犬の『白内障』見逃したくない初期症状4選 発症してしまう原因や治療法まで
犬の『白内障』の特徴や発症する主な原因
白内障は、犬にも人間にもみられる眼の病気の1つです。
眼の中にある水晶体のタンパク質が濁ることで徐々に眼球が白くなっていき、視力も低下していきます。
最終的にはほぼ視力が消失してしまうため、生活に支障が出る犬も少なくありません。
白内障の原因は、加齢に伴って発症するものと思われがちですが、実は白内障に罹った犬の約7割が若年性とも言われています。
気づかないだけで6歳未満で発症し、症状が目に見えるようになるのが高齢期に差し掛かってから、というケースが多く見られます。
また、先天的に白内障を発症しやすい傾向を持つ犬種もあり、トイプードルやチワワ、ジャックラッセルテリア、アメリカンコッカースパニエル、柴犬などが好発犬種として挙げられることが多いです。
犬の『白内障』見逃したくない初期症状4選
白内障は一般的に4つのステージに分類され、超初期段階の1〜2ステージで素人が判断するのは非常に困難です。
しかし、早めに治療を受けることで進行を遅らせることができる場合もあるので、見逃したくない初期症状を把握しておきましょう。
1.突然物音などにビックリする
白内障の初期症状では、眼の白い濁りに気付けることはほとんどありません。そのため、行動の異変に気付くことが重要です。
ある時期から物音に敏感な様子を見せたり、突然ビクッと驚くような様子を見せたりする場合は、視力に何らかの異常が現れている可能性があります。
その原因の1つとして白内障が考えられるので、注意しましょう。
2.夜や薄暗い場所では動きたがらない
白内障を発症すると、夜や薄暗い場所では見えづらくなることがあります。
そのため、昼間は問題なく行動している犬でも、夜になると同じ場所からあまり動かなくなったり、不安そうに飼い主に寄り添う姿を見せたりすることが多くなります。
3.家具や物にぶつかることが増える
以前は問題なく室内を歩き回っていた愛犬が、最近になって家具に体をぶつけていたり、落ちているものを見落として蹴ったり踏んでしまう姿を見かけることが増えてきた…という変化はありませんか。
白内障を発症すると、初期段階でも見えづらさという症状が現れるため、周囲のものを正確に把握したり、距離感を掴むことが難しくなったりします。
4.段差のある場所を嫌がる
階段やソファの上、ベッドの上などに昇り降りすることに躊躇う様子を見せたり、嫌がる様子を見せたり、飼い主に助けを求める様子を見せることが増えてきた場合も要注意です。
特に白内障の初期段階は若年性のケースも多く、若い年齢でこのような様子を見せている場合は、白内障の可能性が疑われます。
愛犬が白内障に罹ったら…治療法は?
白内障は一度進行してしまうと元の状態へ戻すことは難しい病気です。
目薬やサプリによって進行を遅らせる治療法から始めることが一般的ですが、白内障が重症化してしまい、生活に支障が出るほどの視力低下を招いてしまった場合は、手術によって眼のタンパクを吸引し、人工レンズを挿入するという治療法をとることもあります。
手術によって低下下視力を元に戻すことは可能ですが、高齢の犬の場合は体力的にもダメージを負いやすくなるため、リスクの高い手術になります。
したがって、白内障が進行する前に行動の変化や眼の白濁に気づき、早期発見、症状の進行を回避する治療に取り組むことが重要です。
最近では、検査によって白内障を初期段階で発見することも可能なので、好発犬種の場合は健康診断の検査項目に追加してもらいましょう。
まとめ
犬の白内障は、意外にも6歳未満で既に発症しているケースも多く、初期段階では病気に気づくことがなかなかに困難です。
健康診断で毎年検査をして発症していないか確認したり、日々の行動を観察し、異変が見られないかチェックすることが進行を食い止める鍵になります。
(獣医師監修:葛野宗)