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『ジョン・ウィック』第1作、犬が死ぬ展開はキアヌ・リーブスが守り抜いていた ─ 「犬生存ラストも撮れと言われたが、キアヌが抵抗した」

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キアヌ・リーブス主演、大人気アクションシリーズ『ジョン・ウィック』は、主人公の亡き妻が残していった愛犬・デイジーの死というショッキングな展開から幕を開ける。のちにSNSで「犬が無事な映画、無事じゃない映画」というフレーズが生まれるきっかけのひとつとなった本作だが、“犬を殺す”というアイデアをキアヌも強く支持していたという。

第1作『ジョン・ウィック』(2014)から10周年を迎え、監督のチャド・スタエルスキ&デヴィッド・リーチが米のインタビューに応じた。リーチはように、「犬を殺すな」と周囲から忠告を受けたことを認めている。

「“不吉だ、縁起が悪い”と言われました。やめておけ、誰も見たくない、観客を遠ざけることになると。けれども僕としては、“至近距離で人を殺すのはいいのか?”と。たしかに犬を殺すのは問題だけど、人間を残酷にぶち殺していくのは受け入れてもらえるのか、という話ですよね。僕らはジャンル映画を撮っているわけで、根っからのジャンル映画ファンとしては、容赦のない瞬間こそ記憶に残るものだとわかっているんです。」

スタエルスキも、リーチとは「このシーンをどのように撮るかという考え方が一致していた」という。「ジョンは頭を強く殴られるので、夢のようなシーンにしようと。犬が死ぬのはカメラの外側で、見えるのは血の跡だけ。子犬が彼のところに寄ってきているように見せよう、と」。

撮影当日、犬のパペットを相手に演じたキアヌの様子をスタエルスキはこう振り返る。「(キアヌは)泣いていて、ボロボロで、パジャマ姿もひどい。モニターを見ながら、誰もが“最悪のアイデアだ、この新人監督たちはもう終わりだな”と思ったでしょうね」。

実際、その後の数週間にわたり、スタジオからは代替案の打診があったという。「犬は本当は死んでいませんでした、というエンディングを撮るようにと提案されたんです。しかし、そこでキアヌが抵抗してくれました」。その後、プロデューサーのベイジル・イワニクも投資家の説得に動いたことで、ようやく当初のビジョンのまま進行する承認を得られたという。

50 Cent by Top Streetwear https://commons.wikimedia.org/wiki/File:50_Cent_at_Globen_Stockholm4.jpg

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そもそも、キアヌが本来のビジョンを信頼していたことには深い理由がある。3人は『マトリックス』(1999)でスタエルスキ&リーチがスタントを担当して以来の関係で、『ジョン・ウィック』が実現したきっかけは、原型となった脚本をキアヌがスタエルスキに渡したことだったのだ。「とても短い脚本で、4人くらいしか死なない、とてもリアルでシリアスな内容だった」というそのシナリオに、スタエルスキとリーチが、物語やアクション、音楽などのアイデアを詰め込み、キアヌにプレゼンしたことから企画が動き出したのである。

それでも、スタエルスキ&リーチにとって本作の撮影は戦いの日々だったという。愛犬が犠牲になるという展開だけでなく、キアヌ演じるジョン・ウィックが、また予算の都合によりアクションを長回しで撮影することまで、周囲のスタッフやスタジオ幹部とは「戦い続けなければならなかった」というのだ。

結果として、2人がビジョンを守り抜いた『ジョン・ウィック』は現代アクション映画人気シリーズとなった。その背景に、長年の活動で培われたキアヌの感性と嗅覚があったこともまた確かだろう。

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