三菱重工、技術系女性採用の新パンフレット公開 制度や育成支援の実例紹介で理系人材に訴求
三菱重工業(東京都千代田区)は11月11日、技術系職種を志望する女性向けの採用パンフレット「World, Future & MHI Women in Engineering」を公開した。女性採用活動の強化策の一環として発行されたもので、働く女性技術者のインタビューや、キャリア形成支援制度、福利厚生などを紹介している。
パンフレットは新卒採用だけでなく、キャリア採用を検討する層にも向けた内容となっており、同社グループでの働き方や成長の機会について具体的にイメージできる構成となっている。
制度の活用例を社員の声で紹介し、求職者の不安を軽減
パンフレットでは、入社前に配属先や勤務地が確定する仕組みによる安心感や、大学の専攻分野にとらわれない採用方針など、求職者の不安を軽減する情報を紹介している。
福利厚生面では、住宅補助の充実や「休暇はお互いさま」という職場文化、資産形成支援の制度などについて、実際に活用している社員のコメントも掲載されている。
ライフイベントがキャリアの転機に
掲載されたインタビューの中では、結婚や出産、配偶者の海外赴任といったライフイベントを経て、キャリアを広げた事例が紹介されている。
ある社員は、入社後にガスタービンの設計業務を経験したあと、結婚を機にキャリアの方向性を見直し、上司の働きかけにより米国・オーランドの拠点でサービスエンジニアとして勤務。家族とともに3年間の海外勤務を経験した。
「製品がお客さまの現場でどう使われているかを肌で感じることで、設計の重要性を再発見できました。自分の仕事が社会にどう貢献しているのかを実感でき、視野が大きく広がりました」
また別の社員は、出産を経て原子力プロジェクトの管理部門に異動し、新たな専門性を培った。
「多くの人とかかわりながら、ロジカルに工程を組み立てて行く仕事に大きなやりがいを感じています。ライフイベントがキャリアの可能性を広げるきっかけになりました」
文系・理学系出身者もキャリア育成支援で活躍
同社では、階層別研修に加え、技術系の新入社員に対してはまず製図、機械・電気、品質工学などの基礎研修を実施し、その後に職種別の専門研修へと段階的に進む。
基礎から学ぶ体制を重視しており、入社時の専攻分野にかかわらず、全員が技術者としての土台を固められる仕組みとなっている。
OJTでは先輩社員が2年間、育成担当として1対1で支援するほか、年4回のパフォーマンス面談、年1回のキャリア面談を通じて目標の擦り合わせを行っている。
理学系出身の社員はこう語る。
「業務時間内に専門知識を学べる講座が豊富で、理学出身だった私も制度を活用して工学の基礎を学ぶことができました」
三菱重工グループは女性技術者の裾野拡大に注力
三菱重工グループでは、性別にかかわらず誰もが活躍できる職場づくりを進めており、「女性社員数の拡大」を重点施策のひとつとして掲げている。今回のパンフレット発行もその一環で、具体的なロールモデルや制度の見える化を通じて、採用広報を強化する狙いがある。
また同社は、公益財団法人日本国際教育支援協会の「冠奨学金」事業への寄付を通じて「MHIみらい奨学金」を創設し、2015年からこれまでに47人の理系女子学生に奨学金を支給。将来の女性技術者の育成にも取り組んでいる。
発表の詳細は、同社公式リリースで確認できる。また、パンフレット「World, Future & MHI Women in Engineering」は電子ブック形式で閲覧できる。