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失敗が資産になる「プロダクトベースの選挙戦」チームみらいのエンジニアチームが、選挙を重ねるごとに強くなる理由

エンジニアtype

失敗が資産になる「プロダクトベースの選挙戦」チームみらいのエンジニアチームが、選挙を重ねるごとに強くなる理由

2025年10月2日、チームみらいが公開したオープンソースソフトウエア『みらい まる見え政治資金』。政治資金の透明化を目的に開発されたこのプロダクトは、「政治とカネ問題」の解決に向けた第一歩として、リリース直後から大きな反響を集めている。

この開発を率いたのが、チームみらいが独自に立ち上げた「永田町エンジニアチーム」だ。95%以上のコードをLLMが実装する開発手法を確立し、15000行程度の中規模アプリケーションを、開発開始から約45日でリリースすることに成功した。

だが、その裏側には華々しいサクセスストーリーだけではない、泥臭い試行錯誤の歴史があったことをご存じだろうか。

メインエンジニア兼PdMとして『みらい まる見え政治資金』の開発を率いた伊藤 淳さんは「24年の東京都知事選から続く、この1年間の失敗とそこから得た学びの全てが、今回のスピード開発を支える礎となった」と語る。

『AIあんの』『しゃべれるマニフェスト』そして『みらい まる見え政治資金』。チームみらいのエンジニアチームが辿ってきたこれまでの軌跡について、伊藤さんに詳しく聞いた。

チームみらい 永田町エンジニアチーム
エンジニア兼プロダクトマネジャー
伊藤 淳さん(@jujunjun110)

2013年東京大学卒業。学生時代から安野たかひろ氏(現・チームみらい党首)と親交を持ち、後にチームみらいの各種開発プロジェクトに参画。新卒で株式会社VOYAGE GROUPに入社。その後、XR/AR/VR領域のスタートアップ「MESON」、ファッションサブスクリプションサービス「DROBE」を経て、現在はフィンテック企業「スムーズ」にてプロダクトマネージャーを務める。『AIあんの』『しゃべれるマニフェスト』などの開発に携わった後、政治資金の透明化を実現するオープンソースソフトウエア『みらいまる見え政治資金』のメイン開発を担当

目次

人力監視の先に見えた、政治×テックの光明8600件の変更提案が、かえってチームの軸を強固にした開発の95%はLLMでも、データレイヤーは妥協しない次に見据えるのは「AIによる合意形成」

人力監視の先に見えた、政治×テックの光明

ーーまずは伊藤さんが、チームみらいの前身である「チーム安野」に参加された経緯から教えてください。

そもそも安野くんは大学時代の同級生で、彼のパートナーである黒岩里奈さんとはサークルも一緒なんです。当時から、学内のイベントで顔を合わせる程度には親交がありました。

そんな安野くんが、24年の都知事選に立候補することをネットニュースで知り「マジか!」と(笑) そうしたら、その1時間後くらいに黒岩さんから「本当に人が足りなくて、手伝ってくれないか」とメッセージが来たんですよ。

その当時、僕は前職の会社を辞めて、フィリピンに語学留学中だったこともあり、フリーに動ける時間がたっぷりありました。「せっかくの機会だし、面白そうだな」と思って、「チーム安野」の仕事をサポートすることに決めたんです。

「会社での肩書きはPdMですが、副業でシステム開発の案件を受けたり、趣味で自作ソフトウエアを作ったりして、プログラミングスキルを高めていった形です」(伊藤さん)

ーー最初に手掛けたのが、当時話題になった『AIあんの』ですね。どのような体制で開発が始まったのでしょうか。

一番最初のプロトタイプは安野くん本人が作っており、フロントエンドはUnityで、バックエンドはPythonのコードが組まれている状態だったんですが、動作は不安定で機能も限定的でした。そこに僕を含めたメンバーが合流して、「みんなでこれを良くしていこう」とチームが動き出した形です。

僕はXR関連の仕事でUnityの知見があったので、フロントエンド周りと全体のプロダクトマネジャーとして参加しました。僕を含めて5人くらいのチームでしたね。

ただ、安野くんが出馬会見をしてからチームが集まったので、開発を始めた瞬間にもう選挙戦は始まっている状態。なので、負荷対策や冗長性をしっかり考慮する時間が全くありませんでした。

加えて、当時はRAGやエージェンティックワークフローに関する精度の高いツールチェーンやミドルウエアがなかったので、全部自前でPythonでコードを書いた結果、かなり頻繁に止まってしまって……。

ーー止まったらどうするんですか?

チームメンバーの誰かが手動で再起動するんです。運用メンバー全員の担当シフトをスプレッドシートで作って、「この時間帯はなるべくPCの前にいて、YouTubeの配信が固まったらリモートログインして再起動する」みたいな、かなり原始的な監視体制でした。

『AIあんの』は選挙期間中のみ使うサービスだったので、実際に運用されたのは10日前後くらい。それくらいの期間であれば、「頑張って冗長性を組むよりも、みんなで身体を張って保守した方が早い」という側面もあったのですが……。

この作業は本当につらくて、もう同じ過ちを繰り返さないようにしようと誓ったのを覚えています。

『AIあんの』は、後に参院選に北海道選挙区から出馬した稲原むねよしさん(@InaharaM_mirai)と、宮城県選挙区から出馬した角野なすかさん(@nasuka_mirai)がバックエンドの開発を担当している。両名とも、機械学習の専門家として知られる

ーーまさに“人海戦術”ですね。『AIあんの』の開発と運用で得られた気付きや学びには、どういったものがありましたか?

一番の気付きは、「政治とテックは意外にも相性がいい」と確信できたことです。

当時、『AIあんの』は5日間で約6000件もの質問に答えたんです。通常の討論会や演説だと、2時間で答えられる質問は多くて10件か20件。それと比べると、2桁も多い質問に答えることができたことになります。

もちろんLLMが介在するので本人の言葉そのものではありませんが、この桁違いの「量的変化」は、選挙活動全体の「質の変化」を生むと実感しました。「テクノロジーで選挙や政治のあり方を一変させ、新しい民主主義を作れるかもしれない」といった手応えが、今に続く原動力になっています。

また、政治というドメインだからこそ、「オープンにしていく」ことが何よりも重要だと学びました。政治的な回答をするAIに、特定の候補者に有利なロジックや誘導的なプロンプトが仕込まれていたら、誰も信頼してくれませんよね。

なのでチームみらいのプロダクトは、必然性がない限りはオープンソースで作る「デフォルトパブリック」の考え方で作っているんです。みんなが注目する領域だからこそ、透明性の確保と多くの人を巻き込むという両面で、オープンにすることの威力は絶大だと考えています。

25年10月の自由民主党総裁選挙で、立候補者の高市早苗さんが「教えて!? AIサナエさん」を運用。「AIあんのリリース後、同じように政治家がコミュニケーションにAIを活用する事例も増えてきています」(伊藤さん)

8600件の変更提案が、かえってチームの軸を強固にした

ーー伊藤さんは『AIあんの』に続き、『しゃべれるマニフェスト』の開発に携わられています。これは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

発端は、安野くんが25年1月に発足させた「デジタル民主主義2030」(※1)にて立ち上がった「大規模熟議プラットフォーム構想」です。僕もそのプロジェクトにPdMとして参加しており、『いどばたシステム』と名付けられたプロダクト全体の仕様策定などを担当していました。

大規模熟議プラットフォーム『いどばたシステム』とは?

AIチャットを活用し、市民が政策立案に直接参加できるデジタル民主主義プラットフォーム。利用者はAIと対話しながら意見や政策アイデアを出すことができ、AIは複数の利用者から寄せられた意見の論点を整理するなど、利用者の「改善提案書」の文書化をサポート。これにより、大規模な議論を可視化・整理し、多様な意見を実際の政策形成に反映させることを目指す。

そうした中、安野くんが25年5月8日に「チームみらい」を設立し、参院選への出馬を表明します。

安野陣営は、都知事選においてもマニフェストをGithubで公開し、プルリクエストで変更提案を募っていました。そこで「その通りだな」と判断できるものをマニフェストに組み込んでいく、いわば「集合知」を使ってより良いマニフェストを作る試みは、すでに行っていたんです。

ただ、これには大きな問題があって……。非エンジニアの方はGithubに慣れていませんし、「これではエンジニアしか提案できないじゃないか」「オープンとは言えない」というご批判を結構いただいたんです。

その解決策として、デジタル民主主義2030で作ったシステムをチームみらいが活用するべく構築したのが、『しゃべれるマニフェスト』になります。

しゃべれるマニフェスト トップページ

ーーなるほど。『しゃべれるマニフェスト』の反響はいかがでしたか?

公開期間中、約8600件ものマニフェストへの変更提案を集めることができました。これほど多くの意見を集約できたという意味で有意義な取り組みだったと思いますし、実際に254件の政策を取り込むことで、マニフェストをより良い形へアップデートできました。

その一つが、「障害者の親なき後の問題」です。保護者や支援者を亡くした後、障害を持つ方々の生活がいかに苦境に置かれているか。その問題について意見をいただき、我々で調べたところ本当に大きな問題だと分かったため、マニフェストに追加したんです。

この変更は、われわれだけで政策を考えていても絶対にたどり着けなかったと思います。こうした集合知の力を感じられたことは、『しゃべれるマニフェスト』導入の大きな成果です。

チームみらい 政策マニフェストテーマ別解説版 福祉編tibsocpjqvxxipszbwui.supabase.co

ただ一方で、変更提案の数が膨大なものになったことで、それを裁く人間のキャパシティーが限界を超えてしまうといった課題も生まれました。

都知事選の時にプルリクエストでもらった変更提案は230件程度でしたが、参院選ではその40倍にも及ぶ意見をいただきました。もちろん全てに目を通すことはできていますが、選挙期間中に精査して反映するか否かを判断しきれなかったものが、多く残ってしまったんです。

この問題については、次回以降の選挙戦でしっかり改善策を用意して臨んでいきます。

ーー大量のフィードバックを前に、全てに応えられない。このジレンマから何を得ましたか?

プロダクトをオープンにすることの大変さと、面白さですね。

政治というものに皆さんが強く期待を持っているからこそ、マニフェストやソースコード一つ一つに厳しい目が加わる。対応が大変な瞬間もありますが、そのプロセス自体が我々の成長の糧だと思っています。

リソース的に全ての提案に応えることはできないからこそ、「これは採用する」「これは採用しない」と一つ一つ判断する中で、「自分たちが本当に大事にしたい価値観は何だろう」と、チームの判断軸が磨かれていくんですよね。

『しゃべれるマニフェスト』を導入したことで、寄せられた批判や意見をしっかり受け止めながらも、自分たちの目指す方向にブレなく進めるようになったと思います。

【チームみらい】 対話型マニフェスト進化の軌跡まとめ 【世界初】note.com

(※1)デジタル民主主義2030|技術の力で市民の声を活かし、政治をより良い形に進化させることを目指したプロジェクト。より公共性の高い、政治的なカラーを持たない団体として設立された。なお安野貴博さんは、2025年5月7日、政治的中立性のためボードメンバーから退任している。

開発の95%はLLMでも、データレイヤーは妥協しない

ーー参院選が終わり、チームみらいは公約実現のフェーズへと移行します。その中の一つが「100日以内に、政治とカネの流れを透明化するアプリケーションを公開する」というものでしたよね。

はい。参院選中に安野くんが掲げた「100日プラン」という公約です。これを実現するためにプロジェクトが立ち上がり、『みらい まる見え政治資金』の開発が始まりました。

安野たかひろ、優秀なエンジニア集団を国政へ送り、“政治のOS”を刷新へtype.jp

一番最初にやったのは、「やること」と「やらないこと」を定義したドキュメントを書き、チーム全員で合意したことです。『しゃべれるマニフェスト』での経験から、「100日という限られた時間では、何をやって何を諦めるかが大事だ」と感じていましたからね。

まず「やること」には、チームみらいの収支を「見やすい形のグラフで可視化し、個別の取引レコードまでドリルダウンできるようにする」ことを設定。また、「高いセキュリティーと安定性を確保する」ことも必須要件でした。

プロジェクトメンバーは合計4名。伊藤さんがPM兼メインエンジニアを務めており、デザイン周りは参院選に愛知選挙区から出馬した山根ゆきやさん(@yamaneyukiya)が担当している

ーー安定した運用を重視したのは、『AIあんの』での反省を踏まえてのこと?

そうですね。当時の経験を踏まえて、運用面にもかなりこだわって構築しました。

大前提として、選挙戦のような短期戦では、とにかく1秒でも早く、たくさんアウトプットを出すことが求められます。ですが、平時の政党運営ではそうはいきません。

政党運営の原資は、基本的には寄附金および政党助成金がメインと限られており、その中で少ないメンバーでもしっかりアウトプットを出していくかが大事になる。障害に追われて稼働がかさむみたいなことは、あまり起きてほしくないわけです。

そこで今回は、設計段階からモダンなツールの恩恵を最大限に受けることを意識しました。特にフロントエンドで採用したVercelは、開発元が提供しているだけあってNext.jsとの相性が抜群で、工夫せずとも負荷に強く、落ちない仕組みを短期間で構築できます。

『みらい まる見え政治資金』を支える技術-国政政党がリリースしたOSSの技術選定と実装についてnote.com

また、多くのアクセスが集中しても安定してサービスを提供できるように、Webアプリでは2層のキャッシュ戦略を採用しています。政治資金データは更新頻度が低く、多少の反映遅延が問題にならないため、キャッシュによる最適化が効果的でした。

まず、クライアント側では全てのデータ取得をサーバー関数に統一しています。その上でトップページでは、HTMLレベルのキャッシュ(ISR)をメインに、想定外のパスにも対応できるようサーバー関数側にもキャッシュを設定しました。

一方で、ソートやフィルターが多い取引一覧ページではISRを使わず、サーバーキャッシュを中心に、パラメータごとにキーを発行して制御しています。

結果として、キャッシュヒット率は約98%に達し、安定して高速なユーザー体験を実現できました。

『みらい まる見え政治資金』 ユーザー画面のキャッシュ構成

ーーでは「やらないこと」には、何を設定したのでしょうか?

いくつかありますが、「他政党でも使えるような汎用的な作り込み」は、最初のリリース段階では限定的でもいいという風に決めました。後は、初期段階の構想として掲げていた「政治資金報告書のエクスポート機能」に関しても、政治資金報告書の作成タイミングまでに間に合わせると、明確に決めました。

こうして最初の合意形成を取ってから、ガンガン開発を進めていった形になります。チームメンバーとは週二回の定例ミーティングを行い、途中経過を報告し合いながらとにかくイテレーションを短く回すスタイルでやっていました。100日という猶予はあれど、早くリリースできることに超したことはありませんから。

ーー明確な線引きを行ったことが、開発開始から約45日という短期間でのリリースにつながっているんですね。

とはいえ、全てが順調にいったわけではありません。特に、政治資金収支報告書(※2)で求められる形式の対応には苦労しました。

一般的な企業会計では「複式簿記」が採用されており、発生主義に基づきお金の動きを記録しています。一方で、政治資金収支報告書では「単式簿記」が採用されており、これはお金が出ていった日だけを記録するシンプルなものになります。

単式簿記(現金主義)複式簿記(発生主義)記録方法現金の増減だけを記録取引を「借方」と「貸方」の2つの側面から記録記録範囲現金・預金などの出入りのみ資産・負債・収益・費用など全て記録考え方「お金が動いたかどうか」を重視「経済的な事実が起きたかどうか」を重視強い点●シンプルで分かりやすい
●現金の動きに即して管理可能●資産・負債を含む全体像を把握
●期間ごとの正確な利益が分かる弱い点実際の経済状態を正確に把握しにくい(未払い・未収の情報が抜ける)仕訳や勘定科目など、知識と手間が必要【事例】
カードでPCを買う場合購入時点では「何も記録しない」。カードの引き落とし(現金が減る)時点で、「支出」として記録する。購入時点で「PC(資産)」と「未払金(負債)」を同時に記録。後日支払時に「未払金」を減らし、「現金」も減らす。

複式簿記は多くの企業が導入しているようにミスが起きにくく、お金の出入りだけではなく、資産全体の状況も確認しやすい形式です。運用者と有権者の双方にとってメリットが大きく、チームみらいがその有用性を示すことは、「政治資金の透明化は、本来こうあるべきではないか」という社会への問いかけになると考えています。

ただ、他の政党の報告書と同じ単式簿記の形式でも見せられなければ、有権者の皆さんに他の政党と横並びで比較いただくことが難しくなってしまいます。

この二つの形式をどう変換し、両立させるかが最大の課題でした。

ーー最終的には、どう解決したのですか?

「複式簿記の形でデータベースを構築しつつ、比較可能性のために単式簿記風に変換して表示する」というアーキテクチャを採用しました。こうすることで、データのズレやミスに気付きやすいという複式簿記のメリットを享受しながら、単式簿記の表示ができています。

『みらい まる見え政治資金』 データの流れイメージ図

変換ロジックは多少複雑になりましたが、僕がこれまでのキャリアで学んだ「データのレイヤーのガバナンスが効いていないと、あらゆる変更が辛くなる」という教訓をここで活かせたと思っています。

データを利用するアプリケーション側のロジックは比較的変更しやすく、きちんとテストを書いた上でリファクタリングすれば何とかなる。実際、『みらい まる見え政治資金』は95%以上のコードをLLMが実装しており、「ひとまず仕様どおりに動いているのでOK」といった形で進めるシーンも多くありました。

ただ、データのレイヤーだけは絶対に妥協せずにしっかりとレビューを行う。そういう濃淡を持たせた開発を手がけられたことは、スピードと堅牢性のトレードオフの面では非常に良かったです。

95%以上をLLMが実装。『みらいまる見え政治資金』を45日で完成させた、AIネイティブな開発手法についてご紹介note.com

(※2)政治資金収支報告書|日本の政治団体の収入、支出及び保有する資産等について記載した報告書のこと。政治資金規正法により政治団体の会計責任者等に作成・提出が義務付けられている。

次に見据えるのは「AIによる合意形成」

ーー約1年間、チームみらいの一員として開発を経験する中で、伊藤さんご自身に何か変化はありましたか?

チームみらいの「ものづくりの姿勢」に、僕自身すごく感化されましたね。僕はプロダクトマネジャー寄りの人間なので、どうしても期限内に収めることを重視しがちになる。プロジェクトの終盤になればなるほど、「ここは一旦この形で」と落としどころを探してしまうわけです。

でも、チームみらいのメンバーは、リリースが近いタイミングでも「ここはこうした方が絶対に良くなる」という理想を、遠慮せずに発信し続けてくれるんです。「テーブルのUIが分かりにくい」「フィルターの操作性が悪い」……正直、「それをリリース2日前に言いますか!」と思うこともありましたが(笑)

でも、その姿勢があったからこそ、プロダクトの質がギリギリまで高められた。理想を追求することをやめないカルチャーは、僕にとって大きな学びでした。

ーーそういった姿勢のおかげか、『みらい まる見え政治資金』には多くの好意的な反響が目立っていますよね。

今回の開発では、チームみらいのサポーターにもかなりご協力いただきました。本番リリースする前に、サポーター限定で事前公開し、フィードバックをいただく機会を設けたんです。

ユーザーが初めて見た際の率直な感想は貴重ですし、いただいたフィードバックの中で「確かにな」と思うものをリリース当日までに更新することができました。

例えば、サポーターに初めて公開した時点では、お金を表すアイコンにドルマークを使っていたのですが「ここは円マークに変えた方が適切ではないか」と意見をいただき、実際に変更しています。こういう細かい部分の作り込みは非常に大切ですよね。

非常に建設的な意見をくださる方が多く、プロダクトのクオリティーアップに一役買っていただいたというのは、チームみらいの進化だと思います。

ーーチームみらいの目指す「誰もが関われる新しい政治参加の仕組みづくり」に、ますます期待が持てそうです。

個人的には、チームみらい自体がどれだけ勢力を伸ばせるかという観点ではなく、民主主義のあり方において、「より多くの方が合意できる仕組みづくり」に興味があります。

今回開発したのは、情報を公開するディスクロージャー型のプロダクトでした。今後は、政治的に対立する意見の中から共通点を見出し、合意形成を支援するようなプロダクトにもチャレンジしたいです。

それはおそらく、AIネイティブなプロダクトになるでしょう。サイトを作るためにAIを使うのではなく、サイトの中でユーザーがAIと対話することで、自身の考えを深めたり、意見が変容したりするような体験になるはず。

テクノロジーを通じて、より良い合意形成の形を模索し、次の民主主義のあり方を提案していく。それが、僕たちの次の挑戦です。

取材・文/今中康達(編集部)

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