「どん底」からの回復、『スター・ウォーズ』アナキン少年役と統合失調症 ─ 「治療やセラピー、投薬を受け入れられるように」
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で幼い頃のダース・ベイダー/アナキン・スカイウォーカー役に抜擢された当時の子役、ジェイク・ロイドは同作の出演後に表舞台から姿を消し、統合失調症に長年苦しめられた。現在35歳となるロイドは、治療を始めてから20年を迎え、落ち着いて症状と向き合えるようになったと語っている。
ジェイクは神話的フランチャイズ『スター・ウォーズ』の中心キャラクターとして『ファントム・メナス』に大抜擢。その大役がかえって災いし、高校でいじめに遭って苦しんだ。その頃からジェイクは双極性障害と診断され、日常生活を送ることが困難になった。
大学も退学すると、やがて妄想型統合失調症と診断。ところが当時のジェイクは症状を受け入れず、投薬や通院も強く拒むようになり、違法薬物を使用したり、自動車の違反運転で逮捕されたり、深刻なトラブルをいくつも抱えるようになった。
ジェイクの母リサは2024年にクレイトン・サンデル記者による取材に応えており、心の平和を取り戻しつつあることや、今も息子が『スター・ウォーズ』を愛していることなどを伝えていた。それから約1年、ジェイクはサンデル記者と再会し、自身の最新の状況を打ち明けてくれている。
現在のジェイクは、自身の症状や治療を受けれるための気持ちの整理がついた様子で、「この20年間という時が終わったと思うと、とても気分が良いです」と語っている。「治療を続けることや、セラピーを続けること、薬を飲むことを受け入れられるようになりました。みなさんとても協力的です」。
ジェイクは一時期「どん底」に落ちたと認めつつも、そのことは「正直に治療に参加し、正直に薬を飲み、正直に自分の診断を受け入れる、そのために必要なステップだった」と前向きに捉えている様子。「不安定になっている時間はないんです。まさにクッションになりました」。
ジェイクと話したサンデル記者の報告によれば、彼はときどき言葉に戸惑ったり、話が脱線することもあったという。母リサによると、これらは疲れている時により起こりやすいことなのだそうだ。
最近は、母とよく映画鑑賞に出かけられるようになったという。投薬のおかげで、2時間の上映中も集中力を保てるようになったそうだ。毎年の5月4日の『スター・ウォーズの日』を今年も母と過ごすことを楽しみにしているといい、母は「いつも通りの『スター・ウォーズの日』になりますが、今年はTシャツでも買おうかな」と計画を話している。
先の取材記事でサンデル記者は、『スター・ウォーズ』のせいでジェイクは精神のバランスを崩して引退してまったのではないかとする声を否定している。母リサは、息子の俳優引退は離婚を経験した家庭の問題に起因するものであり、統合失調症は実父の家系の病歴から受け継ぐ遺伝子的なものであると伝えていた。
Source:Clayton’s Substack