中原消防署 「地元愛」で、災害強い街へ 新署長に小川晶さん
27万人弱が暮らす中原区。防災の要となる中原消防署の署長に4月1日付で、小川晶さん(57)が就任した。中原区出身だが入庁以来、初の中原署の勤務。「街の激変ぶりに驚いた。若い人が多く元気で活気がある街。防災のまちづくりで、何か新しいことができる可能性を秘めていて、ワクワクしている」と期待を寄せる。
大学時代に専攻した化学の知識を生かし、これまでの消防人生のほとんどで、石油やガス、危険物の許認可や指導を行う保安行政に携わってきた。国への出向も経験。署長は川崎、臨港に続いて3署目となる。「全国的に高齢化が進んでいる中で、中原区はタワーマンションができて、若い人、子育て世代が増えている。一方で、昔から住んでいる人たちも多く、郷土愛が強い」と地元中原区のイメージを語る。あいさつ回りで昔話をすると話が弾むという。
阪神淡路大震災から今年で30年。先日発生した大船渡の山火事にも署員を派遣した。「災害はいつ何時起こるかわからない」。だからこそ、常にその意識を持ち続けるよう署員に訓示した。タワマンや大型商業施設があるだけでなく、等々力緑地のような緑があり、スポーツの試合会場にもなるなど、中原区は多様な災害の発生リスクを抱える。「地域の実態を把握し、ニーズにあった消防行政を行っていきたい」と自身にも署員にも言い聞かせる。
今後の課題は、地域防災の担い手不足の解消だ。消防団の魅力を発信し加入促進に取り組んでいく。また、増える電気火災への予防啓発、救急搬送に備える救急隊員の負担軽減のためのフォロー体制なども進めていく意向だ。
中原警察署長、中原区長と連携して取り組みをPRするユニット「MEZASHI」へも新加入となる。「先輩たちが立ち上げ、築いてきたもの。警察も行政も目指すところは区民の『安全・安心』。中原区独自の取り組みで心強い」と笑顔で語る。
顔の見える関係、災害に対応できる街へ。「愛される消防署にしていきたい」