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東高西低!ウミタナゴ釣り

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東高西低!ウミタナゴ釣り

周囲を海に囲まれた我が国ニッポンは紛れもなく海釣り天国、多種多様な魚がねらえるが、同じ魚種をねらうにしても、さらに同じ釣りジャンルといえど、地方によって独特のカラーがあるのが、何より古くからニッポン人が釣りに親しんできた証拠。
「あの釣りこの釣り古今東西」第12回はウミタナゴ釣り。その昔、東西の海釣り入門書には必ずといってよいほど「ウミタナゴ」の項があったものだが、なぜか関西では釣りとしてのステイタスがあまりにも低く、掲載されていてもほんのわずか。まさに東高西低の釣りといってよいだろう。

かつての関西の釣り雑誌に


ウミタナゴ特集は皆無に近かった

初めてウミタナゴに出会ったのは小学生のころ。兵庫県明石市の東二見の防波堤でゴカイをエサにしたウキ釣りだった。25cmほどの個体だったが朝日に照らされキラキラ輝くパールピンク魚体に心ときめいたものだ。

しかしその後、同海域ではそれほど数が釣れる魚ではないこともあって、ウミタナゴを追いかけることはなかった。煮つけて食べた味も水っぽくて「あまり美味しいものではないな……」という印象も強かったのかもしれない。

大阪湾や播磨灘にもミタナゴは生息するが、なぜか釣りの対象としては人気は低い

成人して大阪市に本拠を置く釣り雑誌社の編集部に身を置いてからも、ウミタナゴ釣りとは疎遠……というより完全にノーマークだった。関東系の釣り雑誌には盛んに特集などが組まれていたと思うのだが、関西の同釣り雑誌にウミタナゴが取り上げられることがまったくなかったと記憶している。

今も昔も本命にならない


関西のウミタナゴ

大阪湾を中心とした関西でのウミタナゴという存在は、古くから防波堤や小磯などのメバル釣りや荒磯のグレ釣り、イカダ・カセなどからのチヌ釣りの他魚という扱いでしかなかったと思う。これは現在でもまったく変わらずの、関西でのウミタナゴという魚の価値観だと思う。

このウミタナゴは徳島県北部の堂浦のイカダ釣りで、チヌ釣りの仕掛で掛かった歓迎されないゲスト魚だった

一方で関東から東北にかけての太平洋岸では今も変わらずウミタナゴ釣りは盛んで、海釣り入門に最適な魚として、その地位は昔も今もゆるぎないように思われる。

実際に関東系の釣り入門書や魚料理本などを見ると「けっこう美味しい」という食味評価になっていることが多いが、関西では驚くほど評価が低いのだ。「同じ魚なのになぜ?」という疑問を長い間持ち続けていたが、その謎を解くカギが意外なところにあった。

研究が進み分類された


ウミタナゴ科5種

釣り人がウミタナゴと呼ぶ魚には、実は日本国内に5種もいる。ウミタナゴ科ウミタナゴ属に4種、ウミタナゴ科オキタナゴ属に1種の計5種だ。1985年発行の図鑑を見ると、研究途中だったウミタナゴ属にはマタナゴ型、アカタナゴ型、アオタナゴ型の3タイプの写真を見ることができるが、まだ別種とは記載されていない。その後、魚類学の研究で5種に分類された。以下がその内訳だ。

【ウミタナゴ科ウミタナゴ属】

マタナゴ

ウミタナゴ

アオタナゴ

アカタナゴ

【ウミタナゴ科オキタナゴ属】

オキタナゴ

釣り人が一様にウミタナゴと呼ぶ魚には5種もいる(この2尾の種としての見分けは難しい)

まず以上の5種には、その分布域に差がみられる。

・マタナゴ:関東地方~瀬戸内海

・ウミタナゴ:北海道中部以南の日本海沿岸、東北地方の太平洋岸

・アオタナゴ:青森県以南の日本各地沿岸

・アカタナゴ:千葉県~徳島県の太平洋沿岸域

・オキタナゴ:北海道~九州の沿岸近くから沖合

(以上の分布情報は2018年発行の『釣魚1400種図鑑』KADOKAWAによる)

同科5種の分布の違いが


人気の差になったのかも?

以上を整理すると(いわゆる)ウミタナゴ釣りが盛んな東の三浦半島や房総半島の東京湾側にも、西の大阪湾や播磨灘にも共通してみられるのはマタナゴ、アオタナゴ、オキタナゴということになるが、同書の食味評価ではアオタナゴとオキタナゴがやや低くなっている。

ということは、ひょっとしたら釣魚として人気がない大阪湾や播磨灘には、「やや美味しい」マタナゴが少なく「あまり美味しくない」アオタナゴやオキタナゴが多いのかも?と推測できなくもない。

大阪湾に生息するウミタナゴ科の魚は、東に比べ「美味しくない」ものが多いのかもしれない?

また大阪湾や播磨灘沿岸は、かつての東京湾などにくらべ格段にチヌ(クロダイ)の個体数が多く、ウミタナゴ属の魚をねらうまでもなくチヌが比較的かんたんに釣れたことが影響しているかもしれない。ウミタナゴ属の個体数も関東や東北にくらべ少ない印象だ。

そんな近畿圏のなかでも、ウミタナゴが比較的多いと感じたのは三重県の太平洋側、熊野灘に面した紀伊長島周辺の磯。しかし、ここでもグレねらいのフカセ釣りのやっかいなエサ取りという扱いだったので、よい印象はまるでない。

三重県の太平洋岸・熊野灘。紀伊長島をはじめ写真の奈屋浦にもウミタナゴは多かったはず……

とにかく東西でこれほど釣りの対象としての価値観が違う魚は珍しい。これも周囲を海にかこまれ魚種が豊富なニッポンならではの多様な釣り文化の一面だといえるだろう。

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