淡路島洲本市の『名号石』 弘法大師ゆかりの紅葉の名所は隠れ里的な佇まいが魅力 洲本市
淡路島に数ある紅葉スポットの中で、洲本市宇山にある『名号石』(みょうごいし)は古くから地元の人に愛されて来たモミジの隠れ里的名所です。「今年の紅葉の具合はいかに?」と記者は11月16日、晴れた秋空のもと現地を目指しました。
『名号石』は、宇山地区の山中を流れる陀仏川の源流近くにある史跡。ここに立つお堂に祀られる本尊の名号石に刻まれた「南無阿弥陀仏」等の文字は、弘法大師の手によるものと伝えられています。
こちらが名号石へのスタート地点。写真右手には「国登録有形文化材 春陽荘」があります。この横にある川沿いの道を、真っすぐに登って行きます。
この道路は基本的に細い山道で自動車同士の対向が難しいため、徒歩で向かうのがおススメです。舗装された緩やかな坂道が続くので、緑濃い景色の中、気持良い山歩きが楽しめます。この道は、地域の住民や職場で働く人の散歩コースとしても親しまれています。
現地までは道に迷わないよう、写真のような看板が数か所に立っています。
現在、洲本市では国道28号線バイパス工事が進められていて、山中には宇山地区から炬口地区に抜ける『潮トンネル』が建設中。深い自然が続く中、いきなり現れるトンネルの光景に驚く記者。
斜め後ろを振り返ると、やはり建設中のバイパス道路の風景。子どもの頃からこの場所を知る記者は変わりゆく景色に戸惑いを覚えますが、道路が完成すれば国道28号線の渋滞が大幅に緩和されて、多くの人が恩恵を受けることでしょう。
「約100m」地点にある小さな橋を渡ると、『名号石』はすぐそこ。周辺には大小様々なモミジの木が、山道を包むように枝を伸ばしています。ここは「あわじ花へんろ」第59番「花の札所」にも指定されています。
うーん、まだ少し紅葉には早かった様子。どの木の葉っぱもまだ濃い緑色です。後で地元の人に聞いたところ、見ごろは11月末頃から12月初めになるのではないかとのことでした。
もう一度小さな橋を渡って、お堂に到着です。この中にご本尊の『名号石』が祀られていますが、大切に扉の中に保管されていて、実物をハッキリと見ることはできません。外側からそっと手を合わせてお堂を離れます。
お堂の横には、地元の住民会等により整備された休憩場所があります。モミジの木々がつくる大きな木陰の中、石のベンチに座り、ペットボトルのお茶を飲みつつ渓流の音に耳を傾けると、何とも穏やかな気分になりました。
淡路島ではよく知られる紅葉の名所ですが、人が殺到するということはありません。豊かな自然と心地良い静寂、そして美しい紅葉の景色が堪能できるステキな場所です。
帰りの道すがら、丁寧に手入れされた小さなモミジの木を何本も見つけました。地元の人たちにより大切に繋いでいく小さな命は、何十年も後にすばらしい景色を見せてくれるのでしょう。
「紅葉が盛りの頃にまた来るね」と、記者は小さなモミジの木に告げて山を下りました。
場所
名号石
(兵庫県洲本市宇山)
時間
見学自由
問い合わせ
洲本市企画情報部企画課
Tel 0799-22-3321(代)