭の中で日本語に変換せず理解できるようになります。そうなると、「音声の速さ=自分が読解する速さ」になるので、読むスピードも上がります。音声がないと、自分の理解できる速さで音読をしてしまいがちなので注意してくださいね。

音読の前準備と、音読の方法は以下のとおりです。
1英文を書き写すなどして、語彙や文法を含め、意味をよく理解する。
2そのうえで音声を聞き、文の構造(主語・述語・修飾関係など)を捉えながら、その音声の速さで発音できるようになるまで練習する。

音読していて詰まるところは、文法や語彙、意味のかたまりを理解できていないことが原因なので、もう一度日本語で確認しましょう。最終目標は、音を聞きながら、その英文を理解できるようになることです。ここまでになるには、同じ英文を30〜50回ほど音読を繰り返す必要があります。音読を続けていると聞く力も上がりますので、リスニングテスト対策にも有効です。

さまざまな文章に触れ、量をこなす

音読とあわせて行いたいのが多読、つまりたくさん英語を読むことです。この連載の前回でお話ししたように、英語リーディングのテストは多種多様な文章が出題され、学校・日常生活に関する長文が多くを占めます。そこで身の回りのものを活用しましょう。例えば、志望大学のホームページの言語を英語に切り替えて、学校の成り立ちや留学、オープンキャンパス、学園祭、サークルに関するページを読んでみるのはいかがでしょうか。留学のページなら日程、対象学生、費用、必要な語学力、現地でのスケジュールなど、重要な情報をチェックします。他には英語の通販サイト、本や映画の英語のレビューなどもおすすめです。

読むことがあまり得意でない人は、長い文章を何日かに分けて読むといいと思います。その際、その文章のテーマを常に頭に置くようにします。文章の趣旨をつかむ力が鍛えられるので、良いトレーニングになるはずです。

共通テストの英語リーディングに役立つ実践的なスキル

音読と多読を繰り返しつつ、共通テストの英語リーディングに通用する実践的な読み方を身につけることも大切です。それは、大量の英文の中から、必要な情報を効率よく見つけ、整理する能力です。そのためには、下のような読み方を心がけてみてください。

●文章の主張(言いたいこと)を常に意識して、何が重要な情報かを考えながら読む。
●主張が理解できたときは、主張を支える理由や具体例を流し読みする。
●主張がわかりづらいときは、主張を支える理由や具体例を読んで、文章の趣旨を
理解する。

「この文章は何が言いたくて、何が大事な情報なんだろう?」ということを常に考えながら読めるといいですね。重要な部分を早くつかむ力がつくと、本番のテストでスムーズに解答できるようになります。

実際のテストでは、問題を解く手順もポイント

ここからは効率よく解答するための「テクニック」についてお話しします。

共通テストの2025年度試作問題の第A問を例に見てみましょう。

令和7年度共通テストの試作問題はこちらから
大学入試センターホームページ(https://www.dnc.ac.jp/)内に掲載

最初に目を通してほしいのは、問題の冒頭にある場面、状況、目的など設定が書かれている説明文です。あなた(You)が「スマートフォンを高校の授業で使うことの是非」についてのエッセーに取り組むという設定です。

この説明文で、第A問の設定を理解します。そして、次は文章ではなく、問と選択肢を読みます。まずは問1です。

ここで、何が問われているかを把握したうえで、文章に移り、その該当箇所を探します。問1では「著者AとD の両者とも述べていることは…」とあるため、教師(A)と高校の生徒(D)の両者の意見に共通する部分が聞かれていることがわかります。そこで、まず教師(A)のコメントを読みます。そのあと、高校の生徒(D)のコメントに移り、情報が合致しているところを探します。見つけたら、その内容が書いてある選択肢を選びましょう。次は問2です。

問2は心理学者(B) が「imply」つまり「示唆する・ほのめかす」ことを答える問題です。

「imply」されていることを答える問題は、問1の「mention」、つまり「述べている」ことを問われる問題とは違い、選択肢の内容が直接的に文章に書かれていません。
そのため心理学者の主張を理解したうえで、「この心理学者はこういうことを言いたいんだな」と推測し、適切な解答を選択しなければなりません。リーディングに自信のない生徒には、「implyされていることを答える問題は難しいので、解けない場合は英語力を上げてから再挑戦しよう」とアドバイスしています。

共通テストの英語リーディングは、皆さんがいままで受けてきたテストと異なるタイプの問題なので、対策が難しいと思うかもしれません。ただ、語彙と文法の基礎を固め、英文を読む力をつけるというリーディングのための基本の学習法は変わりません。当たり前の英語力を地道に伸ばすことを心がけていきましょう。

大岩秀樹

東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科講師。基礎講座から難関大向け講座まで多数担当し、応用問題にもしっかり対応できる「本物の基礎力」にこだわる授業を行う。中学生・大学生向けの講座も多数担当しており、大学入試にとどまらない未来へつながる英語指導を心がけている。著書は50 冊以上。

■「NHKテキスト 中高生の基礎英語 in English 2025年2月号」より
■構成:稲田砂知子 
■イラスト:柿崎こうこ

前回までの連載はこちら

第1回 中高生必見!「どんな問題? 共通テスト英語リーディングの特徴」

第2回 「使いこなせる単語」を増やそう! 語彙力の高め方

第3回 英語を使うための「ツール」を揃える 文法学習で読解力を上げよう

第4回 リーディングでさまざまな文章に対応できる力をつけよう

【関連記事】

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