Yahoo! JAPAN

童謡に出てくる<ケラ>ってどんな虫? 泳ぐ・潜る・飛ぶ!スーパー昆虫

サカナト

田んぼで見つけたケラ(撮影:草間あやめ)

ある日、息子が学校で覚えてきた歌「手のひらを太陽に」を口ずさんでいました。

「ミミズだって、オケラだって、アメンボだって〜」という、あの有名なフレーズを聞いて、私はふと思いました。

今の子どもたちは、実際に「ケラ」を見たことがあるのだろうか?

ケラは、ミミズやアメンボのように身近で見かけることは少ないですが、実はとても多才で、興味深い特徴を持った水辺の昆虫です。

ケラとは? 出会える時期はいつ?

ケラはバッタ目・ケラ科に分類される昆虫で、体長3センチ程のコオロギに近い仲間です。

英語では「Mole cricket(モグラコオロギ)」と呼ばれており、モグラのように主に土の中で暮らしています。そのため、お目にかかることが比較的に少ない昆虫です。

ケラ(提供:PhotoAC)

コオロギのように羽をこすり合わせ、地上に聞こえるくらいの音で「ジージー」と鳴きます。そんなケラに出会いやすいのは春から初夏にかけて、田植え前の田んぼを「代かき(しろかき)」する時期です。

田んぼに水が入り、土がかき混ぜられると、土の中に潜んでいたケラが水面に浮かび上がってくるのです。

ケラの驚くべき運動能力

ケラは、歩く・潜る・泳ぐ・飛ぶのすべてができる、水陸空対応のスーパー昆虫。その万能な運動能力の秘密は、ケラの体を観察してみるとよくわかります。

よく見ると体毛がしっかり生えている(提供:PhotoAC)

ケラの体は水をはじく細かい体毛で覆われており、そのおかげで水に浮くことができます。

さらに、力強い前足を使って水をかきながら、器用に泳ぐことができるのです。

土に潜る姿はまるでモグラ

ケラの前脚は熊手のような形をしており、土を掘るのに最適です。

熊手のような前脚(提供:PhotoAC)

ケラを土の上に置くと、瞬時に前脚を動かし始め、地面に潜ります。手のひらにも乗せてみると、指の間に前足を差し込んで、掘ろうとする姿が見られますよ。

土を器用に掘り進む姿は、まるで“小さなモグラ”を見ているかのようです。

その動きは見ていてとても面白く、子どもも大人も夢中になって観察してしまいます。

土を掘るケラ(撮影:草間あやめ)

さらに驚くことに、ケラは空を飛ぶこともできます。夜になると、背中の羽を使って飛び立ち、パートナーを探しに出かけます。

なんとも多才な生き物です。

近年、数が減少しているケラ

かつては田んぼや畑のあちこちで見られたケラですが、近年は田畑や湿地が減少し、その姿を見かけることが少なくなってきました。そのため、今の小学生たちは「歌では知ってるけど、実物を見たことがない」という子がほとんどでしょう。

それだけに、見つけたときの喜びはひとしおです。今日もどこかでケラは土の中を掘り進み、泳ぎ、飛び、力強く生きています。

そんな姿を想像すると、思わず「ミミズだって、オケラだって……♪」と、あの歌を口ずさみたくなってきます。

(サカナトライター:草間あやめ)

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. AI都市宣言のまち・北九州に新拠点誕生! Vision Baseが『北九州BASE』を設立――未来を創る“AI共創の街”へ

    行こう住もう
  2. <忙殺されるあなたへ>幸せを感じる力もないときに読む話。日常の小さな幸せってなんですか?

    ママスタセレクト
  3. 山口エリア【45年ぶりの新型車】JR西日本、黒と金で”維新の陽光”を表現「Kizashi(きざし)」を導入!2026年度に山陽本線でデビュー

    鉄道チャンネル
  4. 1作目への敬意と、テクノロジーにどう向き合うか人間側の対比が描かれる『トロン:アレス』

    SASARU
  5. 東和棚田のんびりRun – 走らなくても楽しめました!

    まきまき花巻
  6. 【横浜市都筑区】こどものまち「ミニヨコハマシティ」 ボッシュホールで11月2、3日 6年ぶり都筑区で開催

    タウンニュース
  7. 【横浜市保土ケ谷区】県商工高校 ポン酢で大賞目指す 11月1日、全国高校フードグランプリ本選

    タウンニュース
  8. 【横浜市金沢区】横浜市大生がタチウオのピザで金沢区の魅力発信 11月1、2日の浜大祭で販売

    タウンニュース
  9. 【横浜市青葉区】オンデマンド乗合交通 本格運行に向け実証実験 敬老パス導入や期間拡大

    タウンニュース
  10. 校庭に大きな「150」 児童ら人文字で節目祝う 名張・蔵持小

    伊賀タウン情報YOU