ゴホウビ、史上最大キャパとなるワンマンライブへの挑戦、メジャー1st EPの誕生秘話、それぞれのルーツを掘り下げる
2018年結成の男女混声豆腐メンタル4人組バンド・ゴホウビ。2024年第1弾シングル「ラブシャッフル」を2月7日にリリース。11月15日(金)に開催する、渋谷クラブクアトロでのワンマンライブ・GOHOBI ONEMAN LIVE『ゴホウビクアトロ全部のせ!』に向けて、タイトルにもクアトロを取り入れた名刺代わりとなるメジャー1stEP「GOHOBI QUATTRO -sweet-」をリリースした。クアトロは「4」を意味し、ゴホウビのメンバーも4人。それぞれ異なる性格と音楽的ルーツを持つ4人が集まり、まるでクアトロフォルマッジのピザのように多様でありながら一体感のある音楽を生み出す。今回SPICEでは、スージー(Vo.key)とcody(Gt.Vo)にラジオDJの樋口大喜がインタビュー。EPについてはもちろん、バンド結成の経緯やお互いの印象、音楽的ルーツについても話を訊いた。
ーー2021年くらいに僕が担当していた番組『RADIO ∞ INFINITY』にリスナーの方から「すごく良いバンドなんです」とメッセージをいただいて、オンエアしたのがゴホウビと出会った最初のキッカケです。
スージー:ありがとうございます! その方が「オンエアされたよ」と報告リプをくれまして、めちゃくちゃはしゃいで喜びました。
ーーあの時から考えると、こうしてインタビューできて嬉しいなと思います。今回はデビューEPについて色々お話を訊きたいのですが、『GOHOBI QUATTRO -sweet-』のタイトルの経緯を教えてください。
スージー:11月15日(金)に渋谷クラブクアトロでワンマンライブをやることが最初に決まったんですけど、私たちにとっては史上最大のキャパなので挑戦でもあるんです。それに向けてどうしていこうかと考えた時に、名刺代わりになる1枚が欲しいとなり、ゴホウビのクアトロワンマンを知ってもらいたいから、EPのタイトルにも「クアトロ」って入れちゃおうと。クアトロは「4」という意味で、ゴホウビも4人だし、それぞれ性格もバラバラでルーツも違う4人が集まって1つのものを作っているのが、まるでクアトロピザみたいだねと。
ーークアトロフォルマッジだ! 1番好き。はちみつをかけて食べると美味しい。スイートだ!
スージー:そうなんです。今回は内容的にラブソングが入ってたりして、ちょっと甘い感じなので、「ピザ」「スイート」で表して、CDジャケットもそういう感じになっています。なのでダブルミーニングな感じでクアトロでのライブ、4人という「4」を強調していきたいねとなりました。
ーー今のゴホウビの現在地を表すような、クアトロに向かって進んでいく名刺代わりの1枚ですね。先ほどルーツのお話もでましたが、それぞれのルーツについても聞かせてください。
スージー:私は親の影響で「荒井由実」時代のユーミンさんが大好きです。あと父親から「音楽をやるからには、70年代の洋楽、ビリージョエル、キャロルキング、ビートルズなどを聴かなきゃダメだ」と言われて。母親もレッド・ツェッペリンとかが好きなで、とにかく二人とも音楽が大好きなんです。そんなポップスが大好きな父と、ロック寄りな母が唯一共通して聴いていたのがカーペンターズなので、物心ついた時からよく聴いていたので、それが私のルーツかもしれません。
cody:僕は邦ロックですね。中学校の時の仲良かった友達がBUMP OF CHICKENが好きで、そこから僕も好きになり、バンドってカッコ良いなと。BUMP OF CHICKENのほかにも、ASIAN KUNG-FU GENERATION、RADWIMPSをよく聴いてましたね。
ーーなるほど。お2人の共通するところはどこですか?
スージー:ほぼないですね……。2000年代のJ-POPは2人とも大好きなんですけど、本当に好きな音楽は全然違うんですよね。歌声で繋がった感じです。
cody:元々ゴホウビを結成する前に、スージーがソロ活動をしていて、僕はGoodbye holidayというバンドをやっていたのでレーベルメイトだったんです。そのレーベルメイト時代に2人で配信ライブをコラボでやったことがあって、その時に初めて一緒にお互いの曲をカバーしあったりしてました。声のハマりがすごく良くて、強烈な感動があったのをずっと覚えていて。お互いメジャーでの活動が終わりになりましたというタイミングが一緒たったので、一緒に面白いことやろうよとなり、この2人の声だったらたくさんの人に届けられるんじゃないかなと思って「ゴホウビやろう」となりました。
ーースージーさんはcodyさんの印象はどうでした?
スージー:第一印象はイケメンじゃん! みたいな(笑)。同じ広島県出身でレーベルメイトでもあり、20代前半の頃は尖った感じだったので……となると意識せざるを得ないというか、負けたくないというのが強くて。牙を向いていた感じでしたね。それが最初の印象。なので一緒に歌って打ち解けたという思いもありました。全然違う声色なのに、なんでこんなに混ざりが良いのだろうと。
ーーなるほど。今回のEPを聴いて思うのがお2人の声の交わり方は、ゴホウビにしか出せないものなんじゃないかなと感じました。レコーディングの時に歌入れで気をつけていたことはありましたか?
cody:歌詞をスージーがほとんど書いているので、歌詞の意図を汲み取って、自分の感情として歌うというのはすごく意識をしてます。だけどスージーの書く歌詞は「俺のこと歌ってる?」というくらい、すごく共感できる言葉がたくさんあって。例えば6曲目の「好きな服」もそうですし、2曲目の「ラブシャッフル」とかも、好きな人の過去に嫉妬する曲なんですけど、これもすごく共感してます。
スージー:codyは基本的に天性のお祭り番長だと私は思っていて、多分何も考えてないんですよ。例えばライブをやってた時に、カップルがいたら「そこのカップルの方に捧げます」とか、いきなり言い出して歌いだすような……。ちょっと自分にはないなと思うようなところもあって、直感型タイプだなと思います。それがcodyの好きな部分、リスペクトするところでもある。あと日本語がしっかりと伝わってくる歌い方をするので、伝えたいという想いがちゃんと歌詞にのってくるので、レコーディングの時とか嬉しくなりますね。
ーーお2人の話を聞いて、codyさんは言葉を大事に、スージーさんはサウンドに乗せてる日本語を紡ぐ上で言葉に注力されてるなと。3曲目の「なんぼのもんじゃい」を聴いても、サウンドも歌詞も歌い方も心地良いなと感じました。
スージー:サビは広島弁で「じゃけえ」と言ってて。広島弁はわりとメロディに乗せやすい言語だなと思っているので、良い感じになりました。意味はそんなにないんですけど、「もうどうでもええわ!」と開き直ってやりたいことやりたい時に聞いてもらえるような爽快なサウンドに仕上げたつもりです。
ーーテンポ感も、言葉のリズム感もすごく良いですよね。ライブですごく盛り上がりそう!
スージー:めちゃくちゃ盛り上がりますね。「なんぼのもんじゃい」という言葉は西の人たちは喧嘩する時とか使う言葉で、うちの親もよく言ってましたけど(笑)、ここで使ってる「なんぼのもんじゃい」は自分を鼓舞する、自分の弱さに対して、「それがどうした!」と言えるような感じになれば良いかなと思いながら書きました。
ーー言葉の心地よさで言うと、1曲目の「MOKE MOKE」もそうなんですよ。
スージー:これもサビが「なんだこれは?」とよく言われるのですが、本当に自分も何なのか未だにわかってない。それこそ恋の謎と一緒だねと言いたいところです。
ーー歌詞の<MONKEY MONKEY LOVE>がそれこそ「MOKE MOKE」っぽく聞こえて、ゴホウビならではのワードセンスだなと。
スージー:これはcodyが考えて、元々は「ラブラブしてる」と書いてたら、ダサいとなり、歌入れの日に考え直そうとなって、スタジオの床に寝っ転がって「どうする?」とか言って。
cody:恋愛の言った言わなかったみたいな言い合いの曲なんですけど、人は恋をすると脳みそがチンパンジー並みのサイズのことしか考えられなくなるというのを何かで見た記憶があって。それって「MONKEY MONKEY LOVEじゃん」って。それで「MOKE MOKE」みたいなふうに言ったら、意外とハマり良いかもねとなりました。
スージー:恋をするとお猿さんみたいになっちゃうもんね。いろんな意味で
ーー自分を解放するという意味でもライブもモンキーになりますよね。
cody:もうライブがないと音楽やってる実感を得られないというか、もちろんレコーディングとかもすごく好きだし、歌うことも大好きなんですけど、ライブで目の前にお客さんがいて、伝えて、受け取ってくれる人がいて……そういう時間が1番生きてるなと思うし、やっぱここだなと思える時間です。
スージー:私は「俺を見ろよ!」って感じのcodyを横で見て、羨ましいなと思いながら歌ってます。
ーーだからこそお2人の歌声だけじゃなくて、その精神性のハマりも良いんでしょうね。わかりやすい言葉で言うと陽キャと陰キャみたいな。
スージー:本当にそうかも。凸凹なんだと思いますね。似たような2人だとぶつかって解散してますね。昔だと自分と違う何かに対して否定的な部分もあったので、もうちょっと前にバンドを組んでたら、また違う結果になってるかもしれない。だけど、今は自分にないものを羨ましいと素直に言える自分になってるからこそ、codyと一緒にいれるなと思いますね。
ーータイミングですね。では最後に11月15日(金)のゴホウビ史上最大キャパワンマンライブ・GOHOBI ONEMAN LIVE『ゴホウビクアトロ全部のせ!』についての意気込みを教えてください。
スージー:ゴホウビ史上最大キャパで不安もありますが、本当に今までのゴホウビのライブの中で1番いいものになるという確信はあって。まだリリースしてないけど、胸が高なるような曲がたくさんできているので、早くこれをみんなにも届けたいし、広めたいという思いもすごく強くて。きっと11月には 披露することもできると思います。
cody:今までで1番良いライブになるという自信があるので、たくさんの人に来てほしいし、 もう来てくれた人には本当に来てよかったなと思ってもらいたいです。で、明日からちょっとまた頑張るぞと思ってもらえるようなパワーを与えられる1日にしたいと思ってます!
取材=樋口大喜 文=SPICE編集部(河邉有珠) 撮影=高村直希