京都府京都市『フレスコ 河原町丸太町店』~鴨川沿いの歴史感じる建物は、なんとスーパー~
え? ここが!? モダンなレンガ造りの重厚な建物は、なんとスーパー。『フレスコ 河原町丸太町店』では、京都の食の文化財のような商品はもちろん、B級グルメ的な地元商品などの新しい食文化も垣間見られ、京の日常をたっぷり感じられます。
今回のゴー!ゴー!
『フレスコ 河原町丸太町店』(京都府京都市)
かつての都の中心地・御所のあった京都御苑周辺は、散策にいいエリア。
南に接する丸太町通を東へ行くと、鴨川の流れに突き当たります。その少し手前に威風堂々と立つ町のシンボル的レトロ建築が、なんと総合食品スーパー『フレスコ 河原町丸太町店』の店舗。国と京都市の登録有形文化財の「旧京都中央電話局上分局」です。大正12年(1923)建設のモダンなレンガ造り。入口のアーチをくぐって店内に入る、贅沢な体験ができます。
現在、京都を中心に大阪、兵庫、滋賀に100 店舗以上のスーパーを展開する「ハートフレンド」が、フレスコ1号店を開店させたのは1992年のこと。
京都市山科(やましな)区の勧修公設小売市場が前身で、「Fresco(フレスコ)」はイタリア語で「新鮮・みずみずしい」の意。市場の歴史が名前から漂っているのです。
そんな地元に根ざした『フレスコ』には、京都の食の文化財のような商品が並びます。
伝統の味も目立ちますが、おもしろいのはその一方で、京都のB級グルメ的な地元商品など、新しい食文化も見られること。京都1230年の歴史が紡ぐ、さまざまな時代の食が歴史的建造物のもとで一堂に会します。
実は京都、毎年パン消費量のトップや上位に入る常連。そんな京都人の愛するパンの商品「自家製カツサンド」は「あごが痛くなるくらいカツが厚い」と評される、フレスコの看板商品の一つです。
開発当時、デリカ部門の片山佳世さんが母の味を再現したところ、業界団体主催の大きなアワードで賞を受賞。家族の歴史が感じられる温かな味わいとなっています。
店舗のすぐ横の鴨川沿いは桜の名所。春になれば、お弁当やお総菜、スイーツの名物がそろうフレスコに引き寄せられる、学生や観光客の姿も多くなるそうです。
京で愛される地元グルメ
観光客が京都の有名飲食店でふれる「京グルメ」は、洗練されて雅やか。一方で、京都に暮らす人々が毎日、家で食べているものにも伝統的な食が含まれますが、それだけではないのが魅力です。
『フレスコ』自家製、人気の味
伝統の味を守りながら、「新しもの好き」といわれる京の人々の好奇心を満たす、『フレスコ』オリジナルの自社商品。紹介した総菜・弁当だけでなく、生鮮食品から調味料まで網羅します。
京都「野村佃煮」の棚に注目!
錦市場で90年以上。「野村佃煮」の手間をかけて作る、むかしながらのおばんざいは京料理を基本とした心と技で支持されています。ちりめん山椒(ざんしょう)や角切山椒昆布などは、日々の食卓のご飯のおともとして欠かせません。
フレスコ 河原町丸太町店
住所:京都府京都市上京区中筋通り丸太町下ル駒之町561-1/営業時間:9:00~23:00(日・祝は~22:00)/定休日:無/アクセス:京阪鴨東線神宮丸太町駅から徒歩3分
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2025年1月号より
菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。