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型破りな生き様のウニ<エキセントリックサンドダラー> 名前の由来は独特な食事方法?

サカナト

エキセントリックサンドダラー(撮影:俊甫犬)

ウニというと、丸くて濃い紫色でトゲトゲしていて……という姿が一般的ですが、まったく似ても似つかない形をしたウニも存在します。

ウニの仲間の中に「カシパンウニ」というグループがいます。非常に平たいのが特徴で、我々がよく食用にするウニとは大きく見た目が違っています。とてもウニの仲間には見えません。

名前は「菓子パン」が由来となっていますが、どちらかというと煎餅に似ているような……。

カシパンウニとはどんなウニなのでしょうか。

カシパンウニの仲間について

カシパンウニはウニ綱(Echinoidea)に属する生きものの総称です。タコノマクラ目は、ウニやヒトデが属する棘皮動物というグループに分類されています。

普段は砂や泥・砂利に潜って生活をしていて、砂の中にある有機物を管足で捕らえて口まで運んで食事をしています。

管足とは棘皮動物にみられる器官で、伸び縮みする管のようなものです。ヒトデが張り付いた水槽をみると、管足が吸盤の役割を果たしているのを確認できますよ。

ヒトデの裏側(提供:PhotoAC)

カシパンウニの主な種類では、タコの身体の下にいそうな姿形が名前の由来になったタコノマクラや、体に五方向の放射状の細長い穴あいているスカシカシパンがいます。

タコノマクラ(提供:PhotoAC)

カシパンウニの仲間は英語では「サンドダラー(sand dollar)」と呼ばれています。砂の貨幣という意味で、その名前の由来はもちろんその薄さからでしょう。任天堂によるゲーム「どうぶつの森」シリーズにはこの名前で登場するため、こちらの名前のほうが知名度は高いかもしれません。

いかにも変わった形が、洋の東西に関係なく面白い命名に繋がっているというのが興味深いですね。

エキセントリックサンドダラーという種類

彼らカシパンウニの仲間のほとんどはその薄い体で砂に潜ってエサを食べる構造に進化して生活しているのですが、とある種はなんとも奇妙な生態を持つことで知られています。

エキセントリックサンドダラー(学名:Dendrastar excentricus)という種類のカシパンウニはカナダの沿岸部に生息しており、普段は潮の流れが良いところに密集して生活をしています。

名前の由来はその食事方法にあります。

エキセントリックサンドダラー(撮影:俊甫犬)

なんと、身体を立てて海中に漂うプランクトンなどを捕食するのです。

海底に落ちているエサや海藻を食べるのに特化した体の構造に進化しているはずのウニですが、まさかのその逆の方法で食事をしています。

身体を半分砂から出し、流れてくるエサを体表の棘や管足でキャッチし、食溝と呼ばれる溝部分を伝って口へと運んでいきます。とても同じウニの仲間とは思えませんよね。

海中に漂うエサをキャッチ 不思議な進化

ウニの仲間のほとんどは、海藻やデトリタス(プランクトンなどの死骸、海藻の破片、排泄物)などの海底にある物を食べており、海中に漂うエサをキャッチする方法は本来見られません。

もともとは砂の中での生活に特化してきたにも関わらず、このような進化への舵の切り方をしたエキセントリックサンドダラー。

一種の往生際の悪さというか生き抜くためのしぶとさを感じますが、他の者達のかたちに囚われず独自の方法で生きる彼らからは我々人間も学ぶところがあるのかもしれません。

(サカナトライター:俊甫犬)

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