【異文化】香港では飲茶を食べる前に「箸」や「レンゲ」をお茶で洗うって知ってた?
あなたは「香港グルメ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか? つい先日、人生で初めて香港を訪れるまで、私は香港グルメをほぼ理解していなかったことを告白しておく。
ところがどっこい、実際に足を伸ばしてみたところ「海老ワンタン麺」を筆頭に香港には美味しいものがズラリ。中でも最高だったのが『ワゴン式飲茶』である。
・ワゴン式飲茶
私と同じように「香港グルメ」と聞いても、いまいちピンと来ない人は多いハズ。インドのカレー、イタリアのピッツァに相当する香港グルメは、なかなかパッと出てこないのではないだろうか?
……が、そんな中でも「飲茶」はどうだろう? 何でも香港には『ワゴン式飲茶』があるそうで、上級者たちから「1回は行った方がいい」「絶対に行くべき」と猛プッシュされた。
別にワゴン式じゃなくても飲茶が食べられればいいんですけど……と思ったことはさておき、上級者の後に着いて朝の7時から「六安居」なるお店に出かけて来た次第である。
・朝っぱらから
さて「六安居」は今や数少ない『ワゴン式飲茶』のお店で、最寄りの上環駅からは徒歩10分弱。お店は建物の2階と3階にあるのだが、エレベーターの扉が開くと……
おじいさんとおばあさんだらけ!!!
どうやら老人が朝に強いのは世界共通のご様子。新聞を読みながら、雑談をしながら、なんなら1人で、みな思い思いに飲茶を楽しんでいた。いい、ローカルな雰囲気がめっちゃイイ!
・えっ
で、今回は10名ほどで丸テーブルを独占。さあ、まずは何を食べようかな……とその前に。なんと飲茶を食べる前に箸やレンゲを洗うって知ってた? 洗剤でじゃない、お茶で箸や茶碗を洗うんやで!
これは「昔の香港は清潔とは言い難く、その頃からの風習」とのことだが、これはこれでイベント感があって大変ヨロシ。10人分の箸と茶碗にはそれなりの時間を要したが、食べる準備は万端だ。
で、テーブルで待機しているとワゴンを押したおばちゃんたちが声をかけてくる。ワゴンは数種類あり、おばちゃんたちが店内を巡回。そこで好きなものがあればあればピックアップするスタイルだ。
・楽しい & 楽しい
そして運ばれてくる料理がどれも美味しそう! 蒸し餃子や肉まんなどの点心を始め、春巻きなどの揚げ物、さらには大根もちなどは目の前の鉄板で焼いてくれるものもあった。
会計は飲茶を注文すると伝票に印をつけてくれるクラシカルなスタイルで、最後にまとめて支払えばOK。結局、お会計はたらふく食べて1人当たり120香港ドル(約2392円)ほどだった。
正直「○○がメチャメチャ美味しかった!」と記憶に残っているものはないものの、全日程を通じて1番楽しかった & 印象深かったのは『ワゴン式飲茶』である。
ワゴンを押すおばちゃんも、新聞を読みふけるおじいさんも、そして箸やレンゲをお茶で洗う習慣も“THE・異文化”という感じ。香港で1食だけ選ぶなら、迷うことなく「六安居」を推薦したい。
・力強くオススメ
なお、現地のガイドさんいわく「六安居みたいなお店はもうほとんど無いんですよ。飲茶も今はスマホで注文が主流になっちゃってますね」とのこと。『ワゴン式飲茶』はある意味で絶滅危惧種のようだ。
とにもかくにも、香港の『ワゴン式飲茶』はメッチャ楽しくて最高! もし初めて香港に行かれる方は迷うことなく『ワゴン式飲茶』を体験していただきたい。食べる前に箸やレンゲをお茶で洗ってね!
・今回訪問した店舗の情報
店名 六安居
住所 2-3/F, 40-50 Des Voeux Road West, Sheung Wan
時間 06:00〜15:30 / 17:30〜23:00
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.