【菊池郡大津町】森の中に謎の塔を発見!そこには恋人を亡くした悲恋の美女にまつわる哀しいお話が眠っていた~岩坂経塔~
大津町の
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このような物を見つけました。「岩坂経塔入口」。ここからは道が細く車では行けませんので、邪魔にならない所に車を置き、一体なにがあるのだろうとワクワクしながら、森の中まで歩いてみました。
場所は菊池郡大津町岩坂
周りは畑、民家もない通りです。
あいにくの雨でしたが、テンションの低い空に覆われるのも、たまには良いものです。
かなり森の中へと入って行きますが、よく人が通るのでしょうか。とても歩きやすくなっております。
曲がりくねった道をどんどん歩きます。
突然、パッと拓けた場所が現れました。
何かある。
なんかありました!
岩坂経塔とは一体なにか
大津教育委員会の説明がありました。 そもそも経塔というのは経文などを納めて供養する塔の事です。なので、現代で言う供養塔であり、不特定多数の方の遺骨や犠牲者を供養するために建てられる石造りの塔と言っていいかと思います。 では「岩坂経塔」は、一体なんの供養塔なのでしょうか?
別名 虎御前(とらごぜん)の碑
こちらの塔の別名は「虎御前の碑」(とらごぜんのひ)とも呼ばれているそう。虎御前とは、日本三大仇討ち、現在の静岡県富士宮市で起こった曾我の仇討ちの曾我兄弟の兄、曾我十郎祐成(そがじゅうろうすけなり)の妾で鎌倉時代初期の遊女であります。 2人の恋は哀しいものでありました。 父の仇を打つために生涯妻は迎えないと決めていた曾我十郎祐成。しかし美しい遊女であった虎御前と出会ってすぐに恋に落ちました。 曾我十郎祐成が20歳。虎御前は17歳だったと言います。 仇討ちの際に曾我十郎祐成は命を落とし、虎御前と曾我十郎祐成は永遠の別れになってしまいました。
(経文でしょうか。しっかりと残っています)
曾我兄弟の仇討ち後、虎御前は仇討ちに関係があったのではないかと訊門されますが、無罪が認められました。時は建久4年6月1日の事。
(あちこちが壊れているが、大切にされているよう)
虎御前はその後、箱根で出家をしました。その時の年齢はまだ19歳でした。
そしてその虎御前は生涯、曾我兄弟の事を忘れる事はなく、供養の為に全国を行脚し、塔を建てたと伝えられております。 それがこちらの「岩坂経塔」という事になるのかもしれません。 しかし、一人の女性が全国を周り塔を建てるというのは、現実的ではありませんよね。
もう一つの伝説
塔の横には散らばった岩が沢山ありました。 これは、「この塔があまりにも巨大な為に、朝日が昇ると有明海に影を落とすので漁民から破壊された」との伝説があるそうです。
有明海に影を落とす!?
一番海に近い所で設定してもこの場所から有明海までは30キロ以上あります。
「この塔がそんなにでかかったなんて事がある!?」
と驚きを隠せませんが、伝説という事なので。
しかし、めっためったぎったんぎったんに破壊された後がそのままになっており、何かがあったんだろうなと不思議な気持ちになります。
虎御前が語り継いだ曾我物語
こちらの塔には仁王像が彫られており、それがとても興味深いです。
どれもさまざまな表情で、鎌倉時代の物とは思えない程しっかりと残っております。
虎御前がこの塔を建てたという真偽は不明ですが、全国あちらこちらで曾我兄弟の話をして回ったという事で、ここでもそのような事があったのかもしれませんね。 また遊女の間でも曾我物語は語り継がれていたようです。
虎が雨(とらがあめ)という夏の俳句の季語があるそうです。 それは旧暦5月28日に降る雨の事で、その日は曾我兄弟の仇討ち決行日であり、虎御前の最愛の人、曾我十郎祐成の命日でもあります。その日も大雨だったそう。 それから、「5月28日は、雨が降る」と言い伝えがあり、それは虎御前の哀しみが雨になって降りそそいでいると言われているそうです。
この日は6月2日でしたが、しとしとと雨が降っており、なんとも不思議な縁を感じずにはいれませんでした。
虎御前が全国で曾我物語を語り継いだ後、虎御前の前に愛する曾我十郎祐成の幽霊が現れたそうです。 喜んだ虎御前が最愛の曾我十郎祐成に抱き着こうとした所、するりとその身体をすり抜けてしまい、虎御前は倒れ、それが元で亡くなってしまったという言い伝えもあるそうです。63年の生涯だったようです。
まとめ
一部物語化されているとは思いますが、「歴史」と「言い伝え」を調べてからこの塔を見ると、今も昔も変わら愛憎劇、恋愛物語がある事にじーんと痺れます。 マイナーすぎる旅でしたが、傘もささずに雨に濡れながら、絶世の美女だった虎御前になった気持ちで帰路に着きました。 ※地域の方が大切にされている場所ですので、来た時よりも美しく、をよろしくお願い致します。