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【スクープ】原爆の残り火に込められた祈り 長岡市の寺院で「ピースキャンドル」 語り部が語る命の記憶と未来への希望 (長岡・安善寺)

にいがた経済新聞

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初回掲載日:2025年5月16日(再掲載:2025年5月25日)。

2025年5月15日、長岡市神田町の安善寺で、「平和学習ピースキャンドル~広島原爆の残り火を灯して~」が開催された。広島原爆の「残り火」が分火され、集まった約30人の参加者が一人ひとり手元のキャンドルに火を灯し、静かに平和への祈りを捧げた。

キャンドルに灯された「原爆の残り火」

この火は、福岡県八女市星野村に保管されている「平和の火」。1945年8月、原爆投下直後の広島から星野村出身の山本達夫さんが故郷へ持ち帰ったものである。達夫さんは当初、この火を「恨みの火」「復讐の火」として密かに火鉢で灯し続けていたが、やがて「報復では平和は訪れない」との思いに至り、1968年、火を村へ提供。以来「平和の火」として保存・継承されてきた。

この日の語り部を務めたのは、10年近くピースキャンドルの活動を続けている松岡春和さん。山本達夫さんの息子・山本拓道さんから聞き取った証言をもとに、達夫さんがどのようにこの火を守り続けたのか、その人生を紹介した。

「原爆の残り火」を通して、戦争体験者の想いと命について語る松岡春和さん

「山本さんは、叔父の遺骨代わりに火を持ち帰ったそうです。20年以上もの間、誰にも話さず、自宅の七輪でその火を灯し続けていました」と語った松岡さん。その静かな覚悟と執念に、会場は深い静寂に包まれた。

また、会場となった安善寺の近藤真弘住職(48)は、「最初に火を受け取ったとき、ほんのりとした温もりを感じました。一方で、これは人の命を奪った火でもある。いろいろな思いが交錯しました」と語った。

参加者のひとり、見附市から訪れた60代の女性は、「本当に感動しました。話を聞いているうちに、気づけば涙が流れていました」と目を潤ませた。

一人ひとりのキャンドルに火を灯す松岡さん

催しの後半では、長岡西病院のビハーラ僧であり龍蔵寺の樺澤賢正住職を中心に、6月14・15日に市内で上演予定のミュージカル『HERO~奇跡の僧侶空海と青年の物語~』の説明会も実施された。空海の生き方を通して命の尊さを描く舞台で、現代を生きる若者たちへのメッセージが込められているという。

かつて空襲で焼け野原となった長岡の地でこの日、“かすかな火”に込められた命の記憶が、確かに人々の心を照らした。

(文・写真 湯本 泰隆)

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