プロ野球ドラフト会議くじ運ランキング 強運ロッテが3位転落…勝率1位に浮上したのは?
「運命の1日」10・24
プロ野球のドラフト会議は24日に行われる。幼い頃からプロを夢見てきた選手にとって、使い古された言葉ではあるが、今も昔も「運命の1日」であることには変わりない。指名されるか否か、どの球団に指名されるかで、その後の人生が変わると言っても過言ではないのだ。
特に毎年ドラマが起きるのが、1位指名選手に複数球団が競合した場合の抽選だ。最近は特定の球団を拒否するような選手も減ったが、それでも本心は希望する球団がある場合も少なくない。
球団にとっても、当たりくじを引くかどうかで2位以下のドラフト戦略や、オフの補強方針の軌道修正を余儀なくされる可能性もあり、強運の持ち主かどうかはその後に大きく影響する。
そこで高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトを再統合して一括開催になった2008年以降の各球団のくじ運を調べてみた。ランキングは下の通りとなっている。
武内夏暉を引き当て勝率6割の西武が“最強”
一昨年まではロッテが強運を発揮していたが、2023年ドラフトで度会隆輝、草加勝、細野晴希と3人連続で外し、外れ外れ外れ1位で上田希由翔を獲得。抽選は10勝9敗の勝率.526となり、3位に転落した。
代わって1位に浮上したのが西武。昨年は3球団競合の武内夏暉を引き当て、6勝4敗の勝率6割を誇っている。
武内は高評価された実力をいかんなく発揮し、10勝6敗、防御率2.17をマークしたことを考えると当たり外れの差は大きい。武内の当たりくじを引いた松井稼頭央監督が退任したが、今回抽選になった場合は西口文也新監督が引くのだろうか。
今年は青学大・西川史礁や大阪商業大・渡部聖弥、明治大・宗山塁ら即戦力野手を指名すると予想されるが、果たしてどうなるか。最下位脱出するためにもくじ運の強さを発揮したい。
2年連続で当たりくじを引いた巨人
意外な気もするが、セ・パ両リーグの優勝チームはくじ運が良くない。巨人は2022年が浅野翔吾、2023年が西舘勇陽と2年連続で当たりくじを引いたが、それでも4勝12敗で勝率.250だ。
2016年は田中正義と佐々木千隼を外して吉川尚輝、2017年は清宮幸太郎と村上宗隆を外して鍬原拓也、2018年は根尾昂と辰己涼介を外して高橋優貴、2019年は奥川恭伸と宮川哲を外して堀田賢慎と4年連続で1位の抽選を2度外した。
2020年も佐藤輝明を外して平内龍太、2021年も隅田知一郎を外して翁田大勢となっており、2011年に松本竜也を引き当ててから2022年に浅野を獲得するまで、1位の抽選は11連敗していた。
今年は競合確実の目玉、関西大・金丸夢斗を指名する可能性もある。3年連続で「大当たり」となるか注目される。
1位指名選手が伸び悩んでいるソフトバンク
パ・リーグ王者のソフトバンクも4勝12敗の勝率.250で8位タイ。2017年は清宮幸太郎、安田尚憲、馬場皐輔と3度外して吉住晴斗を指名した。
最近は競合を避けているのか、2021年はイヒネイツア、2022年は風間球打と高校生の逸材を指名したが、2023年は武内夏暉を外し、外れ1位で前田悠伍を引き当てている。
育成指名から一流プレーヤーに成長する選手の多いソフトバンクだが、1位で獲得した選手は意外に伸び悩む例も少なくない。2008年以降で今も主力として活躍しているのは今宮健太、武田翔太、東浜巨、松本裕樹くらいか。ここ3年で獲得した1位指名選手もそろそろ一軍で活躍する姿を見たいところだ。
今年は「ポスト今宮健太」として明治大・宗山塁を指名する可能性もあるが、どういう戦略で臨むか。宗山は競合必至だけに悩ましいところだろう。
競合を避けて一本釣り多いオリックス
最下位は1勝10敗で勝率.091のオリックス。2010年は大石達也、伊志嶺翔大、山田哲人を外して後藤駿太を指名。2011年は高橋周平を外して安達了一、2012年は藤浪晋太郎、松永昂大を外して松葉貴大を獲得した。
2018年から3年間も抽選を外したが、小園海斗の外れ1位・太田椋、2019年は石川昂弥、河野竜生を外して宮城大弥、2020年は佐藤輝明の外れ1位・山下舜平大と、結果的に外れ1位や外れ外れ1位が活躍している。
そして最近は2021年の椋木蓮、2022年の曽谷龍平、2023年の横山聖哉を一本釣り。地元には球団OBでもある山口高志氏が指導する関西大の金丸夢斗がいるが、今年も競合を避けるかどうか。最後の最後まで情報戦が続くだろう。
過去最多の重複は1989年の新日鉄堺・野茂英雄と1990年の亜細亜大・小池秀郎の8球団。野手では1995年のPL学園・福留孝介、2017年の早稲田実・清宮幸太郎の7球団が最多となっている。
もちろん、プロに入れば指名順位など関係なく横一線の競争だ。ただ、将来を有望視される逸材がどの球団に指名されるのか、抽選がドラフトのドラマ性を高めていることも確か。今年も野球ファンが固唾を吞む、悲喜こもごものドラマはもうすぐ幕を開ける。
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記事:SPAIA編集部