日本海にすむ小さな魚<サクラダンゴウオ> 天使のリングをもつその姿はまさに海の天使?
「海の天使」と聞いて、どんな生きものを思い浮かべますか?
多くの人がクリオネを思い浮かべると思います。しかし、ダンゴウオという小さな魚を思い浮かべる人もいるでしょう。
そのダンゴウオのなかでも、日本海で見ることができる「サクラダンゴウオ」は8年前に新種登録されました。
丸くてかわいい「ダンゴウオ」
ダンゴウオとはその名の通り団子のように丸い形をしたとても小さな魚です。
あまりに小さいため食用とはならず、飼育が難しいことから観賞魚としても流通が少なく、知名度が低い魚と言えるかもしれません。
水族館でも展示している場所は比較的に少ないため、ダンゴウオという名前を聞いたことがないという人もいるのではないでしょうか。
ダンゴウオは冷たい海にすむ、とても小さい魚。先述の理由から観察できる機会は少ないのですが、日本近海の海にも生息するためダイバーには知名度も高く、その可愛さからダンゴウオ目当てに潜る人も少なくありません。
腹部には吸盤があり、海藻に張り付いて潮などで流されないようにしています。名前の通り丸く、よく観察するとおとぼけ顔も可愛い……。そんな「海の天使」がダンゴウオです。
実は新しい魚種<サクラダンゴウオ>
サクラダンゴウオは今から8年前に新種登録された魚で、それまではダンゴウオと同種と思われていました。
眼窩間および眼窩下にある孔(あな)の有無という、肉眼ではほぼわからないような小さな違いがあります。この違いは見た目で見分けることは難しいでしょう。
日本海側にはサクラダンゴウオ、太平洋側にはダンゴウオが生息しています。私は普段日本海側ばかり潜っているため、太平洋側に潜った際はぜひダンゴウオを観察してみたいものです。
そんなサクラダンゴウオですが、実は幼魚の時にだけ「天使のリング」と呼ばれる模様があります。
頭部の白い輪っかのような模様が、まるで天使の輪っかに見えることから「天使のリング」と呼ばれています。
この模様は成魚になると消えてしまうため、幼魚の時にしか観察できません。
成魚のサクラダンゴウオ
成魚になると単色になります。
色はさまざまで、真っ赤なサクラダンゴウオもいれば、名前のようにピンクがかった個体、オレンジや黄色の個体と色とりどり。体色は、育った環境やエサなどによって変化します。
「いろんな色のサクラダンゴウオを観察してみたい!」と強く思わせてくれます。
そして、サクラダンゴウオは成魚になっても1センチ程度で幼魚は5ミリ程度と、とても小さいです。
腹部の吸盤で海藻に張り付いているのですが、海藻と見た目の色が似ているため見つけることが難しい魚でもあります。
私もこれまでに何度も潜っていますが、まったく見つけられず、ガイドさんが見つけてくれます。
見つけるまでの難易度はとても高いのですが、動きが少ない魚なので、一度発見すれば観察や撮影はとても容易。そして何より可愛いので、とても楽しい撮影になること間違いなし!
ぜひ皆さんも「天使のリング」がついたサクラダンゴウオを観察してみてください。
(サカナトライター:ポンた)