ダース・モール、デザイナーが見た「窓に張り付いた死体の顔」を具現化してみたところ怖すぎてジョージ・ルーカスが悲鳴
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で初登場、鬼のような風貌から達人の剣術を繰り出すダース・モールは、今も時に人気の高いヴィランだ。
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稲妻が走るような赤と黒の皮膚に、突き出したいくつものツノ。ダソミア出身のダース・モールの悪魔的なルックスは、一度見れば忘れられないインパクトを放っている。
公開から25年を迎え、ダース・モールのデザインを手がけたイアン・マッケイグがスター・ウォーズの記念インタビューに登場。ダース・モール誕生の裏の興味深いエピソードを披露している。
マッケイグ曰く、ダース・モールのデザインはほとんど何の情報もないところから始まったようだ。創造主ジョージ・ルーカスからは、「ダース・モールっていうのが新しいシス卿だから」とだけ伝えられており、「モールが男なのか女なのか、エイリアンなのか、何もわからなかった」と振り返っている。
何の指示もないような状態だったが、「もしかしたら、彼は僕のアートを気に入ってくれていて、僕が考えるダース・モールを見たがっているのかも」と考たマッケイグは、自身の想像を頼りに、まだ誰も見たことのないシス卿のデザインを考案していったという。
「ダース・ベイダーが当時知っている唯一のシス卿でした。だから、彼もきっとヘルメットを被っているだろうと想像したんです」とマッケイグ。ダース・ベイダーのものを超えるようなヘルメットを何ヶ月も考えたが、「全くダメでした」という。そこで、マスクではなく素顔のキャラクターに方向転換。その顔には回路が埋め込まれているという設定で試行錯誤し、やがてその回路をタトゥーデザインで表現してみるようになったという。そこには、「ウォッチメン」ロールシャッハのマスクデザインが参考にされたそうだ。
その頃になってようやくジョージ・ルーカスから脚本の初稿が届けられ、ダース・モールは「最悪の悪夢のような」風貌をしていると表現されていたという。そこでマッケイグは、自分がよく見る悪夢の感覚をデザインに落とし込んだそうだ。その感覚というのが、心霊体験でもしたのではないかというほどに恐ろしい。
「スタジオで夜遅くまで仕事をしていると、何かに見られているような不気味な感覚に襲われるんです。スタジオの窓に真っ白な死人の顔が張り付いていて、ギラギラした目でこっちを見ているんですよ。鋭い金属の歯を覗かせてニッタリ笑っていて、雨粒で滲んでいるんです。」
マッケイグが見たのは、過労による幻影か、それとも本当の霊か何かだったのか?その真相は不明だが、とにかく彼はその顔を絵に起こした。こういった霊的な感覚にもアクセスして表現できることが、プロデザイナーのすごいところだ。
「それをフォルダーに入れて、ミーティングでジョージに渡したんです。彼はそれを一目見て、悲鳴をあげて、フォルダーを閉じてこう言いました。“二番目に最悪な悪夢で頼むよ”ってね。」
どうやら、ダース・モールの最初のデザインはあまりにも恐怖だったらしい。そこで再びの試行錯誤を経て、現在のデザインに辿り着いたということだ。マッケイグの絵が怖すぎて悲鳴をあげたというルーカスと仕事をしたことについて、彼はこう振り返っている。「彼にはたくさんの才能がありますが、その一つは、50種類のビジュアルを見て、選択をし、物を動かし、この頭を取ってあっちの身体に入れ替えると突然スター・ウォーズになる、というスキルです。私たちは、彼を信頼すること、そして自分たち自身も信頼することを学びました」。
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