【船橋市】自家焙煎コーヒーの世界で心機一転「CoffeeRoast焙香」至上の香りをあなたの日常に
大学で建築を学びインテリア関連の仕事をしていた北條香菜さんが、地元・船橋市で自家焙煎コーヒー豆のオンラインショップを立ち上げました。心身の不調に苦しみ、ときに立ち止まりながら、喪失と迷いの中で新たな一歩を踏み出したコーヒー専門店への道。香菜さんが手がけたブレンドコーヒーを味わいながら、たくさん笑ってたくさんお話をうかがいました。
※記事中の価格はすべて税込み ※内容や価格は取材時点のものです。最新情報はインスタグラムでご確認ください。
2度のつまずきを経て、大好きなコーヒーの世界へ
船橋市習志野台ご出身の、北條香菜さん。
2023(令和5)年10月、直火で自家焙煎したコーヒー豆を販売するオンラインショップ「Coffee Roast 焙香(コーヒーロースト・ばいか)」を立ち上げました。
大学で建築学を学び、卒業後はインテリア関連の企業に就職、生家を遠く離れた地で仕事に打ち込む日々を過ごしました。
しかし5年がたつころ、心身の不調に悩まされるようになり、退職して船橋の実家へ。
「好きな空間提案の仕事に携わりとても充実していました。ただ、のめり込み過ぎてしまったんだと思います」
知らず知らずのうちに精神的にまいってしまい、体にもブレーキをかけていたのでしょう、と、ため息まじりに振り返りながら、うつ病を発症し苦しんだ経緯を打ち明けてくれました。
数年間の自宅療養を経て快方に向かうころ、「少しずつ動けるようになり、そろそろ働かなくては、と派遣会社に登録したりしたのですが、体調は不安定なままで」
そこで「好きなことをしてみよう」「好きなことって何だろう?」と思いを巡らせたどり着いたのが、都内の炭火焙煎コーヒー店の仕事でした。
「以前からよく通っていたお店です。マスターに事情を話したら、働けることになりました」と、笑顔で話します。
ホールで接客を学び、半年後にはコーヒーの淹れ方を教わりお客さまへの提供も任されるように。
その後、社会はコロナ禍に突入。
飲食店の営業時間などに影響が出る中、香菜さんは知識を深めるため地元にほど近い町にあるコーヒー豆専門店で働き始めます。
「香りも味わいも大好きなコーヒーに囲まれているうちに、病気も治癒し体力も戻ってきたと実感していました」
しかし、生き生きと働く香菜さんは、再び体調不良に見舞われるのです。
「Coffee Roast 焙香」の誕生。香りからおいしさが伝わるコーヒーを
勤めていた豆専門店を退職し、2度目の自宅療養生活を送る中「やはり無理をしていたのかもしれない」と感じた香菜さんは、あらためて自らの生き方を見つめ直します。
そして「家族や友人らに背中を押してもらって」、自ら直火で豆を焙煎する道、自らのブランド「CoffeeRoast焙香」の立ち上げに踏み切りました。
「炭火焙煎コーヒーの味わいにほれ込んで働いていた」と熱心に語るほどに、コーヒーの香りを愛しこだわりを持つ香菜さん、「豆を焙煎するときの香り、挽くときの香り、袋に詰めたとき、そして開封したときの香りはもちろん、袋から漏れ出るかすかな香りさえ『これは間違いなくおいしいコーヒーだ』と感じるしあわせな要素なんです」と、目を輝かせて話します。
「今はまだ始めたばかりで、近しい人たちにしか飲んでいただけていないですが、これから多くのお客さまに香りとともにおいしいコーヒーをお届けしたい」
将来は、喫茶店を開き、自身が焙煎した豆でコーヒーを淹れお客さまをおもてなししたい、と話してくれた香菜さん。
もしかすると、香菜さんの「木」から収穫した国産コーヒー豆が、その夢をかなえるもうひとつの立役者となるかもしれません。
国産コーヒーの木のオーナーに!周囲の支えを追い風に、パワフルに前進中
2023年3月、千葉県八千代市にオープンした関東初の国産コーヒー農園「YACHI★FORNIA-FARM(ヤチフォルニア・ファーム)」。
香菜さんは、1本の苗木のオーナーになりました。
「ちいき新聞で取り上げられているのを姉が見つけ『こんなのがあるよ』と教えてくれたんです」
「わくわくしますね!何年か先に実がなったら、自分で収穫して脱殻(だっかく)をして、焙煎したものをお客さまに飲んでいただけたらいいですね」
にこにこと話す香菜さんは幸福感に満ち、のびやかな力強さをたたえた姿にこちらも胸が高鳴りました。
さて、ヤチフォルニアでは苗木のお世話は農園スタッフが行っており、オーナーは随時見学ができるとのこと。
8月と12月にハウスに出向いた香菜さん、「夏と冬で、温度管理はどうなっているのかな、と興味があって」と、はにかんで話し「温度センサーでばっちり管理されていました」と、にっこり。
「バナナやライムも育っていましたよ。居心地のいいビニールハウスなんだぁなと実感しました」
理系頭脳をお持ちの香菜さんは、自宅でコーヒー豆を焙煎するのも「実験みたいで楽しい!」と、満面の笑みで話します。
焙煎する際、温度と時間を同じ設定にしても、同じ仕上がりにはならないと香菜さんは話します。
「その日の気温や湿度によって、庫内の温度の上がり方が違ってきます。すると『1ハゼ』の瞬間が早くなったり遅くなったりするんです」
コーヒーの生豆を加熱していくと、全体的にふっくらとし、「バチバチ」と弾けるような音がします。
これを「ハゼ」と呼び、焙煎の進行度合いを判断する決め手となるのですが、その時間を記録しエクセル入力、グラフ化してデータ収集に努めているところだとか。
豆の個性を引き出し、目指す味わいや香りを実現する自分なりの着地点。そこへ向かう道のりは始まったばかりです。
視覚や嗅覚を働かせ、耳を澄ませながら、数値を蓄積した客観的なデータも活用して「焙香」のコーヒーづくりに取り組む香菜さん。
2024年の年明けに新商品として発売したドリップバッグには、ブレンドコーヒーに加えて月替わりのスペシャリティコーヒーが仲間入り。
「同じ豆でも焙煎度の違いでまったく違う表情を楽しめる」ため、飲み比べセットも用意したそう。
中煎りと深煎り、どちらもお客さまから好評を得ており、委託販売先の店舗も着実に増えています。
「治ったと思ったら顔を出してくる精神面の病気と付き合っていくなかで、マイナス面はいくらでもあるのですが、その分、動ける時間、そして周りの人たちを大切にしよう、という気持ちになりました。これまで見過ごしていた小さなプラス面に目を向けることができているように思います」
朗らかにそう話してくれました。
家族や友人知人らの見守りと応援を受け、新しい出会いと試みに、真摯(しんし)に向き合う香菜さん。
「ふさぎこんでいるときは、誰とも話したくなかったんです。今は、大好きなこと、楽しいことを誰かに伝えたい!って思えます」
香菜さんのキラキラ輝く笑顔と、オリジナルブレンドコーヒーの包容力のあるほろ苦さ、心地よい澄んだ味わい。
インスタグラムには、月替わりのスペシャリティコーヒーの案内やおいしいコーヒーを淹れるコツなどが動画も活用しながら紹介されています。
ぜひ訪れてみてくださいね。
Coffee Roast 焙香インスタグラム/@baika_11mameya 公式LINE ID/@347ryhdk ※オンラインショップのURL、委託販売先はインスタグラムをご参照ください。