歌手や落語家も御用達。砂糖ゼロ、米だけで作る老舗の水飴が超・絶品!【兵庫・尼崎】
本日の一品 > 琴城ヒノデ阿免本舗 久保商店の 「ヒノデ水飴」(兵庫・尼崎)
地元の人に長年支持されている、手作りの逸品に精通し、『関西名物:上方みやげ』の著書を持つライターの団田芳子さんが、今回おすすめしてくれたのは、兵庫・尼崎で150年近く続く老舗が作る水飴。創業から飴ひと筋の商店では、なんと砂糖を使わず、米だけで水飴を作っていました。
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「パッケージのレトロ感もたまらない、究極のほんまもんです」(団田芳子さん)編集部の「これも食べたい!」
【水曜15時のあまいもん】とは?
関西の食に精通するライター、エディター、フォトグラファーなど“取材のプロ”たちが、ほんとは教えたくない関西の「推しおやつ」を、和洋問わずレコメンド。確かな目利きで選んだあまいもんは、どれもわざわざ足を運んで大正解の、ハズレなしのおいしさです。
「パッケージのレトロ感もたまらない、究極のほんまもんです」(団田芳子さん)
琴城ヒノデ阿免本舗 久保商店の「ヒノデ水飴」
「ヒノデ水飴」260g 1300円。尼崎の名産品にも認定されていて、電話で取り寄せもできます。
「映画『あまろっく』の舞台でもある兵庫・尼崎にある老舗飴店の逸品。砂糖を一切使わず、米と水、麦芽だけで作る究極のほんまもん。“かたい飴”と呼ばれる固形の飴も美味。包装も店内もたまらないレトロ感です」(団田芳子さん)
店名にある“琴城”というのは、尼崎城の別名。その城下で、明治11(1878)年から続く飴店。現在は5代目の久保輝記さんが、創業から続く製法で、時に家族の手を借りながら、製造を担っています。水飴というと、砂糖と水で作ったものが一般的ですが、ここではその砂糖をいっさい使いません。材料は米のみ。うるち米を炊いて、麦芽を加え、米の持つでんぷんを糖化させて、3日かけてご覧の水飴に仕上げています。
飴のやわらかさは、温度で調整可能。硬い時は温かい場所に置いたり、湯煎したり。逆にやわらかすぎる時は冷蔵庫へ。
実は、長年、固形の「ヒノデ阿免」だけを作っていたそうですが、その製造過程でできる水飴を譲ってほしい、という声が後を絶たず、阪神・淡路大震災後に販売を始めたそうです。きれいな、いわゆる飴色をした水飴は、甘味の質がやわらかく、上品。喉の保湿にもいいと評判を呼び、声を使う歌手や俳優などのひいきも多いといいます。中でも、落語家の三代目 桂米朝は、お店によく立ち寄ったそうです。
割り箸などで巻き取ってそのまま楽しむのはもちろん、お菓子をはじめ、焼き物や煮物といった料理の甘味づけにも、おすすめ。焼き鳥のたれや、焼き豚の照り出し、料理の隠し味などに愛用している料理店も多いといいます。
編集部の「これも食べたい!」
ヒノデ阿免
一箱(5本入り)650円。4粒に割りやすいよう、1本に3つの筋が入れてあります。
創業から約150年続く銘品が、このヒノデ阿免です。水飴に砂糖を加えて固めてあり、パキンと割って、口の中でゆっくり溶かして楽しみます。飴色がきらきらと光る、ありそうでない四角い飴は、どこか懐かしい、米飴同様、上品な甘さです。
薬のパッケージを思わせるようなレトロなパッケージ。個包装の5本の飴も、箱の中で、さらにていねいに紙で包まれています。
店内に並ぶ商品はこの2種類だけ。阪神・淡路大震災後、再建したというお店を訪れると、ヒノデ阿免を溶かして作るという、夏は冷やし飴、冬は飴湯をふるまってくれます。
教えてくれた人団田芳子/Yohiko Danda
生まれも育ちも、そして仕事場もずっと大阪という、大阪を愛してやまないライター。食・酒・旅・大阪についての記事を数多く、取材、執筆。料理人からの信頼も厚く、“姐さん”と呼ばれ、親しまれている。著書に『私がホレた旨し店 大阪』(西日本出版社)、『ポケット版大阪名物』(新潮文庫・共著)などがある。
DATA
琴城ヒノデ阿免本舗 久保商店
兵庫県尼崎市開明町1-36
06-6411-0340
営業時間 9:00)~18:00
定休日 日、祝
\from Editor/
商品は、ヒノデ水飴とヒノデ阿免の2種類だけというのも、潔くていい! 材料や手作業にこだわるクラフトフードやドリンクにスポットライトが当たっているいまこそ、知ってうれしい銘品。砂糖も使っていないし、添加物などはいっさい入っていないので、安心して手土産にできますね。
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
写真/吉村規子 文/齋藤優子 企画・編集/吉村セイラ