“間違いも味になる”織り物。姫路の『さをりStudioゆう』で自己表現の体験を 姫路市
従来の織物と違い、決まった織り方に縛られない自由な手織り――『さをり織り』は、人生哲学とも通じる織物です!そんな素晴らしい世界に触れられるのが、姫路市にある『さをりStudioゆう』。ただのアートでは終わらない、『さをり織り』の奥深さと楽しさを体験できます。
工房名の『ゆう』という名前には、「あなた(YOU)」、「遊ぶ」、「優しい」など、さまざまな意味が込められています。中でもユニークなのは、方言の「言う(ゆう)」。作品を通して言葉で伝えにくい思いや自分自身を「語る」ことができるように、という願いが込められているのです。
印象的だったのは、代表の山口さんをはじめスタッフの皆さんが、さをり織りと、織る方それぞれの個性を心から愛していらっしゃること。
スタッフの秋田さんは、美術大学でテキスタイルアートを学び、「アールブリュット(生の芸術)」への関心がきっかけで、さをり織りと出会われたそうです。
多様な表現に魅せられたと語る秋田さんの眼差しは温かく、工房で織られる作品ひとつひとつが、「その人らしさ」を尊重されていることを物語っていました。
そんな『さをりStudioゆう』ですが、今年、姫路市の美術展のデザイン部門で市長賞を受賞された利用者さんもおられるとのこと。ひとりの作家として、作品そのものを見てもらえることが、とても嬉しいと話されていました。
その背景には、山口さんたちの大切にされている想いがあります。就労継続支援B型事業所でもあるこの工房では、「障がいのある方が作った作品」という枠にとどまらず、ひとりの創り手によるアート作品として、その表現を尊重しているのです。
作品には、力強く織る方もいれば、柔らかなタッチの方も。どの作品にも、その人だけの感性と時間が織り込まれていて、その違いこそが美しさの源。ここで育まれているのは、真の意味での多様性と創造性の共生だと強く感じました。
そして、いざ体験させてもらう筆者。沢山ある中から、好きな横糸の色を自由に選べるのが嬉しい♪
「間違えてもいい。きっちり織るのもいい。全てが正解なんです。自分らしさをそのまま表現してくださいね。それが一番味わい深い作品になりますから」と山口さんに教えていただきました。
体験後の率直な感想は「とにかく楽しい!」。子どもの夏休みの自由課題はもちろん、大人にもぜひ体験してほしい。無心で夢中になる時間はまるで禅のようで、心を落ち着かせてくれます。
工房では、利用者さんが織られた作品の販売もされています。 実際に来店されていたお客様からは、「他の工房よりも仕上げが丁寧で、手に取ると高級感がある」といった声も。バッグの持ち手に革素材をあしらうなど、デザインの工夫も効いていて、普段使いしやすく、おしゃれに仕上げられています。
作り手の個性が煌めくオリジナルTシャツをはじめ、ピアスやバッグなど大切な誰かに贈りたくなる一点もので溢れています。
自分らしさがそのままアートになる――そんな特別な体験が待つ『さをりStudioゆう』。ここで、まだ気づいていなかった自分の魅力と出会えるかもしれません。お子さまの自由な発想を育てる場としてもぴったりで、家族で訪れるのも良さそうです。
場所
さをりstudioゆう
(姫路市二階町79)
体験内容
【ちょこっとコース】
初めての方でも大丈夫!30分でオリジナルコースターが作れます
【しっかりコース】
1コマ2時間コース。ランチョンマットやストール作りに挑戦!
【おつづけコース】
たて糸作りからマスターしたい方へ
【ストール/マフラーコース】
1コマ3時間コース。ストールやマフラーが織れます
体験料金などのお問い合わせは079-240-6853まで
イベント
9月 生野まちづくり工房井筒屋(朝来市生野町)にて作品展
山陽百貨店(姫路市)にて期間限定販売
10月 米ギャラリー大手前(姫路市林田町)にて作品展
ひがし蔵(赤穂郡上郡町)にてグループ展
11月 ギャラリーゆう(姫路市北条宮の町)にて秋色展開催
ふく蔵(加西市三口町)にてグループ展
12月 HANDMADESHOP&CAFE たんぽぽ(岡山県赤磐市)にて作品展
*詳細は、インスタグラムにてご確認ください