「なんで受験しないの?」にモヤモヤ…。中学受験に関する親子の話し合い方と周囲との付き合い方
臨床心理士・公認心理師のyukoです。都内には中学受験をする子が過半数の学校もあり、年々受験熱が加速しています。そんな中、受験をしない選択をした家庭は少し肩身が狭い気持ちになることも。受験をしない選択について、親子でどのように話し合うのがよいかを考えます。
「なんで受験しないの?」
小学校5年生の娘が「今日〇〇ちゃんから、なんで受験しないの? させてもらえないの? って聞かれた」と言ってきた。クラスでは中学受験する子も多いし、必ずしも嫌味なわけではないと思うけど、受験するのが当然という言い方になんだかモヤモヤ。受験させないって悪いことなのかな?
関東圏で中学受験をする子の割合は年々増加傾向にあり、5人に1人程度が受験をするといわれています。23区内では2人に1人程度の割合の学校もあり、中学受験をしない選択が少数派になるところも増えているんですね。
そんな中、子ども同士で「なんで受験しないの?」などのやり取りがあると返答に迷う子も多いでしょう。答え方だけではなく、親子での話し合い方や中学受験の捉え方について考えてみます。
なぜモヤモヤしてしまうのか。
「うちは中学受験をしない」と自信をもっていればモヤモヤする気持ちはそんなにないかもしれません。
しかし受験の選択に迷いがあると、「これでよかったのかな」「うちもさせるべきだった?」とひっかかってしまいます。家庭の状況把握や夫婦間での話し合いなどを踏まえて、方針を持っておくのも大切なんですね。
また、周囲の視線や世間体が気になる方も。
「受験させてあげられないって思われてるのかな」などと考えてしまうと、モヤモヤするかもしれません。受験する子が多い環境にいると、受験しない家庭が少数派となり、居心地の悪さを感じるときは確かにあるでしょう。
しかし全国的に見れば受験をする家庭の方が少数派であり、中学受験が「正解の道」ではありません。視野を広げて考え、誰の目を気にしているのかを整理してみるのもおすすめです。
受験についての話し合い、どうすればよい?
子どもの気持ちを聞く。
親が話題を避けたい場合、「うちはしないって決めたでしょ」と終わらせたくなるかもしれませんが、子どもに寄り添うのであればその都度どう考えているのかを尋ねていくのが大切です。
”私も受験したいと言い出しては困る”と考えてけん制するのではなく、「友達から受験しないの? って聞かれてどう感じたの?」「周りの子が受験の話しているのが気になる?」などと尋ねるのがよいでしょう。
必ずしも「私もしたい」となる子ばかりではなく、「自分だけみんなと違うのかな?」「受験をしないのはよくないのかな?」と心配になっている子も多いです。気持ちを聞いたうえで、話し合っていくのが大切です。
親の考えを共有する。
中学受験の選択肢についてこれまで話す機会がなかった場合、よい機会と捉えて親の考えを共有するのがおすすめです。
・小学校から塾で勉強を頑張るよりも、クラブ活動や習い事に重きをおいて頑張ってほしい。
・〇〇(子ども)のこういうところを考えると、私立よりも公立の方が合ってるんじゃないかなと思う。(通学時間、受験のタイミング等)
「親も公立だったから」「私立に行く必要はない」などと片づけてしまうと、子どもは選択肢を与えてもらえなかったと捉えてしまう場合もあります。
子どもに対する想いを丁寧に共有できれば、子どもも安心して過ごすことができるでしょう。
人から聞かれたときの返答を考える。
「親が~と言ってるから」と言わせてしまうと、親子双方もやもやした感覚が残ってしまいます。
「ママ(パパ)はこう考えてるけど、〇〇はどう思った?」と話し合い、子ども自身の言葉で答えを考えていけるとよいでしょう。
・今は習い事/友達とめいっぱい遊ぶ/趣味に時間を使いたいから。
・中学でやりたいことや行きたい高校を考えたいから。
・地元の中学でやりたい部活/興味のある行事があるから。
など、本人の考えを含めた回答を持っておくのがおすすめです。
また、そこまで主張する必要がないと判断した場合は、「いろんな選択があるからね」などと受け流す術や「逆に〇〇ちゃんはなんで受験するの?」と質問で返す選択肢ももっておいてもよいでしょう。
どんな進路にも正解や不正解はありません。一人ひとりに合った進路に向かっていけるよう、支えていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師