介護業界で働きたい人必見!転職活動のポイント総まとめ
執筆者
ささえるラボ編集部
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この記事は社会福祉主事の資格を持ち、
特別養護老人ホームで介護職経験のあるライターが作成しました!
介護業界に転職するために知っておきたいこと
わが国では、2000年に介護保険制度が創設されました。介護保険によるサービスの利用者は年々増加傾向にあり、少子高齢化が進む中で介護業界は今後も成長が見込まれています。特に介護職は需要が高く、常に人材が求められている状況です。
介護職は、特別な資格がなくても始めることができ、未経験の状態からスキルアップを目指せる職業です。介護の現場は、未経験者のためにOJT(On the Job Training)が充実していたり、先輩スタッフがサポートしてくれたりと、チャレンジしやすい環境であることが多いようです。働きながら介護福祉士などの資格を取得することもできます。
また、介護業界の業務内容は多岐にわたり、施設やサービスの種類などによって働く時間帯や休みの取り方なども変わります。ライフスタイルに合った働き方を自由に選ぶことができるのはうれしいポイントです。
1.施設・サービスの種類と仕事の内容
■通所型サービス
自宅で生活する、介護が必要な高齢者に向けたサービスです。利用者は、通所介護の施設に通って日中を過ごします。利用者が自宅にこもりきりになることを解消し、孤独感を和らげたり生活機能を向上させたりすることを目的としています。
基本的に勤務時間は日中になるため、生活リズムが安定しやすいというメリットがあります。
一般型デイサービス1日の利用者数は、事業所の規模によって異なります。介護職員は、自宅までの送迎、食事、入浴、排泄など日常生活全般の介助や、機能訓練などを提供します。レクリエーションの進行をしたり、利用者の話を傾聴したりと、積極的にコミュニケーションを取ることが求められます。
・大規模デイサービス(1日の利用定員の目安:25人以上)
・中規模デイサービス(1日の利用定員の目安:19人以上)
・小規模デイサービス(1日の利用定員の目安:18人以下)
リハビリ特化型デイサービス身体機能の維持・向上を目的としたサービスです。フィットネスジムのようなマシンを備え、理学療法士や作業療法士などが各利用者に合ったプランを提案します。食事や入浴の提供はなく、午前と午後で利用者が入れ替わる場合が多いです。介護職員は、マシンや器具を用いた運動指導や、見守り、付き添いなどの介助を提供します。
認知症対応型デイサービス認知機能が低下し、自立した日常生活を送ることが難しい利用者に向けたサービスです。介護職員は、食事・入浴・排泄の介助に加え、認知機能訓練も提供します。症状の進行予防や改善などをめざし、昔の遊びを用いた回想法や、昔の童謡などを利用した音楽療法など、楽しみながら実践できるプログラムにも特徴があります。
療養型デイサービス自宅で生活できているものの、難病や末期癌などを患い、病状によって(1)~(3)のサービスを利用することが難しく、看護師の観察を要する利用者を対象とします。介護職員は、食事、入浴、排泄など生活全般の介助や、機能訓練を提供します。利用者の家族にかかる心身の負担を減らすことも目的とされています。
■入所型・住居型サービス
介護が必要となり、自宅を離れて施設に入所した高齢者に向けたサービスです。利用者の要介護度は、事業所の種類によって異なります。介護職員は、24時間365日体制で利用者の生活を見守り、食事、入浴、排泄、就寝や起床時の移乗、ベッドでの体位変換など全般的な介助を提供します。そのため、交代制で勤務時間帯が決められる場合がほとんどです。
例えば、早番(7:00~16:00)、日勤(10:00~19:00)、遅番(13:00~22:00)、夜勤(21:00~7:30※休憩を2回挟む)というように、フロアに介護職員がいない時間帯がないようにシフトが組まれます。利用者にとって、施設は生活の場。介護職員は、日常生活のあらゆる場面に寄り添うため、介護のスキルがどんどん高まっていくでしょう。特別養護老人ホーム自力で体を動かせない人や、重度認知症の人などが入所する施設です。「特養」と呼ばれることもあります。食堂などを大人数で共有し1部屋に数人で生活する「従来型」と、10人以下の少人数を生活単位とし個室で生活する「ユニット型」の2タイプがあります。
いずれの場合も要介護度の高い利用者の介助となるため、転倒や誤飲の恐れがないか、緊張感を持って目を配る必要があります。瞬時にやるべきことを判断し、体を動かすことができる人にはピッタリの職場でしょう。
介護付き有料老人ホーム要介護度の低い人から高い人まで入所できます。レクリエーションやリハビリが充実しているとされ、中には豪華な食事メニューを提供する施設もあります。
元気な利用者が多く、問題がなければ外出することもできるため、例えば買い物の付き添いやクリーニングの代行など、介護職員に任される業務内容が幅広いことも珍しくありません。ホスピタリティーにあふれ、利用者からの要望に丁寧な対応ができる人には合っている職場でしょう。
ケアハウス生活の一部に介助を必要とするものの、自立して暮らすことができる高齢者が入居します。介護職員は、食事・入浴・排泄の介助をすることはほぼなく、配膳や掃除洗濯、事務作業などを行い、利用者が安心して生活できるようサポートします。身体的な介護がとても少ないため、未経験の人や、デスクワークから介護職に転職したい人、体力にあまり自信がない人なども、大きなギャップを感じることなく働けるのではないでしょうか。
介護老人保健施設利用者の身体機能を回復し、自宅に戻って生活できるように支援する施設です。「老健」と呼ばれることもあります。終の住処ではなく、リハビリを目的とした施設なので、利用者は3カ月ほどで入れ替わります。介護職員は、日常の生活介助全般や生活訓練などを提供します。定期的に利用者が入れ替わるため、たくさんのケースを知ることができ、実務経験を積んでスキルを上げたい人には合っているといえます。
認知症グループホーム認知症の高齢者が入居する施設です。利用者は5~9人ほどの少人数で生活を共にし、家庭的な雰囲気の中で自分らしく過ごすことができます。介護職員は、日常生活全般の介助に加え、食事の準備、掃除洗濯、買い物などを利用者と共同で行います。認知症の家族と関わった経験がある人は、それを仕事に生かすことができるでしょう。また、介護の仕事に就いて認知症のことを深く理解したいと考えている人にもお勧めしたい職場です。
■訪問型サービス
自宅で暮らしながら介護を必要とする高齢者に向けたサービスです。訪問介護で働く介護職員は「訪問介護員(ホームヘルパー)」と呼ばれます。訪問介護員が利用者の自宅に出向き、食事、入浴、排泄、体位変換、服薬などの身体介助をします。
また、掃除洗濯、食事の調理、乗り物への移乗など生活援助も大事な仕事です。滞在時間は30~90分程度で、限られた時間内に効率的に業務をこなす力が必要とされます。
2.介護業界にはどんな職種があるの?
介護業界では多様な職種が協力し合って利用者の生活を支えています。転職活動においては「介護職員を目指して面接を受けたけれど、事務職として採用が決まった」というケースもあるようです。介護業界で働く人の職種について知り、業界の全体像をつかんでおきましょう。
【利用者を介護する職種】・施設介護員
・訪問介護員
【施設やサービスの管理、営業などをする職種】・管理職、マネジメント職
・事務関係職
【専門分野でサービスを支える職種】・調理
・清掃
・リネン
3.介護業界で活躍している人はこんな人!
介護業界の仕事に向いているのは、どんな性質を持った人なのでしょうか。未経験の人にも役立つように、資格やスキル以外の大切なポイントを、厚生労働省の資料を元に紹介します。※
出典:厚生労働省介護業界で働いてみませんか~ハローワークで聞いてみよう!~
■人とコミュニケーションを取るのが好き
■皆で協力して物事を進めるのが好き
■人の役に立ちたいという気持ちが強い
■新しいことに挑戦するとワクワクする
■人とコミュニケーションを取るのが好き
利用者に声をかけたり、利用者の言葉に耳を傾けたりと、介護の日常業務の中にはコミュニケーションを取る場面がとても多いです。人と関わることが好きで、気後れせずに周囲の人と交流を持てるタイプであれば、すぐ仕事になじめるでしょう。
■皆で協力して物事を進めるのが好き
施設やサービスの種類などによって差はありますが、介護職員同士、そして看護師や理学療法士などの他職種とも連携し、より良いサービスをつくっていく姿勢が求められます。人と相談しながら助け合って業務を進めることが得意な人は介護職に向いているといえます。
■人の役に立ちたいという気持ちが強い
心をこめてケアをした人から、直接「ありがとう」という言葉を聞けるのが介護の仕事の醍醐味です。「快適な生活をサポートしたい」「喜ぶ顔が見たい」という気持ちを原動力にして、日々利用者に向き合える人が活躍しています。
■新しいことに挑戦するとワクワクする
利用者ごとに適切な介助の方法は少しずつ違います。そのため、介護の現場には学びや経験を得る機会があふれています。仕事の中で新しい発見に胸をときめかせられる人は、どんどん成長できる環境なのです。
入職までの大まかな流れ
実際に介護職員として働くまでには、どんなプロセスを踏むものなのでしょうか。情報を集めるところから、採用が決まり就業がスタートするところまで、大まかな流れを見ていきましょう。
1.情報収集
2.見学会に参加
3.採用面接
4.契約・就業スタート
1.情報収集
まずは、自分が希望する「勤務地」「施設の種類」「雇用形態」などを書き出して整理してみましょう。そのうえで、どんな事業所が求人を出しているのか調べてみましょう。
福祉・介護業界を専門とする情報サイトがリサーチに便利です。希望する「職種」「地域」「雇用形態」などから自分に合った求人情報をチェックすることができます。
2.見学会に参加
希望する事業所の見学会に参加すると、職場のリアルをのぞくことができます。
「介護の仕事に興味はあるけれど、実際の様子を見てから決めたい」「職場の雰囲気を自分の感覚で確かめたい」などと感じている人は、自治体のウェブサイトなどから申し込んで参加してみましょう。
3.採用面接
見学会の直後、あるいは日を改めて、採用面接が行われます。事業所によっては、作文や筆記テストなどの課題があることも。見学会の前までに、介護の仕事や事業所のサービス内容について予習しておくといいでしょう。
4.契約・就業スタート
面接での受け答えや課題が選考基準をクリアしていれば、晴れて採用となります。採用通知が届いたら、勤務開始日を相談して就業を開始します。
転職活動を行ううえで準備すること
1.必要書類・提出日はしっかりチェック!
提出が必要な書類を確認しておき、抜け漏れがないように気を付けてください。提出期限を過ぎるのはもってのほかです。また、前もって書類を郵送する場合は、書いた内容を忘れないようにコピーを取っておきましょう。
【面接に向けて準備するものの例】
■履歴書:黒いボールペンで丁寧に書きましょう。誤字・脱字があった場合は、新しい用紙に書き直します。
■職務経歴書:これまで所属していた会社をすべて記載します。家族の介護や育児などでブランクがある場合は、理由とともに明記しておきましょう。
■証明写真:正面を向き、胸より上がおさまっている写真を使用します。
■印鑑:履歴書や契約書類に捺印を求められる場合があります。
■資格証明書など:福祉系の資格証明書や運転免許証があればコピーを提出します。
2.見学会や面接時の服装・身だしなみ
見学会では「襟付きの半袖シャツとコットンパンツ着用」などと服装が指定される場合があります。その有無を含めて担当者に確認し、準備しておきましょう。
また、室内用のシューズは新しいもの(外で使用したことがないもの)を持参しましょう。ひも付きの靴は安全性の観点から不可であることが多いです。面接時はスーツ着用が基本ですが、用意が難しい場合はオフィスカジュアルスタイルで臨みましょう。当日は家を出る前に、シャツの襟がよれていないか、爪は伸びていないかなど、基本的な身だしなみをチェックしておきましょう。
選考対策
1.履歴書を書くときのポイント
履歴書には、学歴・職歴・資格・免許などを誤りなく記載することが大事です。学校名・会社名・資格名などは正式名称で書きましょう。
また、志望動機や自己PRは空欄にせず、応募先への想いや自分の強みを伝えましょう。レクリエーションに力を入れている施設であれば、趣味のスポーツや手芸などが評価されることもあります。
2.面接を成功させるためのポイント
転職の面接では、基本的に「自己紹介」「現在までのキャリア」「転職に至った理由」などを聞かれます。介護職の場合は、「介護の仕事に就きたいと思った理由」「希望勤務時間帯(夜勤はできるのか?)」「健康についての不安の有無」などについて聞かれることもあります。面接担当者と目線を合わせ、姿勢を正し、大きな声で話すことを心がけましょう。
介護職のやりがいと大変さ
介護職は、介護を必要とする高齢者にとってなくてはならない存在。利用者の生活を支援する日々の中で、心のつながりを感じることができるやりがいのある仕事です。「社会や他人に貢献したい」という想いを持つ人は、大きな達成感を得ながら誇りを持って力を発揮できます。
しかし、介護の仕事ならではの大変さもあります。体がうまく動かせない利用者の身体介助は、要介護度が上がるほど腰や膝に負担がかかります。また、シフト制の働き方に慣れるまでは生活リズムが乱れがち。自分自身のケアも大事な仕事の1つとなります。それから、認知機能が低下した利用者とコミュニケーションをうまく取れず、精神的に負担がかかることも。1人で抱え込まず誰かに相談できる環境をつくることも大切です。
最後に:しっかり準備をし、転職活動を成功させましょう!
求人情報を探していて「なんとなく自分に合っている気がする」と焦って応募ボタンを押す前に、施設の種類や勤務形態などをよく確認して、自分が働いた場合にどんな生活が待っているのかをイメージしてみましょう。
介護業界についてしっかり調べて準備をしておくことで、転職後の未来はさらに明るくなるはずです。
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