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EPICキッズ大集合!ムック本「EPICソニー総論」の取材で強まった木根尚登へのリスペクト

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2024年07月30日 ムック「EPICソニー総論」発売日

80年代~90年代EPICソニーとはなんだったのか


TM NETWORK、渡辺美里、松岡英明などなどEPICソニーのアーティストに夢中になった80年代。思春期にハマったものへの想いは永遠に変わらないというが、まさかこの歳になっても同じように彼らの音楽に恋い焦がれているとは当時、想像もしていなかった。そんなEPICキッズとして育った私はいつしか音楽ライターとなり、音楽雑誌『Player』編集長(現在休刊中)でEPICソニー評論家・北村和孝氏と共に『EPICソニー総論』という本を出版した。

この本は、2022年に発行された別冊 Player SPECIAL『Respect EPIC』に続く第2弾。第1弾ではW表紙と巻頭特集で渡辺美里さん、松岡英明さんにインタビューを敢行、第2弾となる今回は表紙及び巻頭特集を木根尚登さんに務めていただいた。また、第1弾をアーティストインタビューで構成したのに対し、今回は80年代〜90年代にアーティストを支えたEPICソニーのスタッフにも登場いただいた。その理由は、80年代〜90年代のEPICソニーという音楽レーベルを、ひとつの大きな日本の音楽カルチャーとして考えていたからだ。

EPICソニーの販促イベントの数々に少年少女は夢中になった


当時はネットなんてない時代。音楽情報も足で稼ぐことが私たち音楽ファンにとっての鉄則だった。そのためレコード店はまさに情報発信基地で、学校帰りに直行。まるで部活のようでもあった。そんな全国のレコード店のスタジオなどで開かれていたのがビデオコンサート(通称ビデコン)だ。EPICソニー主催の『BEE』と名付けられたこのイベントは事前に整理券をゲットしたファンが集まり、最新のミュージックビデオをみんなで観るというもの。

そこではお目当てのアーティストはもちろん、さまざまなアーティストの情報が流れてくるため、否応なしにEPICソニーのアーティストに夢中になっていく。まさに芋づる式だった。後にアーティスト情報がびっしりと記された新聞『HUSTLE WOM』が発行されたり、抱腹絶倒なノリのラジオ番組が収録されたカセットテープ『TAMAGO』などなど… 多くの販促グッズがレコード店で配布されていたのだから、その大盤振る舞いぶりには驚かされたし、今なら分かる “予算とは!?” と(笑)。そしてこれらを当時のアーティスト担当たちが必死になって作っていたということが今回の取材で判明。スタッフの方々への取材は本当に驚きの連続だった。

そして、出るわ、出るわ、貴重な話のオンパレード。TM NETWORKの「Get Wild」がアニメ『シティーハンター』へ繋がっていく流れ、どのスタッフからも口をついて出てくる岡村靖幸のエピソード、そのほかにも当然、各アーティストの裏話が次々に飛び出す。もちろん、『BEE』などの販促イベントがなぜ生まれたのか、その舞台裏なども語られ、さまざまな謎を解き明かすことができた。

木根尚登のすごさとTM NETWORKツアーの答え合わせ


今回の『EPICソニー総論』では、多くのアーティストにインタビューをお願いしてお世話になったが、中でも巻頭特集を飾っていただいた木根尚登さんの取材は3万字にのぼるものとなった。おそらく木根さんの単独取材としては異例の文字数ではなかったかと思う。TM NETWORKの誕生からソロ活動まで語られているのだが、特に注目したい話が、TM NETWORK結成時に小室哲哉の存在もあってエレキギターへと転向を余儀なくされたことではないだろうか。この時の想いが赤裸々に語られており、インタビュー中も記事を執筆するときも、あまり今まで語られてこなかった木根さんの想いに触れ、何とも表現できない切なさとリスペクトで胸が熱くなった。

おそらく、この数年のライブでエレキを弾くステージが続き、練習に練習を重ねた木根さんがあったからこそ聞くことのできた話だったように思う。時間を遡れば、木根尚登という人はライブでいつもたくさんのことに挑戦してきた。あり得ないほどの高さの竹馬パフォーマンスやパントマイムなど、小室さんの無茶振り(?)に応えてきた。そうしたことは嫌ではなかったjかと尋ねたところ、“とりあえずやってみるよ… できなかったら、ごめんね” という感じだったのだとか。実に誠実な人柄が溢れている。

そして、またそれらの難題を完成させてしまうのが木根尚登という人のすごいところだ。エレキギターへ転向したことをはじめ、今ここに来てサポートメンバー抜きで1人でエレキを演奏をすることとなった努力と頑張り。リスペクトという言葉ではあまりに軽いかもしれない。心から素晴らしいアーティストだと改めて思った。

そして2024年、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人で回ることをコンセプトにしたツアーに、なぜドラムに阿部薫、ギタリストに北島健二が参加したのか? その意味も語られており、TM NETWORKのファンにとっては答え合わせもでき、胸熱になること間違いなし。この『EPICソニー総論』をチェックしつつ、9月25日に発売になったライブブルーレイ『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜YONMARU〜』を楽しんでほしい。

EPICソニースタッフの情熱とアーティストへの愛情がカルチャーを作った


今回、スタッフの方々への取材を通し、その情熱は当時のEPICキッズにしっかりと届いていたと確信した。だからこそ私たちはEPICソニーに魅了され、そのスピリッツのようなものが自分を作っているのだと今でも感じている。

アーティスト取材では、木根さん以外にも40周年を迎えるバービーボーイズからいまみちともたかさんと杏子さん、他にもここには書き切れないほど多くのアーティストの皆さんにご協力いただいた。すべての関係者に感謝の1冊となった。これからもずっとEPICソニー愛は変わることなく、力の続く限り追いかけていきたいと思っている。EPICソニーに出会った少女の頃と変わらぬ瞳で。そうした情熱はEPICソニーが教えてくれたものだから。

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