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吹替声優にAI危機?フランスでスタローン役声優が逝去、生前の声でAI生成吹替が物議

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AI技術が急激な進化を続けている。人間の音声はすでに限りなくリアルに生成されるようになっているが、これによってフランスでは吹替声優の立場が脅かされる事態が生じている。

騒動となっているのは、シルヴェスター・スタローン主演の新作スリラー映画『Armor(原題)』。1970年代からスタローンのフランス語吹替を務めてきた俳優で声優のアラン・ドーヴァルが2024年2月に逝去したことで、スタートアップ企業のElevenLabs社がAI技術を用いてドーヴァルの声を生成し、映画のフランス語吹替版に使用するという動きが物議を醸したのだ。

ドーヴァルの娘オロール・ベルジェは、生前のドーヴァルが自身の声のクローン化の試験的活用には同意したものの、使用や公開には同意していないとする。

メジャー映画の吹替をAI技術で置換するのは前代未聞のこと。フランスにおける俳優・パフォーマー組合の代表を務めるジミー・シューマンによれば、AIと吹替の利用制限における交渉の真っ只中に起こったこの騒動は、業界で「大騒動を巻き起こした」「挑発行為」であるという。

米によれば、吹替コンテンツの視聴を好む国の第1位はイタリアなのだというが、ここ日本でも映画の吹替版は欠かせない。作品の話題作りのためにタレントやアイドルなどが吹替声優に挑戦することがあれば、聖域を荒らす行為だとしてファンから嫌悪される。もしも日本でも同様に、シルヴェスター・スタローンのような俳優が演じる役の吹替がAIによって賄われることがあれば、声優の魂を冒涜するものとして大きな反発が起こるはずだ。

国内では、山寺宏一や坂本千夏、朴璐美、福山潤、宮本充といった声優26名が声の無断AI生成に反対する有志団体「NOMORE 無断生成AI」を発足し、啓蒙活動を行っている。

映画『ブルータリスト』では、出演者がハンガリー語のセリフを喋る場面で、役者の努力や別人の吹替が求められる品質に及ばなかったため、AI技術によってハンガリー語に変換された。やはりこちらもことになり、監督が「演技は完全に彼ら自身のもの」「最大限の敬意を払った」と声明を出すまでに至った。

なおフランスでは騒動ののち、『Armor(原題)』スタローン役の声優はAIではなくプロ声優のミシェル・ヴィニェが担当する運びとなった。

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