『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』から、リアルな【社会の縮図】を見た!? 夢に溢れ華やかな【地上】と、一度落ちたら抜け出せない絶望の【地下】 映画から読み取れる「光と闇」とは……【考察コラム/ネタバレあり】
劇場版長編第3弾となる『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』が、3月20日(木・祝)より新宿バルト9ほか全国にて公開中。
トロル原作の「おしりたんてい」は、アプリをはじめ、絵本や読み物、アニメ化や映画化もされている探偵シリーズ。書籍のシリーズ累計発行部数は全世界3000万部を超え、現在放送中のTVアニメは子どもから大人まで幅広い世代に楽しまれている。
2022年に公開された劇場版長編作品『映画おしりたんてい シリアーティ』を皮切りに、2024年の『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』、そして今回、満を持して公開する第3弾『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』では、初めて原作となる『おしりたんてい たいけつ! かいとうアカデミー スターサイド』 『おしりたんてい たいけつ! かいとうアカデミー ムーンサイド』の読物2冊刊行と同時展開した。アニメオリジナルの要素も加わり、2倍楽しめる内容となっている。
今回の『映画おしりたんてい』から、リアルな【社会の縮図】を見た!? 夢に溢れ華やかな【地上】と、一度落ちたら抜け出せない絶望の【地下】 映画から読み取れる「光と闇」とは……?
【写真】『映画おしりたんてい』から、リアルな【社会の縮図】を見た!?【考察コラム】
『映画おしりたんてい』から、リアルな【社会の縮図】を見た!?
まず初めに、本作のあらすじ(※以下、ネタバレ含む)から追ってみよう。「アイドルコンテストから失踪したコーラちゃん(声:本名陽子)を探してほしい」と、コアラちゃん(声:小橋里美)から依頼を受けたおしりたんてい(声:三瓶由布子)。コンテスト会場のスターダス島は、国際的犯罪組織かいとうアカデミーの本部があり、組織のボスであるかいとうG(声:大塚芳忠)が企む【ダークエイジ(DARK AGE)計画】が進められている場所でもあった。おしりたんていは、ワンコロけいさつのマルチーズしょちょう(声:渡辺いっけい)から捜査協力の依頼を受けて、なんとアイドルとしてスターダス島に潜入することに!さらに、おしりたんていの宿命のライバル、かいとうU(声:櫻井孝宏)もまた、かいとうGから物語の鍵となる【月光石】を取り戻すために、スターダス島へ乗り込む・・・
本作の舞台となるのは、星の形をしたリゾート地【スターダス島】。ここでは、島の権力者である往年の大スター、スターまぶし(声:小山力也)が主催するアイドルコンテストが大々的に開催され、飲食店が立ち並ぶ繁華街は、観光客たちで活気に満ち溢れている。ブラウン(声:齋藤彩夏)がおしりたんていのために買った島名物のスタースイートポテトを誤って地面に落としてしまうシーンがある。もったいないと思いながらも、致し方なくゴミ箱に捨てると、そのスイートポテトは、ゴミ箱の底から繋がる【地下】へと落ちていく。実は、その先に待ち受けるのは、落ちたら二度と脱出できないと言われる世界。【地上】の華やかな街並みとは対照的に、不衛生で雑然とした景色が広がっているのだ。
時を同じくして、かいとうUは、【月光石】を取り戻すために【スターダス島】に潜入するが、かいとうG率いるアカデミーの面々の攻撃により、【地下】へ落とされてしまう。そこで自身と同じくアカデミー出身の旧友かいとうK(声:志村知幸)と出会い、この【地下】の現実を知ることとなる。アイドルコンテストに落ちたアイドルの卵たちが、この地下でかいとうアカデミーのために強制労働をさせられて、日々ロボットたちに監視されているというのだ。そしてかいとうKはかいとうUを「カフェドゴミ」という店へ連れていく。そこではゴミとゴミの物々交換で食べ物が提供されており、元アイドル志望者たちが集っている。華やかなステージで活躍するスターがいる一方で、ゴミだらけの地下でしたたかに生きる人々の生活が垣間見えるシーンだ。
「おしりたんてい」は動物の姿をしたキャラクターが多いが、彼らは妙に人間くさい。勝者と敗者、富裕層と貧困層、地上と地下で表現された格差の対立構造は、まさに今の社会の縮図、メタファーのようにも見えてくる。しかしもちろん、物語はここで終わらない。出口のない地下の社会から立ち上がろうとする抵抗勢力が現れ、物語は大きく転換する。彼らも元アイドルたちだが瞳の輝きを失わずに着々と力を付けてきた猛者たちで、その中には某有名なキャラクターを彷彿とさせる二人組が…これ以上は劇場で御覧いただきたい。
『映画おしりたんてい』には、「おしりたんてい」や「かいとうU」たちの活躍や謎解きだけでは収まらない魅力が詰まっている。子供にとどまらず、大人でもふと考えてしまうような、社会的で、ときに深遠なテーマやメッセージも読み取れる作品なのだ。