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【糸島・井原】巨大銅鏡やアクセサリー…必見の国宝が目白押し!「伊都国歴史博物館」

meets糸島

弥生時代の糸島は先進都市でした。3世紀の中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわしんでん)」には「伊都国(いとこく)」(現在の糸島市)が登場します。

中国を出て朝鮮半島から海を渡り対馬国、一支国(壱岐)を経て、現在の佐賀県唐津市の末盧国(まつら、松浦)に上陸。伊都国を通って奴国(なこく、現在の福岡市)に至る交易や外交の重要ルート上にあったのです。その先には、あの邪馬台国がありました。

このため糸島市周辺では、貴重な遺跡や王墓、古墳が多数見つかり、国宝となった銅鏡や管玉(くだたま)などの遺物もたくさん出土しています。

そんな見応え十分の史料を展示しているのが糸島市井原の「伊都国歴史博物館(いとこくれきしはくぶつかん)」です。歴史ロマンを満喫しに出かけてみませんか?

「魏志倭人伝」にも出てくる弥生時代の先進都市「伊都国」!王墓などから出土した貴重な国宝を多数展示している「伊都国(いとこく)歴史博物館」

伊都国歴史博物館への道のり

伊都国歴史博物館へは、福岡市中心部方面から車で向かう場合、国道202号バイパスの飯氏(いいじ)信号を左折します。「おさかな天国」さんが左手に見える交差点です。

3.5キロほど進むと、福丸橋という橋を渡ったところに、博物館への曲がり角を示す看板があります。右折しましょう。

500メートルほど行って下の写真のところで左折します。

趣のある通りを過ぎて、右側から博物館を回り込むように進みます。

立派な伊都国歴史博物館に着きました。

企画展を見学する

学芸員の荻原めぐみさんが博物館を案内してくれます。ありがとうございます。

まず、1階の企画展示室を見学しました。2024年9月16日までは「いとしま歴史絵巻」という企画展が開かれています。糸島市内の16小学校区ごとに、地元で出土した文化財などを展示しています。

いろんな遺物が並んでいます。これは可也校区の「一の宮遺跡」の出土品です。右上の楽浪土器は、朝鮮半島が由来。弥生時代にも海外と交流していたことが分かりますね。

東風(はるかぜ)小学校の地中からは「潤地頭給(うるうじとうきゅう)遺跡」が見つかったそうです。

管玉(くだたま)のようなアクセサリーを作る玉作りの集落だったとみられます。

荻原さんは「碧玉(へきぎょく)や水晶の原石、作りかけの製品が見つかりました。ここで製作していたことが分かります」と説明してくれました。

東風校区からは、ミニチュアサイズの小銅鐸(しょうどうたく)や、朝鮮半島南部にルーツがある三韓(さんかん)土器も見つかっています。

企画展は季節ごとに趣向を凝らして開かれています。確認して見に行ってみてくださいね。

3つの王墓についての常設展示室「伊都国の世界」

続いて2階に移動しました。「常設展示室2」は「伊都国の世界」と銘打たれています。何とも神秘的な空間です。

それもそのはず。3つの伊都国王墓の出土品を展示している部屋なのです。魏志倭人伝は、伊都国について「千余戸ありて世王あり」と記しています。人家が1000軒余りあって、代々王が治めていたという意味。それを裏付けるように複数の王墓が存在していたのです。

1つ目は1番古い「三雲南小路(みくもみなみしょうじ)王墓」です。

地位の高い人物を葬ったとみられる甕棺(かめかん)が2つ埋まっていたそうです。

説明書きも見てください。

2つ目の「井原鑓溝(いわらやりみぞ)王墓」は江戸時代に見つかったそうですが、今はどこにあったのかが分からなくなっているとのこと。

当時の銅鏡の模写図や出土状況の記録を参考に、王墓を探す調査を続けています。周辺の遺跡からは銅鏡やガラス小玉が見つかっています。

国宝が目白押し、圧巻の平原王墓

3つ目が、これまでの王墓より時代が後の「平原王墓」です。平原遺跡から五つの墳丘墓が見つかり、もっとも規模が大きく副葬品も豪華な「1号墓」が王墓と推定されています。

下の写真は1号墓の復元模型です。

平原王墓からは、内行花文鏡(ないこうかもんきょう)や方格規矩四神鏡(ほうかくきくししんきょう)など40枚もの銅鏡が出土しました。まとめて国宝に指定されています。

下の写真は内行花文鏡です。直径46.5センチと超大型です。

銅鏡は埋葬時、意図的に割られていたと考えられています。このため大部分が欠けている鏡もあるのです。「その中でも、下の10号鏡は、よく残っています」と荻原さん。

下は、方格規矩四神鏡。複雑な模様をしていますね。

銅鏡の説明書きもご覧ください。

すごいのがアクセサリー類。全部、国宝です。

下は瑪瑙管玉(めのうくだたま)。瑪瑙とは石英の微細な結晶の集合体です。

こちらはガラス勾玉(まがたま)。深みのある青色がきれいです。

次にガラス耳璫(じとう)。暗くて見にくいですが、女性用のピアスだそうです。中国の漢の時代には身分の高い女性が身に付けていたとのこと。このため平原王墓の被葬者は女性と考えられています。邪馬台国の卑弥呼のような女王だったのでしょうか。

ガラス小玉。紺色で美しいです。

ガラス連玉(れんだま)。

アクセサリーの詳しい内容は下の説明書きをご覧ください。

ぜひ、ご自分の目で実物を観察してほしいと思います。2000年の時空を超えて、当時の人たちと交流しているような不思議な気持ちになりますよ。

他にも見どころいろいろ

糸島市の歴史の奥深さがだいぶ分かりましたね。ほかにも面白い展示がありますので紹介します。

弥生時代の木製の鎧(よろい)だそうです。腐らずによく残っていたものですね。2024年10月14日まで特別公開されています。

説明書きをご覧ください。製作途中だったようです。

羽根のような装飾、「倭国(わこく)大乱」の前夜といった歴史ファンには興味深い言葉も見えます。

材料は柿の木だったそうです。丈夫だったのでしょうか? 現代人には知るよしもありません。

かわいい模様の土器もありました。「分かりますか?」と荻原さんに聞かれました。

拡大します。クジラの絵と考えられています。

詳しくは下のパネルを見てください。捕鯨の様子を描いたのでしょうか。

いかがでしたか? 私は、あらためて伊都国歴史博物館を訪れて、ゆっくりと展示物を見ながら勉強したいと思いました。一度では見きれませんでしたので。

今回の経験を生かして、糸島市内の遺跡や古墳を訪れて、記事で紹介したいと考えています。

INFORMATION

店名:

糸島市立伊都国(いとこく)歴史博物館

住所:

糸島市井原916

営業時間:

9:00〜17:00
※入館は16:30まで

月曜日
※月曜が祝日の場合は、その翌平日がお休み

Web:

https://www.city.itoshima.lg.jp/m043/010/

一人当たりの予算:

一般220円、高校生110円、小中学生と65歳以上は無料

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

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