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ジュヴレ・シャンベルタン × 余市町 親善都市協定締結

ワイン王国

ジュヴレ・シャンベルタン × 余市町 親善都市協定締結

2025年2月8日、フランス・ブルゴーニュの銘醸地ジュヴレ・シャンベルタン村と、日本の急成長ワイン産地である北海道・余市町が正式に親善都市協定を締結した。この歴史的な調印式に続き、両地域のワイン産業をテーマにしたシンポジウムが開催され、ワイン生産者や研究者、業界関係者が一堂に会した。

ワインを通じたパートナーシップの意義

今年2月8日、親善都市協定を締結したフランス・ブルゴーニュ地方ジュヴレ・シャンベルタン村のクリストフ・ルカンド村長(左)と、北海道・余市町の齊藤啓輔町長

今回の協定は、文化交流、ワイン生産の技術協力、学術的連携の3つの柱を軸に進められる。

余市町の齊藤啓輔町長は「余市町は冷涼な気候と豊かな土壌を生かし、日本を代表するワイン産地へと成長してきた。長い歴史と高品質なワイン造りで知られるジュヴレ・シャンベルタンと結びつくことは、余市町にとって非常に意義深い」と述べた。

さらに「この協定を通じて、ワイン生産技術の交流や観光・文化分野での連携を進め、両地域のさらなる発展を目指したい」と今後の展望を語った。

また「現在の余市は、30年前のオレゴンのような状況だ。オレゴンもかつてブルゴーニュから学び、今では世界的なピノ・ノワールの産地となった。余市もまた、独自のテロワールを生かし、世界に通用するワイン産地へと成長する可能性を秘めている」と期待を寄せた。

一方、ジュヴレ・シャンベルタンのクリストフ・ルカンド村長は「ユネスコ世界遺産に登録されてから10年を迎えるこの特別な地で、余市町と親善都市協定を締結できたことを大変誇りに思う」とコメント。「この協定は、単なる自治体間の友好関係にとどまらず、生産者間のパートナーシップの促進や学術的な協力を強化するもの。ジュヴレ・シャンベルタンと余市町が連携することで、ワイン産業のさらなる発展につながると確信している」と語った。

シンポジウムの概要

調印式に続いて、ワイン産業の未来を探るシンポジウムが開催された。

日本ワインの特性と市場動向
甲州の紹介や、新たな栽培技術の開発、気候変動に対応した日本ワインの持続的発展を目指す取り組みについて、山梨大学の榎真一助教が講演を行った。

日本市場におけるブルゴーニュ・ワインの需要と近年のトレンドについて、エティエンヌ・モンティーユ氏(ドメーヌ・ド・モンティーユ)が解説した。

調印式に続いてシンポジウムが開催された。山梨大学の榎真一助教が新たな栽培技術の開発や気候変動に対応した取り組みについて講演

ピノ・ノワールの研究と国際協力
ブルゴーニュ大学のセバスチャン・ニコラ助教授と、北海道大学・曽根輝雄教授が登壇し、ピノ・ノワールの適応性や栽培技術の交流について解説した。

マスター・オブ・ワインのスティーブ・チャーターズ氏によるピノ・ノワールに関する研究プロジェクトの紹介
マスターソムリエ高松亨氏とマスター・オブ・ワインのスティーブ・チャーターズ氏による、日本とブルゴーニュのピノ・ノワール比較テイスティング

気候変動がワイン生産に及ぼす影響や、ブルゴーニュと北海道の類似点・相違点が示された。

ワイン造りの視点から見るジュヴレ・シャンベルタン
カロリーヌ・ドルーアンさん(ドルーアン・ラローズ)が、ジュヴレ・シャンベルタンのテロワールの特徴を解説した。

マスタークラス /日本とブルゴーニュのピノ・ノワールを比較

シンポジウムの最後には、マスターソムリエ高松亨氏とマスター・オブ・ワインのスティーブ・チャーターズ氏の進行によるテイスティングが行われ、日本とブルゴーニュのピノ・ノワールが比較された。

ワイン生産者たちによる解説のもと、参加者は両地域のワインの個性をじっくりと味わい、テロワールの違いが生み出す味わいの妙を体感する機会となった。

「ドルーアン・ラローズ」のカロリーヌ・ドルーアンさんがワイン造りの視点からジュヴレ・シャンベルタンのテロワールを解説

誌面ではさらに詳しく! ワイン生産者たちの声を

今回のシンポジウムでは、ジュヴレ・シャンベルタン村長や余市町長だけでなく、ブルゴーニュの名だたるワイン生産者たちにも、日本ワインの印象や今後の可能性について話を聞くことができた。

この模様は4月4日発売の『ワイン王国』146号の誌面で詳しく紹介する予定。

シャンボール・ミュジニー村の「ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ」の醸造長を長く務めたフランソワ・ミエ氏や、ジュヴレ・シャンベルタン村の「ドメーヌ・クロード・デュガ」の当主ベルトラン・デュガ氏が日 本ワインをどのように評価したのか、そして今後の協力関係にどのような可能性を感じているのかリポートする。

ぜひ誌面でご覧ください!

text & photographs by Yukari EBATA

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