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上越ゆかりの写真家濱谷浩が80年前撮影「終戦の日の太陽」 小林古径記念美術館で8月15日のみ展示

上越タウンジャーナル

新潟県上越市ゆかりの写真家、濱谷浩(1915〜1999)が80年前の1945年8月15日、疎開先の高田(現上越市)で撮影した「終戦の日の太陽」が、同市本城町の小林古径記念美術館で2025年8月15日の1日限定で特別展示されている。昭和天皇が国民に戦争の終結を伝えた玉音放送を聞いた後、照りつける太陽を撮影した一枚だ。

《画像:小林古径美術館で特別展示されている濱谷浩「終戦の日の太陽」》

東京都出身の濱谷は1939年に陸軍高田連隊の雪中演習の撮影で初めて高田を訪れた。雪国の景色に衝撃を受け、翌年から10年にわたり桑取谷の小正月行事を取材したほか、日本海側の風土や人々の暮らしを収め、民俗学的視点を取り入れた自身のスタイルを作り上げた。アジア人として初めて写真家集団「マグナム・フォト」と契約するなど、世界で活躍した。

1945年8月15日正午、濱谷は知人で民俗学者の市川信次氏の大手町の自宅で玉音放送を聞いたあと、裏2階を借りていた寺町2の善導寺に戻り、カメラを真夏の太陽に向けた。この終戦の日の太陽について、濱谷は1971年に出版した著書「潜像残像」で次のように記している。

(中略)その日の正午、私は高田の市川さんの家でラジオを聞き、日本降伏を知った。私は善導寺の裏二階に駆け戻り、カメラを取り出し、本堂の前に飛びだして、真天上の太陽に向かってシャッターを切った。風がなく、草も木も動かずぐったり生気を失い、空には雲一つなく、ただ宙天(ちゅうてん)に昭和二十年八月十五日の太陽がギラギラ輝いていた。

 戦争は終わった。人類史上最大の犠牲と不幸を代償として、日本は惨敗した。私はその時点での感懐を、ここに明確に記すことはむずかしい。戦前戦中戦後のさまざまな思いが重なって正確を期しがたい。

 今日、終戦二十五年目に因(ちな)んでいえることは、日本は絶対に戦争をしてはならぬこと、絶対に戦争に近づいてはならぬことだ。

作品は今年、同館で開催された展覧会「生誕110年 濱谷浩展 人間と風土をみつめて」(2025年3月22日〜6月22日)でも展示していたが、所蔵者の好意で「終戦の日」に合わせてエントランスに展示した。

学芸員の伊藤舞実さん(31)は「80年前の今日、日本人がいろんな思いを抱えて見た太陽で、同じ太陽で今とつながっている。(終戦の日の)今日、作品を見ることで、改めて、平和に毎日過ごすことや戦争について考えるきっかけになってもらえたら」と話している。

展示は午後5時まで。入館料は一般510円、高校生以下260円。幼児と上越市内の学校に通う小中学生は無料。

小林古径記念美術館のご案内 - 上越市ホームページ( https://www.city.joetsu.niigata.jp/site/kokei/ )

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