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発達指数が境界域の息子。特別支援学級就学に実母は大反対で…【祖父母の障害受容体験談】

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発達指数が境界域の息子。特別支援学級就学に実母は大反対で…【祖父母の障害受容体験談】

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

週2日保育園のお迎え&預かりをしてくれる両親

現在6歳の息子がいます。実家の両親は、週2日、息子の保育園のお迎え&預かりに協力してくれています。
父は息子と一緒に家庭菜園の収穫をしたり、外遊びをしてくれたりするので、息子は「じいじ大好きっ子」です。
母も、息子が来る日は夕ご飯を用意してくれていましたし、教育熱心なところもあるので、パズルや塗り絵、簡単なドリルなどを息子のために買ってきてくれて、一緒にやってくれています。

息子にとって、優しいじいじは安心して甘えられる存在、そして、勝ち気なばあばは良きライバル(ケンカ友達?)として見ているようで、どちらのことも大好きです。

息子は3歳6ヶ月児健診で、できることとできないことの差があると指摘され、3歳9ヶ月で「新版K式発達検査」を受けたところDQが80で3歳0ヶ月相当、境界域であることが分かりました。

息子を預かってもらっていますので、両親へは息子の発達に関することについてこまめに話していました。発達検査を受けたこと、その結果、療育に通い始めたこと、就学相談を受けること……。

最初は両親とも「〇〇くんはちょっと落ち着きはないけど、あんたの気にしすぎじゃない?」という反応でした。特に母は発達検査の結果が出たあとも、「私たちには○○くんは発達に遅れがあるようには見えないけれど……」と納得がいかない様子。ですが私が読んできた発達に関する本を「私たちも読みたいから貸して」と言って、読んでくれました。

前向きな選択として決めた特別支援学級。でも母は「通常学級がいいのでは?」と反対で

そして就学を控えた今年、私たち夫婦は就学相談に行きました。

息子には偏食が強い、服が濡れることや大きな音を嫌がる、初めての場所が苦手、じっとしているのが苦手、人の話をじっと聞けずに途中で話をさえぎってしまう、会話が一方通行になりがちといった傾向があります。また、人に筋道を立てて物事を説明することや、人が決めたルールや指示を正確に理解して、それに沿って何かをするといったことも苦手です。

息子のこうした面が、小学校で集団授業で受ける際にしんどさとなるのではと感じていた私は、息子の就学先として特別支援学級を視野に入れていました。

私と夫は、息子が学ぶことや人と関わること、学校という場所を好きでいられることが大切だと思っています。そしていつか社会に出たとき、臆せず人に助けを求めることができたり、他者と良好な関係を築けたりするようになってほしいと思い、息子にとってなにがいいか何度も話し合いました。

そして、特別支援学級に進むことに決めたのです。息子にとって最善な選択だと前向きに決めました。ですが、母は「どうして通常学級に行かせないの?」と難色を示し、反対したのです。

「発達障害の本の内容に当てはまらない」と息子の発達障害を受け入れない母

「発達障害の本は読んだけど、すべてが○○くんに当てはまるわけじゃない。発達障害ではないんじゃない?」
「認知面に苦手さがあるって言うけど、あの子は記憶力もいいし、口も達者でしょ」
「○○くんは、癇癪を起こすとか、友達とトラブルになるとか本にあった体験談に出てくるようなことはないよ。協調性があるように見える」
「空気が読めないって聞くけど、○○くんはそんなことないよ」
「境界知能っていうけど、○○くんは理解力があるし、賢い子だと思う」

母は読んだ本にあった発達障害の特性と息子の特性は必ずしも同じではない、特別支援学級ではなく通常学級にしたほうがいい、と頭ごなしに言ってきます。確かに息子はどちらかというとおとなしいほうで、対人トラブルとは無縁。園のお迎えに行っても、お友達と楽しく遊んでいます。また、息子は人の顔色などに敏感なほうで、特に相手がイライラしていると、その空気をすぐ察します。母はそうした息子の姿をよく見ているので、そう言うのでしょう。

母との話し合いは平行線のままでした。
その後も母からはいろいろ言われましたが、なかでも一番こたえたのが、「家系的に発達障害の人はいないし、高齢出産だったのが原因かしらね」でした。発達障害についていろいろと調べた私は、発達障害の原因は私が高齢出産だったからだとは考えていません。
ですが、私は41歳で出産しましたし、フルタイム勤務でストレスフルな職場でした。関連はないと思っていても人から言われると結構傷つくものだなと思いました。

そんな話し合いが続いたのち、ある日母がぼそっと言いました。「まあ、私が『あの子は発達障害だ』と認めたくないからそう思うのかもしれないけど」。

その姿は、かつて私の姿でした。確かに私も息子は発達障害ではないと思いたい時期がありました。でも、やはりなにか違うと感じましたし、息子のためにできることはしなければと思いました。たとえ、今は困りごとがなかったとしても、いつかトラブルが起こることを防ぐため、息子にあった環境で過ごせるようにすることが、なによりも大切だと考えるようになったのです。

母は障害受容の手前。少しずつ分かってもらえたら

今の母は「まあ、あんたたちが決めたことやから反対はしないけど」と言うようになりました。ただ、「○○くんの能力が伸びてきたら、通常学級に戻るつもりやんな?」と完全には認めてくれていない様子です。

母は障害受容の手前で葛藤している状態なのだと思います。息子は、まだ医療機関で診断を受けたことがないので、息子の障害にまだ名前がついていない状態なのも、母にとってはややこしいのかもしれません。

一方父は、息子の発達に関して私に直接何か言ってきたり聞いてきたりすることはありません。
先日私に「○○ちゃんは年齢とともにできることが増えてきたね。がまんもできるようになってきたし」と言ってくれました。
他人と比べてではなく、息子だけを見て、良い変化を見つけて喜んでくれているのがうれしいですし、母のように「息子を発達障害ではないと思いたい!」という圧を出さないでいてくれるのも私にはありがたいです。

完全に理解してもらうのは難しいかもしれませんが、今後の私たち親子の姿を通して、いつか母にも息子に合った環境を選ぶことの大切さを分かっていってもらえたらと思っています。

イラスト/まる
エピソード提供/苗

(監修:鈴木先生より)
息子さんはあなたのお子さんです。いくら祖父母が子育てを手伝ってくれているにしても祖父母の子ではないのです。自分の子どものことは親が決めていいのです。発達障がいは症候名で具体的な病名としてはASDやADHDなどがあります。「発達障がい」という「障がい」だけが祖母の脳裏に刻まれており認めたくない気持ちがあるのかもしれません。

今は発達障がいと言わず「障がい」がなくなり、神経発達症と言われています。「ASDは特性でADHDは慢性疾患で障害ではありません」と日頃私の外来では説明しています。
具体的な診断をかかりつけ医に相談して早めに方向づけを行うのがよいかと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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