Vol.43 番外編:突然の中国FPV旅で見つけた国境を越えるドローンの絆[田路昌也の中国・香港ドローン便り]
今回は、以前に著者と一緒に高松、能登、姫路を訪れた田池さんが、最近経験した「中国・四川省・桂林FPVの旅行」。こちらの旅行記をお届けする
今回のコラムは番外編です。 Vol.34で高松、能登、姫路を一緒に訪れた田池さんをゲストエディターにお迎えし、彼がつい先日経験した「中国・四川省・桂林FPVの旅」について綴っていただきました。
https://www.drone.jp/column/2023101712214074424.html
想像してみてください。
香港の著名ドローンパイロットとネットで知り合い、たった一度のフライトで意気投合。 そして連日のオンラインチャットで心を開き、気づけば一週間の中国奥地への旅に飛び込んでいる――。
これは単なる旅行記というよりは、共通の趣味を持つ者同士だからこそ可能な、驚異的なスピードでの絆の構築と、予想外の冒険の物語です。
標高6000メートル級の四姑娘山をバックに飛ばすFPVドローン、桂林の幻想的な風景を切り取る空撮、そして何より、言葉や文化の壁を軽々と飛び越えていくドローン愛好家たちの交流。 この1週間の旅に詰まった興奮と発見を、田池さんの視点で書いていただきました。 私が感じた、この物語の楽しさと驚きを、皆さんにも共有していただければ幸いです。
―――以下、田池さんの旅行記―――
はじめに:突然の出会いから始まった中国FPV旅
ドローンの世界には、思いもよらない出会いと冒険が待っています。 この旅は、香港のドローンパイロットLamさんとの偶然の出会いから始まりました。YouTubeで相互フォローしていた私たちは、ドリフトカー追い撮りの誘いをきっかけに実際に会うことに。
その日、ドリフトカー走行会は中止になりましたが、代わりに仲間と火鍋を囲み、ドローンへの情熱を語り合いました。
そして突然、「四川省の奥地へ飛ばしに行こう」という話が持ち上がったのです。私の日本のお盆休みと、Lamさんの帰省の機会が重なり、5泊6日の中国FPV旅が実現しました。
Day 1:「高速鉄道で四川省へ」
旅の始まりは、香港西九龍駅から。高速鉄道で8時間半かけて四川省の成都へと向かいました。 車窓から見える景色の変化に、これから始まる冒険への期待が高まります。
Day 2:「標高3900mの絶景との出会い」
成都から四時間半のタクシー移動で四姑娘山へ。 標高3900メートル地点を通過する頃から高山病の兆候が。しかし、四姑娘山双橋溝景勝地区内の民宿(標高3200m)に到着すると、その景色に息を呑みました。
既に午後四時近い時間なので景勝地の入場券・シャトルバス乗車券は翌日使うことにして、この日は徒歩で近場を散策しました。阿来書屋と呼ばれる牛達が点在する牧歌的な草原地は左右に連なる山々に囲まれた場所。 この四姑娘山双橋構景勝地ではドローンの飛行は自由でした。
安全確保のため、最終シャトルバスで観光客が去るのを待ち、誰もいない状態で日暮れまでのんびりと飛行会をしました。
Day 3:「雨に煙る紅杉林を空撮」
この日は朝から雨。しかし、それも又格別の風景を作り出していました。 シャトルバスで45分かけて最奥地の紅杉林へ。目の前には標高5000メートルを超える雪を頂いた山々が聳え立ちます。
雨の合間を縫って、森の中の空き地からドローンを飛ばしました。霧に包まれた山々と渓谷の姿は、まるで水墨画のよう。高山病の頭痛に悩まされながらも、その絶景を楽しみました。
その日は翌日散策予定の四姑娘山長坪溝景勝地そばの宿にチェックイン。 夕暮れ前に周囲を空撮、初日から続く軽度な高山病で瞼が重く眠気が収まらない為、頭痛薬を飲んで早寝しました。
Day 4:「6000m級の山々を背に」
四姑娘山長坪溝景勝地で迎えた朝は、快晴。6000メートル級の四姑娘山の姿がくっきりと浮かび 上がります。 人けのない川原から滝をドローンでクルージング。
夕方、省都の成都へとバスで移動しました。
Day 5:「思いがけない桂林への旅」
当初の予定では珠海でのドローン仲間との合流でしたが、天候不順により計画変更。急遽、桂林行きの高速鉄道チケットを入手し、新たな目的地へ。
Day 6:「桂林の朝焼けを捉えて」
最終日、人の少ない早朝にホテル近くの景勝地で飛行会。 ここ桂林もまた飛行禁止の少ないドローンパラダイスでした。 チェックアウト後、近くで昼食を済ませてから香港への帰途につきました。
おわりに:FPVドローンがつなぐ友情
今回のドローン合宿は、ドローン愛好家として、そして一人の旅人として、かけがえのない経験となりました。人種や言葉の壁を越えて、共通の趣味で深く繋がれることを実感しました。
Lamさんから学んだことは数知れません。しつこいほど入念なプリフライトチェック、編集テクニック、M.2データ管理による時間削減など、プロフェッショナルの技と心構えを間近で見られたことは大きな財産です。
今回の経験で、我々のような海外組はローカルの仲間を増やすことが何よりも重要だと痛感しました。一度つながれば、仲間の輪はどんどん広がり、様々な展開の可能性も出てきます。
2週間前に筆者がYouTubeへアップした動画に付いた「いつか、Crash & Hikeパーティやろう!」というコメントに応じて、こちらから香港FPVドローンコミュニティへ飛び込んで本当に良かったと思います。
ここ2年間の一時帰国時には高松、姫路、広島、能登、等各地のFPVドローン仲間に声をかけ、彼らを訪問して飛行会にお付き合いしてもらい、実に多くのことを学ぶことができました。
飛行会は気の合う仲間とワイワイ楽しみながらいろいろな体験をし、刺激を受け、自分なりの目標設定ができるとても有意義な機会です。 私のようにDJI FPVドローンから、いずれカスタムドローンを飛ばせるようになりたいという想いが強い人は地元のパイロット仲間を探し、飛行会に参加されることを強くお勧めします。
[今回の空撮機材]
(筆者) DJI FPV、DJI Avata、DJI Air 3(静止画撮影)(同行者) カスタムFPV(2.5、3.5、5インチ機)、DJI Mavic 2 Pro
―――以上―――
田池さんの旅行記を読んで、改めてドローン趣味の素晴らしさを実感しました。 単なる機械の操縦を超えて、人と人とを繋ぎ、新たな体験と友情をもたらす――これこそが共通の趣味であるドローンの持つ真の魅力ではないでしょうか。
皆さんも、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
地元のドローン愛好家コミュニティに参加するのも良いでしょう。あるいは、SNSを通じて海外のパイロットと交流を始めるのも面白いですよね、そうした小さな一歩が、いつか思いもよらない冒険へと繋がるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。 また次回もよろしくお願いします。